スノーボード、2021/2022 注目ポイントは?
スノーボード、ビッグエアのワールドカップが10月23日からスイスのクールで始まるのを皮切りに、シーズンが本格化するスノーボード。スノボ界の今季のみどころと、男女注目選手をチェックしよう。
FIS(国際スキー連盟)スノーボード・ワールドカップの2021/2022シーズンは、美しい風景が広がるスイス・グラウビュンデン州の州都クール(Chur)で10月23日にスタートする。今シーズン最初の大会となるこのワールドカップには、世界各国から100人以上のライダーが参加。ヨーロッパ、アジア、北米の3大陸の27会場で、男女合わせて31大会が開催されるワールドカップ・ツアーの幕開けとなる。オリンピック選考のためのポイント獲得や出場権をかけ、これから4ヶ月間、ゲレンデでは熾烈な戦いが繰り広げられることだろう。
ワールドカップ・ツアーは2022年3月27日に終了するが、その前月の2月4〜20日には**北京2022**冬季オリンピックが開催され、オリンピック7度目のスノーボード競技が行われる。
ワールドカップ各大会では、北京オリンピックを前に世界のトップスノーボーダーたちが参加し、フォームに磨きをかけ、技の精度を高める。スノボ界の重鎮となりつつある**ショーン・ホワイト(米国 /男子ハーフパイプ)や21歳のクロエ・キム(米国/女子ハーフパイプ)から、17歳の小野光希(女子ハーフパイプ)や18歳のダスティ・ヘンリクセン**(米国/男子ビッグエア、スロープスタイル)のような若手の有望選手まで、今季のスノーボードは、例年のごとく、スピード感、躍動感、興奮に満ちたものとなるだろう。
ワールドカップ・ツアーでは、スラローム(パラレル回転、パラレル大回転)、スノーボードクロス、ハーフパイプ、スロープスタイル、ビッグエアの各種目がそれぞれ予定されている。
キム、アンダーソンが女子を牽引
オリンピックのスノーボード競技において最も成功している国といえば、米国。同国を代表するクロエ・キムは、誰もが認めるハーフパイプの女王だ。17歳という若さで挑んだ平昌2018では、オリンピック女子スノーボードにおける最年少金メダリストの称号を手にした。
キムは世界選手権、オリンピック、ユースオリンピック、Xゲームの王座に君臨しており(Xゲームでは6度目のタイトル)、この4大会の王冠を同時に戴く唯一の選手でもある。
キムは3月に足首を捻挫したがすでに完治しており、ワールドカップの女子ハーフパイプ種目で優勝することが有力視される。勝ちに行く一方で、大会の場を活かして得意の滑りに磨きをかける。オリンピックが行われる雲頂スノーパークでは、2つ目の金メダル獲得に留まらず、今後何年にもわたって女子ハーフパイプの金字塔となる圧倒的な演技を見せてくれるだろう。
女子ハーフパイプでは、2021年の世界選手権で準優勝となった**マディ・マストロ**(米国)も目が離せない存在だ。
その他の女子ビッグエア、スロープスタイルでは、平昌2018金メダリストの**ジェイミー・アンダーソン(米国)とゾイ・サドウスキー=シノット(ニュージーランド)のほか、復調を狙うアンナ・ガサー(オーストリア)に注目。パラレル大回転では、チェコのベテラン選手エステル・レデツカ**が引き続き存在感を発揮している。
女子スノーボードクロスでは、若くて才能のある挑戦者たちが次々と現れる中で、36歳の**リンゼイ・ジャコベリス**(米国)が経験を武器に意地を見せる。
男子はホワイト、パロットが巻き返しを図る
オリンピックで金メダル3個を獲得し、男子ハーフパイプのアイコン的な存在のショーン・ホワイトは、長い間スノーボードの大会から離れていたため、自身5度目の冬季オリンピックに向けて自分自身の立て直しを迫られている。平昌2018で金メダルを獲得して以来、ハーフパイプの大会には1度しか出場しておらず、大会から離れていた約3年間で、王座を狙う若手選手が活躍し、ホワイトのライバルとして立ちはだかる。
2021年3月に開催されたUSグランプリで4位に終わったことからも読み取れるように、ホワイトが北京オリンピックで4つ目の金メダルを獲得するためには、課題があることは明らかだ。
