【フィギュアスケート】北京2022男子シングル:羽生結弦、4回転アクセルに挑んだ大舞台

HANYU Yuzuru
(Getty Images)

羽生結弦が自身3回目のオリンピックに出場した。結果は4位で3大会連続の表彰台は逃したものの、大舞台で4回転アクセルに挑戦し、新たな歴史を刻んだ。

羽生結弦、4回転アクセルに挑戦

  • 男子シングル4位 283.21(SP8位95.15/FS3位188.06)

現地のファンや国内外のメディアが羽生の動向に注目している中、羽生は男子シングルのSPが行われる2日前に北京入りした。翌日、公式練習に参加し、4回転アクセルなどの調整を行った。

SPは宇野と同じ第4グループで全体の21番目に登場。演技の最初は4回転サルコウの予定だったが、リンクの穴にはまり、1回転になってしまった。SPの単独ジャンプは、3回転か4回転ジャンプを跳ばなくてはいけないという規定があるため、サルコウの得点は無効となった。

続く、4回転トーループ+3回転トーループのコンビネーションジャンプはきれいに着氷し、GOE(出来栄え点)で4.07点の加点がついた。最後の3回転アクセルも非常に質が高く、ステップ、スピンも全てレベル4をとった。

また、演技構成点では47.08点と全体の4位。羽生自身がピアノを弾いているかのような演技で惹きつけた。ジャンプ1つ分の得点がないにもかかわらず、95.15点をマーク。30人が滑り、全体の8位でSPを終えた。

FSは第3グループで全体の17番目に登場。プログラムの冒頭は4回転アクセル。世界が固唾を飲んで見守った4回転アクセルは転倒してしまったが、昨年12月の全日本選手権の時は両足着氷で、今回は片足での着氷。全日本選手権から46日しか経っていないが、確実に完成に近づいているジャンプだった。

次の4回転サルコウでも転倒のミスはあったが、その後は全て加点のつく質の高いジャンプだった。ジャンプだけでなく、ほとんどのステップ、スピンでも大きく加点がついた。特にコレオグラフィックシークエンスは「天と地と」の世界観が完璧に表現され、GOEで2.14点と高い評価を受けた。途切れることのない流れるようなスケーティング、音楽と調和したステップでプログラムの最後まで魅了した。

FSの得点は188.06点で全体の3位。最終順位も8位から4位と順位を大きくあげたが、3大会連続のメダルはならなかった。しかし、4回転アクセルはISU(国際スケート連盟)の公認大会で初めて認定された。4回転アクセルの回転不足という判定となり、基礎点(12.5点)からの減点となった。

前人未到の挑戦と最後まで攻める気持ちを貫いた羽生に、国内外から称賛の声があがった。この挑戦に羽生本人は、「正直、これ以上ないくらいがんばったと思います」と話した。

今大会の羽生の演技に、感動や勇気をもらった人は間違いなくたくさんいただろう。3回目のオリンピックも圧倒的な存在感を残し、フィギュアスケート史に残る挑戦となった。

もっと見る