北京2022オリンピックで注目したいスノーボーダーをチェック! スロープスタイル編 

2月5日からスノーボード競技がスタート!ここ数年で世界レベルの実力をつけてきた日本若手選手たちが、いよいよオリンピックの舞台でその力を発揮するときが来た。

1 執筆者 Risa Bellino
北京2022スロープスタイル公式練習:村瀬心椛=2022年2月4日
(2022 Getty Images)

毎年・毎大会ごと技の進化が止まらない**スノーボード界。いまや冬季オリンピックを代表する人気競技のひとつに成長し、過去2大会で新種目が追加されてきたスノーボードは、北京2022**でも新しくチームスノーボードクロスが加わり、全11種目が行われる。

スノーボード競技の先陣を切るのは、2月5日の女子スロープスタイル予選だ。オリンピックで3度目の実施となるスロープスタイルでは、さらにレベルアップした大技が繰り出されることだろう。

北京オリンピックの大舞台で、どんな選手が観客を魅了してくれるのか?世界から注目を集める、若手の台頭が目立つ日本勢を紹介しよう。

(2022 Getty Images)

スロープスタイルは、レール・ボックス・キッカー(ジャンプ台)などといった障害物を含むコースを滑走する種目だが、コース後半に設置された一番の見どころとなるトリックを披露するジャンプセクションがあることから、似た要素を持つ巨大なキッカーでのエアトリックを披露するビッグエアと合わせて2種目出場する選手が多い。北京2022でも、TEAM JAPANは2種目に出場予定だ。

2021/2022シーズンは、ビッグエアワールドカップ全2戦(スイス10月23日、米国12月4日)で**村瀬心椛(ここも)と岩渕麗楽が優勝。スロープスタイルワールドカップ(全6戦中、北京2022前の選考対象大会が3戦)では、村瀬が1位と3位、鬼塚雅**が2度2位という成績で、オリンピックに向けて弾みをつけている。

新時代の開拓

新世代が大躍進をみせている2種目で、日本チームをリードする選手のひとりが、村瀬心椛(17)だ。世界最高峰のアクションスポーツの祭典であるXゲームに、13歳6ヶ月で初出場し、ビッグエア初優勝を飾った村瀬は、クロエ・キム(米国)が樹立したXゲーム最年少優勝記録を更新し、一気に頭角を現した。

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12月15〜18日、米国で開催されたワールドカップ前哨戦となるトッププロの招待大会、デューツアー(Dew Tour)のスロープスタイルでは、日本人最高位3位に入り、良いスタートを切る。

北京へ向けて「目標は、常に完璧なライディング、最大級のトリックを披露して、笑顔で日本に帰ることです」と、意気込みを語った。

得意とするビッグエアに続き、昨シーズンからスロープスタイルでも表彰台にのぼる成績をあげている村瀬は、17歳3ヶ月で北京オリンピックを迎える。前回の平昌2018では年齢制限のため出場できなかったが、もし彼女が今回金メダルを獲得することになれば、平昌大会のハーフパイプを制したキム(17歳9ヶ月)のスノーボード最年少優勝記録を塗り替え、新たな歴史を作ることになる。

世界が注目するもうひとりの女子スノーボーダーが、岩渕麗楽(20)だ。2021年3月のスロープスタイルワールドカップ最終戦(スイス)を優勝で締めくくり、12月4日に開催されたビッグエア第2戦目(米国)で今季初優勝飾った岩渕は、村瀬、鬼塚と共にビッグエアとスロープスタイルの両種目でメダル有力候補として挙げられている。

16歳で初出場となった平昌2018を「本当に出ているだけで精一杯という感じでした」と振り返る岩渕は、同じ2001年生まれの**ゾイ・サドウスキー・シノット(ニュージーランド)からわずか10点差で、ビッグエア4位。スロープスタイルは藤森由香9位、広野あさみ**12位に続き、日本人3番手となる14位だった。

涙を流した悔しいオリンピックをバネに、平昌後はワールドカップで表彰台8回(スロープスタイル1勝、ビッグエア5勝含む)の成績をあげ、いよいよ2度目の大舞台へ挑戦する。

(2018 Getty Images)