では3連覇中のホワイトの挑戦者となるのは? まずひとりめが、平昌2018で銅メダルを獲得した**スコッティ・ジェームズ(オーストラリア)。そして、20歳の戸塚優斗。ふたりは過去2年間、主要大会のタイトルを奪い合ってきた。さらに、オリンピック2大会連続で銀メダルを獲得している平野歩夢**が、さらなる高みを目指して北京に挑むことを考えると、見逃せない存在と言える。
男子スロープスタイル、ビッグエアでは、27歳の**マーク・マクモリス(カナダ)が、2019年にホジキンリンパ腫との闘いから復帰したマックス・パロット(カナダ)とともに注目を集める。また、レッド・ジェラード(米国)やマーカス・クリーブランド**(ノルウェー)も、オリンピック・シーズンである今季、表彰台に照準を合わせる。
若きスノーボーダー、ヘンリクセンと小野光希の挑戦
2021年のXゲーム、スロープスタイルで優勝したダスティ・ヘンリクセンは、2009年にホワイトが優勝して以来、初めての米国人チャンピオンとなった選手。18歳のヘンリクセンは、スイス・ローザンヌで開催された2020年ユースオリンピックのスロープスタイルで金メダルを獲得した後も、着実に力をつけてきており、番狂わせを見せてくれるかもしれない。
女子では、小野光希(ハーフパイプ)や**ジョシー・バフ**(オーストラリア/スノーボードクロス)も、2020年のユースオリンピックでそれぞれ金メダルを獲得しており、サプライズパッケージとして期待されている。
2021/2022 FISスノーボード・ワールドカップ
- 2021年10月23日 ビッグエア @クール(スイス)
- 2021年10月26-28日 スノーボードクロス @シークレット・ガーデン(中国)
- 2021年12月2-4日 ビッグエア @スティームボート(米国)
- 2021年12月8-11日 USグランプリ、ハーフパイプ @カッパー・マウンテン(米国)
- 2021年12月10-12日 スノーボードクロス @モンタフォン(オーストリア)
- 2021年12月11-12日 パラレル大回転/パラレル回転 @バンノエ(ロシア)
- 2021年12月16日 パラレル大回転 @カレッツァ(イタリア)
- 2021年12月17-18日 スノーボードクロス @チェルビニア(イタリア)
- 2021年12月18日 パラレル大回転 @コルティナダンペッツォ(イタリア)
- 2021年12月29日 - 2022年1月2日 スロープスタイル @カルガリー(カナダ)
- 2022年1月6-8日 USグランプリ、スロープスタイル/ハーフパイプ @マンモスマウンテン(米国)
- 2022年1月7-9日 スノーボードクロス @クラスノヤルスク(ロシア)
- 2022年1月8日 パラレル大回転 @シュクオール(スイス)
- 2022年1月11-12日 パラレル回転/パラレル回転混合団体 @バドガシュタイン(オーストリア)
- 2022年1月13-15日 ハーフパイプ/スロープスタイル @ラア(スイス)
- 2022年1月15-16日 パラレル大回転 @シモンヘーエ(オーストリア)
- 2022年1月16-21日 スノーボードクロス @キエーザ・イン・ヴァルマレンコ(イタリア)
- 2022年1月21-23日 冬季Xゲーム @バターミルクマウンテン・アスペンスノーマス(米国)
- 2022年1月24-29日 スノーボードクロス @ル・マシフ(カナダ)
- 2022年2月26日 パラレル回転 @モスクワ(ロシア)
- 2022年3月4-6日 スロープスタイル @バクリアニ(ジョージア)
- 2022年3月5日 パラレル大回転 @ログラ(スロベニア)
- 2022年3月10-12日 スノーボードクロス @ライターアルム(オーストリア)
- 2022年3月12-13日 パラレル回転 @ピアンカバッロ(イタリア)
- 2022年3月18-19日 スロープスタイル @シュピンドレルーフ・ムリーン(チェコ)
- 2022年3月19-20日 パラレル回転 @ベルヒテスガーデン(ドイツ)
- 2022年3月20日 スノーボードクロス @ベゾナ(スイス)