2月4日(金)、北京オリンピックの大会初日から始まったフィギュアスケート団体戦。日本は宇野昌磨がショートプログラム(SP)、鍵山優真がフリースケーティング(FS)に出場し、自己ベストを更新。さらに2月8日(火)と10日(木)に行われた男子シングルでは鍵山が銀メダル、宇野が銅メダルを獲得した。
鍵山優真、初のオリンピックで銀メダル
- 団体:FS1位 208.94
- 男子シングル2位 310.05(SP2位108.12/FS2位201.93)
オリンピック初出場の鍵山は、まず団体戦に出場。女子SP・樋口新葉の演技で決勝進出が決まり、同日に行われた男子FSで演技を行った。4番目に登場した鍵山は、冒頭の4回転サルコウを鮮やかに決めると、今大会から構成に組み込んだ4回転ループに挑戦。着氷でオーバーターンしたものの、GOE(出来栄え点)の減点はなく、ミスを最小限に抑えた。
その後のジャンプも全て着氷させ、GOEでも大きく加点がつき、208.94点と自己ベストを大幅に更新。団体戦のメダル獲得に大きく貢献した。ステップではレベル3と取りこぼしがあったが、男子シングルに向け、さらなる伸びしろを感じさせる演技だった。
8日に行われた男子シングルのSPでは、最終グループで全体の27番目に登場した鍵山。団体戦から中1日の日程で行われたものの、その疲れを一切感じさせず、質の高いジャンプをそろえた。持ち前の美しく伸びのあるスケーティングで魅了し、ノーミスの演技で108.12点と自己ベストを更新。この時点で首位に躍り出た。直後に演技をしたネイサン・チェン(アメリカ合衆国)が世界最高記録となる113.97点をたたき出したため、SPの最終順位は2位となった。
勝負のフリーは全体の23番目に登場。鍵山は冒頭の4回転サルコウをきれいに着氷させ、このジャンプだけで14点以上を獲得した。その後、4回転ループのステップアウト、コンビネーションジャンプのセカンドが3回転が2回転になる場面もあったが、大きなミスなくプログラムを滑った。
団体戦でレベル3だったステップは、レベル4をしっかり取り、スピンも全てレベル4をそろえた。また、演技構成点の5項目もジャッジ全員が9点台をつけ、高く評価された。演技後のインタビューでは「北京に来てから初めて緊張した」と話していたが、FSは201.93点と、団体に続く200点超えをマーク。SPとの合計で300点超えを達成した。
最終順位は2位となり、銀メダルを獲得。今大会2個目のメダルとなった。「楽しまなきゃ損」と話していた鍵山は、堂々たる演技で最高のオリンピックデビューを飾った。
宇野昌磨、2大会連続のメダル獲得
- 団体:SP2位 105.46
- 男子シングル3位 293.00(SP3位105.90/FS5位187.10)
団体戦では日本チームの先陣を切って男子SPに登場した宇野は、冒頭の4回転フリップを含む、全てのジャンプを成功させた。特に課題であったコンビネーションジャンプのセカンドジャンプもしっかりと3回転にし、得点を稼いでいる。
そのほかのエレメンツもノーミスで終え、得点は105.46点。2018年以来の自己ベストを更新し、チェンに続いて2位となり、日本チームを勢いづけ、団体のメダル獲得に貢献した。
続く、男子シングルは新型コロナウイルス感染症(COVID-19)で陽性となり、北京入りが遅れていたコーチのステファン・ランビエール氏と合流。ランビエール氏が見守る中で臨んだ。
第4グループで全体の22番目、羽生結弦の後で滑ることになった宇野。冒頭の4回転フリップはきれいに着氷。続くコンビネーションジャンプの着氷で手をついてしまったが、GOE-0.14と小さなミスで抑えた。
得点は団体戦の時より低いと思われたが、105.90点。レベルの取りこぼしがあった足換えシットスピンとステップで、レベル4を獲得したことで、結果的に自己ベスト更新につながった。団体戦で出た課題をしっかりと調整し、3位でSPを終えた。
FSでは宇野本人が大会前から話していた通り、4種類の4回転を5本跳ぶ構成で挑んだ。4回転フリップなどでミスがあったものの、最後まで高難度プログラムに挑み続けた。何より音にはまった抑揚のある動きと厚みのあるスケーティングがボレロの世界観を引き立たせ、失敗を感じさせない演技だった。
FSの順位は5位だったが、SPとの合計で3位となり、銅メダルを獲得、2大会連続のメダルとなった。さらに団体のメダルを含めると通算3個目となり、日本フィギュアスケート界最多のメダル獲得数となった。そんな宇野は「世界選手権で悔いなく、自分の全てを出し切るようなボレロを滑りたい」と、早くも3月の大会を見据えている。
競技は終了したが、鍵山と宇野は20日(日)のエキシビションに出演予定。メダリストの演技を披露する予定だ。