2023年1月28日、全農日本カーリング選手権大会が開幕する。本戦出場をめぐるプレーオフが28日に実施され、本戦のラウンドロビンは29日から。2月5日に開催される決勝まで、一週間以上に渡って戦いが繰り広げられる。そしてその頂点に立ったチームには、3月にスウェーデンで行われる世界選手権へのきっぷが与えられる。
中でも注目なのが、例年の大会とは少し違ったチーム構成になっているところだ。
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■近年の日本選手権との違いとは?
ここ数年、女子カーリング界は"4強"を中心に回ってきた。ロコ・ソラーレ、中部電力、北海道銀行フォルティウス(現フォルティウス)、そして富士急だ。
しかし今大会に出場するのはロコ・ソラーレと中部電力のみ。
2018年の日本選手権を制した富士急は、2022年9月2日に休部を発表した。スキップの小穴桃里を中心に個性的なメンバーが揃う好チームだったが、オリンピックへの出場は叶わず。メンバーは別々の道を歩む選択を下した。昨年の日本選手権で予選敗退に終わった時点で4強時代の終わりは示されていたが、休部という事実は改めて女子カーリング界の勢力図の変化を表す象徴的な出来事となった。
そしてフォルティウス。2021年に北海道銀行とのスポンサー契約が終了してから「フォルティウス」として再スタートを切っていた彼女たち。今季も日本選手権への出場を目指していた。
しかし今大会につながる道央ブロック選手権大会後の検査でメンバーが新型コロナウイルスに感染していることが確認された。このため、感染症対策の規定により北海道カーリング選手権大会への出場が見送られ、今大会への出場の道が絶たれることになった(フォルティウスに関しては今後も強豪の一角としてカーリング界を盛り上げてくれるはず。その活躍が期待される)。
よって、今大会は北京2022オリンピックの銀メダリストであるロコ・ソラーレと、2022年世界選手権代表の中部電力を中心に回っていくことになりそうだ。
■未開の領域を切り開くロコ・ソラーレ
オリンピックで銀メダルを獲得してもロコ・ソラーレが歩みを止めることはない。本人たちの発言からも、結果を見ても、その点はうかがい知ることができる。
特筆すべきなのは今年1月に行われた"The Grand Slam of Curling"のカナディアン・オープンを制したことだ。グランドスラムはカーリング界最高峰のシリーズ。世界トップクラスのチームが集う大会で、日本勢初の優勝を手にしたのだった。
しかも倒してきた相手が凄まじい。準々決勝では、平昌2018オリンピック金メダルチームのTeam ハッセルボリに競り勝ち、決勝では世界ランキング1位のTeam エイナーソンに勝利。"Team Fujisawa"が改めて世界最高峰のチームであることを証明した。
メンバーの練度、実績、経験は今大会でも群を抜いていると言っていい。チームとしてどういった課題や目的を持って今大会に臨んでくるかにもよるが、優勝候補の筆頭といえる存在なのは確かだろう。
■高い壁を超えたい中部電力、旋風を巻き起こしたい北海道銀行
ロコ・ソラーレの牙城を崩したい中部電力。今シーズンは引き続き北澤育恵をスキップとし、サード中嶋星奈、セカンド鈴木みのり、リード石郷岡葉純というオーダーをベースに積み上げを行ってきている。
昨年12月に行われた軽井沢国際では予選敗退に終わったものの、Team エイナーソンに勝利。地力は示した格好だ。
日本選手権では2019年を最後に優勝から遠ざかっている。2020年、2022年も準優勝と国内屈指の強豪であることは示し続けているが、いずれも決勝戦でロコ・ソラーレに敗れている。今大会で大きな壁を乗り越えることができるか、注目される。
そして北海道銀行がこの2チームにどこまで迫れるかも見どころの一つだ。
昨年は新体制ではじめての日本選手権参加となったが、堂々の戦いぶりを披露。予選で中部電力と富士急に勝利するなど2位タイでプレーオフに勝ち上がった。準決勝では中部電力に敗れたものの、堂々の3位で大会を終えている。
軽井沢国際ではロコ・ソラーレに初勝利を上げるなど、昨年の旋風がフロックではなかったことを自らの力で証明してきている。若いメンバーが揃う成長著しいチームだけに、今年も躍動が期待されるところだ。
この3チームを中心に、他のチームがどこまで迫れるか。割って入るチームが現れるのか。その点も注目ポイントの一つになりそうだ。