平昌2018で同じくオリンピック初出場を果たした鬼塚雅(23)は、北京2022のテストイベントとして同会場で開催されたスロープスタイルワールドカップで、**大塚健**とともに優勝(2018年12月)。翌年同じく北京で開催されたビッグエアワールドカップでも勝利するなど、中国開催大会との相性が良い。スロープスタイルで表彰台から2シーズン遠ざかっていたが、2022年1月1日カルガリーで行われたワールドカップで村瀬に続き2位に。

平昌大会の後からトレーニング方法や道具を見直すなど、大きな変化を起こして挑戦者として再びオリンピックを目指してきた鬼塚は、「記憶に残るような技で、記録を残したい」と語り、北京2022で“勝つための”大技に挑む。

(2020 Getty Images)

日本男子エース大塚健、怪我からの復活

Xゲームビッグエア2大会世界王者が、2021年1月、約2年ぶりにワールドカップの舞台に戻ってきた。北京2022の選考に間に合う形でカムバックした大塚の“魅せるトリック”を待ちわびているファンも多いのではないだろうか。

17歳でXゲームに初出場し、大技のキャブトリプルコーク1440を着地して見事優勝。同年2018年ビッグエアとスロープスタイルの両種目で世界ジュニアWタイトルを獲得し、村瀬と共に男女で完全制覇を成し遂げた大塚は、その後も両種目でワールドカップ表彰台に上るなど着実に実力をつけ、2019年にはXゲーム2連覇(ビッグエア)という快挙を達成。スノーボード界でも着実にファンを増やし、安定して力を発揮していたシーズン終わりの4月に、スノーボード作品の撮影中のジャンプに失敗し、選手生命を脅かしかねない程の大怪我を負う。

「復帰するまでに長い時間がかかると思いますが、強くなり笑顔で戻ってきます」

これまで経験したことのない厳しい状況に直面しながらも、自身のインスタグラムでスノーボードにかける想いを報告すると、プロツアーで活躍するオリンピアンやスノーボーダーなどから多くのコメントが寄せられた。

言葉通りリハビリの成果を上げ、2020年1月には雪上トレーニングに復帰すると、2021年1月のスロープスタイルワールドカップで見事4位の復活劇をみせる。今季のビッグエアワールドカップを、4位と9位で終え、復調の兆しを見せた大塚は、1月15日のスロープスタイルワールドカップで6位入賞。日本男子エースとして初出場のオリンピックに挑む。

高いポテンシャルを持つ日本男子勢

まだワールドカップや世界選手権での勝利はないものの、平昌大会からの4年間で着実に前進してきた日本男子チーム。

北京2022代表4枠を獲得したのは、スロープスタイルワールドカップで3度の表彰台と、年間総合優勝の実績を持つ**飛田流輝と、2021年3月の世界選手権で2種目ともに5位入賞を果たした濵田海人の22歳ペア。また、日本選手団最年少15歳で平昌2018代表入りした國武大晃**が、自身2度目のオリンピックに挑む。

それぞれのスタイルを追求し、北京では独創性あるトリックで世界に彼らの滑りをみせてほしい。

北京2022スロープスタイルは、2月5日~7日の3日間で開催され、スノーボード競技の中で大会最初のメダルイベントとなる。TEAM JAPANからメダリスト誕生なるか?

スロープスタイルのスケジュールはコチラ

2月5日(土)
10:45 - 11:45 女子スロープスタイル予選1本目
11:47 - 12:47 女子スロープスタイル予選2本目

2月6日(日)
09:30 - 09:55 女子スロープスタイル決勝1本目
09:57 - 10:22 女子スロープスタイル決勝2本目
10:24 - 10:49 女子スロープスタイル決勝3本目 - メダリスト決定
12:30 - 13:30 男子スロープスタイル予選1本目
13:32 - 14:32 男子スロープスタイル予選2本目

2月7日(月)
12:00 - 12:25 男子スロープスタイル決勝1本目
12:27 - 12:52 男子スロープスタイル決勝2本目
12:54 - 13:19 男子スロープスタイル決勝3本目 - メダリスト決定

すべて現地時間です。日程は変更になる場合もあります。
※日本と北京の時差は1時間。日本の方が1時間進んでいます。

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