今年の全仏オープンにラファエル・ナダルの姿はない…。
赤土のコートが特徴的なローラン・ギャロスで行われる全仏オープン。パリ2024オリンピック・テニス競技の会場でもあるローラン・ギャロスでの同大会を目前に控えた5月18日、14度の優勝を誇るナダルが記者会見を開き、欠場することを公式に発表した。「クレイ・キング」として知られるナダルは自身のコンディションに触れ、トーナメントが始まる5月28日(日)までに回復することは「不可能」であることを語った。
また、プロテニス選手として2024年が最後のシーズンになる可能性があることも語った。
スペインにある彼のアカデミーで開かれたこの記者会見で、ナダルは「(今年)ローラン・ギャロスでプレーすることはできません。毎日可能な限りどうにかしようとしているが、厳しい数ヶ月が続いている。オーストラリアで発生した問題への解決策を見つけることはできていない。ローラン・ギャロスでプレーするために必要なレベルに自分は達していない」と語った。
テニス界のスーパースターであるナダルは、1月に行われた全豪オープンの2回戦でマッケンジー・マクドナルドに敗れて以来、大会には出場していない。
ナダルは2016年に手首の負傷により全仏オープン2回戦で棄権することはあったものの、2005年の全仏オープン・男子シングルスで優勝して以来、毎年この大会に出場してきた。
しかし、「おそらくプロツアー最後の年になるだろう」と自ら口にする2024年に向けて体調を回復させるため、数ヶ月コートから離れる予定だという。
自身の体調についてナダルは、「しばらくの間、立ち止まる必要がある。僕ができることは『立ち止まること』。いつ戻って来られるかはわからないけど…たぶん2ヶ月、3ヶ月、4ヶ月…。僕は未来を予測するタイプの人間じゃない。ただ、自分の気持ちに従っているだけだ。自分の体にとって正しいことをしている。僕の目標であり願いは、(今)立ち止まって、もう一度(楽しむ)チャンスを自分に与えることだ」
「来年はとても複雑な年になるだろう。僕は理性的な人間なので、自分の状況がどうなっているのか、グランドスラムを戦って勝つことがどれだけ複雑なことなのかはわかっている。しかし同時に、僕はポジティブな人間である。トーナメントに戻ってきて、最大限のレベルで戦い、勝ちたい。そのために戦うつもりだが、待つしかないのが現実だ」
ラファエル・ナダル:全仏オープンで14度の優勝
過去18年間のうち、ナダルは全仏オープンで14度優勝している。2005年〜2008年、2011年〜2014年、2017年〜2022年。
これはプロテニス界で類を見ない記録である。昨年は、準々決勝でノバク・ジョコビッチに、準決勝でアレクサンダー・ズベレフに勝利し、決勝ではトレーニング・パートナーのキャスパー・ルードを下し、トロフィーを高々と掲げた。
ローラン・ギャロスでの戦績は112勝3敗で、2009年の4回戦でロビン・セーデリングに、2015年の準々決勝と2021年の準決勝でジョコビッチに2度敗れている。
四大大会・男子シングルスの優勝回数は22を数え、スペイン代表としてオリンピック金メダルを2つ手にしている(北京2008男子シングルス、リオ2016男子ダブルス)。
しかしナダルは、昨年からさまざまな怪我に悩まされてきた。ウィンブルドン準決勝のニック・キリオス戦では、腹筋の負傷により棄権し、以来、1年間のプレー数は13試合にとどまっている。
ラファエル・ナダルのパリ2024オリンピックは?
来年に迫るパリ2024オリンピックのテニス競技は、全仏オープンの開催地であるローラン・ギャロスが会場となる。果たして彼の姿を目にすることができるのか。
「今はまだ何も言えない。自分の状況、自分の体がどうなるかを予測するのは難しい。何かを言いながら、別のことをするのは嫌なんだ。選択肢を広げておきたい」
「もちろんオリンピックは、ぜひ参加したい大会のひとつだ」
「(記者会見という)このような形でキャリアを終えるつもりはない。記者会見ではなく、別の形でキャリアを終えるために、これまでのテニスキャリアにおいて十分な努力をしてきたと思っている」
ナダルは、北京2008の男子シングルスで金メダルを獲得し、リオ2016では友人であるマルク・ロペスとともに出場したダブルスで金メダルを手にしている。ロンドン2012は膝の故障のため、東京2020は日程の問題で出場していない。またリオ2016の男子シングルスでは、3位決定戦で錦織圭に敗れて4位となった。