マラソンスイミングとは?
マラソンスイミングは、海、川、湖など自然の水域で10kmのコースを泳ぐ、身体的な持久力だけでなく、精神的な強さや戦術的な能力も試される競技だ。
自然の水域では、選手たちは変化する水流といった状況に対応しなければならず、選手同士の接触も常に起こりうる。
約2時間におよぶレースの最後の3kmでは、エキサイティングなスプリントフィニッシュが見られる。
マラソンスイミングはいつ、どこで、誰が考案した?
1875年にマシュー・ウェッブ船長が英仏海峡を初めて泳いで渡って以来、マラソンスイミングの概念は存在していた。また、1926年には、19歳のガートルード・エデルレが女性として初めてイギリスとフランスの間を横断し、マラソン泳法が注目された。
"オープンウォーター "スイミングは、1991年にオーストラリアのパースで開催された世界選手権でワールドアクアティクス(当時はFINA)の正式種目となり、男女ともに25kmコースで競われた。2001年、日本の福岡での大会で10kmの距離が追加された。
マラソンスイミングのルールは?
マラソンスイミングの競技は、自然の水域で開催されることが条件だ。
レースはマススタートと呼ばれる、音とともに一斉に台から飛び込む方式で、レーン規制はない。そのため、選手同士の偶発的な接触は許される。
選手はトランスポンダーと呼ばれるリストバンドを装着し、タイムは随時リザルトシステムに記録される。
選手はレース終了時にパッドに触れて時計を止める必要があり、ペーシング、スリップストリーム、歩行、ジャンプ、トランスポンダーを装着せずにゴールした場合などは失格の対象となる。
マラソンスイミングの距離は?
オリンピックのマラソンスイミングは、10kmのコースで行われる。
マラソンスイミングとオリンピック
プールが採用される以前、近代オリンピックの第1回から第3回までは、海、川、湖などのオープンウォーター環境で水泳競技は行われていた。
初の公式マラソンスイミング競技は、北京2008で、男女ともに10kmのレースが行われた。
マールテン·ファン·デル·ウェイデン(2008年)、シャロン·ファン·ラウエンダール(2016年)、フェリー·ウィートマン(2016年)と、3人のオリンピック金メダリストを輩出しているオランダは、この競技でこれまで最も成功している国となっている。
北京2008の男子1500m自由形でオリンピック金メダルを獲得したチュニジアのウーサマ·メルーリは、ロンドン2012では10kmマラソン競技を制し、1500m自由形でも銅メダルを獲得。同じオリンピックで競泳とマラソンスイミングのメダルを獲得した史上初の選手となった。
注目のマラソンスイミング選手
東京2020では銀メダルに終わり、オリンピックタイトルの防衛を惜しくも逃した29歳のオランダ人女性シャロン·ファン·ラウエンダールは、2022年の世界選手権で優勝し、究極の挑戦者であり続けている。
東京で金メダルを獲得したブラジルのスター、アナ·マルセラ·クニャや、リオ2016と2022年の世界選手権で銀メダルを手に入れているフランスのオーレリー·ミュラーとのライバル争いも必見だ。
男子で注目したいのは、フロリアン·ウェルブロックとグレゴリオ·パルトリニエリ。ともに競泳とマラソンスイミングの両方でオリンピックと世界選手権のメダルを獲得している。
ドイツのウェルブロックは、東京2020ではマラソンスイミングで優勝、1500m自由形では銅メダルを獲得した。一方、彼のライバルであるイタリアのパルトリニエリは、リオ2016では1500m自由形の金メダルを獲得し、東京2020では800m自由形で銀、マラソンスイミングでは銅メダルを獲得した。
また、リオ2016でマラソンスイミングの銅メダル、2019年の世界選手権で銀メダルを獲得しているフランスのマーク=アントワーヌ·オリビエも、注目選手の一人だ。