カナダ・カルガリーにて開催中の「パン コンチネンタル カーリング選手権2022(Pan Continental Curling Championships 2022/以下:PCCC)」は現地時間11月5日(日本時間11月6日)に大会6日目を迎えた。日本からは、北京2022女子銀メダルのロコ・ソラーレ(藤澤五月、吉田知那美、鈴木夕湖、吉田夕梨花、石崎琴美)と、平昌2018代表チームのSC軽井沢クラブ(栁澤李空、山口剛史、山本遵、小泉聡、谷田康真)が出場している。
■ロコ、カナダに逆転
前日までの予選トーナメントを終え、9チーム中3位で準決勝へと駒を進めたロコ・ソラーレの相手は、前日(大会5日目)に黒星を喫したばかりのカナダだった。前半エンドを1−3のビハインドで追いかける日本代表は、相手に大量得点を許さない我慢を強いる試合を展開し、第9エンドで3点をマークするビッグエンドに成功。5−5の同点に並んで、最終エンドへと向かう。この第10エンドで、カーリングでは不利といわれる先攻スタートのロコ・ソラーレは1点を奪い、最終的に6−5として逆転勝利を収め、カナダを破り、PCCC決勝進出を決めた。
明日(現地時間11月6日・日本時間11月7日)に行われる決勝でロコ・ソラーレは、もうひとつの準決勝でアメリカ合衆国を下した韓国と対戦し、初代PCCCタイトルを目指す。
■男子は惜敗の4位
この日は、男子の準決勝も行われ、予選8チーム中4位で準決勝進出を決めたSC軽井沢クラブが、予選首位通過のカナダと対戦した。序盤に相手チームへ大量得点を許した日本は、第3エンドで2点を返すも、それ以上のスコアを決めることができず、第8エンド終了時点で6点の差がついて、コンシード(相手チームの勝利を認める)を選択する。その結果、2−8でカナダの決勝進出が決まり、SC軽井沢は3位決定戦へ回ることとなった。
もうひとつのアイスシートで行われた準決勝では、予選2位のアメリカと予選3位の韓国が対戦し、6−9で韓国が勝星をあげて、決勝進出を決めている。
そして、この日の最終セッションとして予定されていた男子の3位決定戦に、準決勝で敗れた日本とアメリカが顔を合わせた。第5エンドで4点をマークするビッグエンドを作った日本は、6−4とリードして後半を折り返す。しかし、その後半最初の第6エンドでアメリカに4点を奪われ、逆転を許してしまう。つづく第7エンドで1点を返し、1点差で相手チームを追いかけるも、最終の第10エンドまで得点を重ねることができず、最終的に7-8で日本はアメリカに惜敗し、PCCCを4位で終え、惜しくも表彰台を逃した。
■PCCCとは?
これまで「パシフィック・アジア選手権」と「アメリカ大陸チャレンジ」と、別々に実施されていたカーリングの大陸別選手権が、ミラノ・コルティナ2026の新たなオリンピックサイクルが動き出す今年(2022年)よりひとつに統合され、「パン コンチネンタル カーリング選手権」、通称「PCCC」として生まれ変わり、カナダ・カルガリーを舞台にしてこの秋、その第1回大会が開催されることとなった。
PCCCでは、男女ともにAとBのディビジョンに分かれてトーナメントが実施され、女子の場合、Aが9、Bが4の合計13チーム、男子の場合、AとBそれぞれ8の合計16チームがエントリーしている。日本代表は男女どちらも、Aディビジョンに属している。
このPCCCでは、シーズン締めくくりに開催される世界選手権の出場枠を獲得できる大会として位置付けられており、男女ともにAディビジョンの上位5チームに入ると、2023年3月下旬(女子・スウェーデン)と4月上旬(男子・カナダ)に予定されている今シーズン(2022/2023)の世界選手権の出場チケットを手に入れることができる。ただし、PCCC2022ホスト国のカナダは、男女両チームへ世界選手権出場枠を自動的に与えられることが決まっているため、今季については、カナダを除く上位4チームに入らなければならない。今大会の競技フォーマットを見渡したところ、予選となるラウンドロビン(総当たり戦)の試合を勝ち進み、準決勝へ進出する上位4チームへと勝ち上がれば、世界選手権の出場権もほぼ確実に獲得できると言えそうだ。
さらに、気をつけなければいけない点は、PCCCではAとBのディビジョンの入れ替えが行われる点だ。女子の場合、新型コロナウィルス(COVID-19)感染拡大の影響により、Aディビジョンに属する中国チームがPCCC出場を辞退しており、今季に限り、オーストラリアとニュージーランドを含めた9チームによるAディビジョンのトーナメントが実施される。このAディビジョン下位2チームは、来シーズン(2023/2024)はBディビジョンへ降格、またBディビジョンの優勝1チームはAへ昇格となり、本来のAディビジョン規定数である8チームへと戻されることとなっている。
また、男子の場合は、Aの最下位チームとBの優勝チームが、ディビジョンの入れ替えを実施することとなっている。
なお、ヨーロッパ大陸選手権は従来通り実施され、PCCC同様に世界選手権の出場枠を獲得できる仕組みとなっている。
男女ともに、世界選手権行きの切符はもちろんのこと、この初代大陸選手権のタイトルを手中に収めたい大会となるので、PCCC初日の氷上の試合から見逃せそうにない。
■PCCC競技日程
10月31日〜11月4日
- 男女 予選(ラウンドロビン)
11月5日
- 男女 準決勝
- 男子 3位決定戦
11月6日
- 男子 決勝
- 女子 3位決定戦
- 女子 決勝
■PCCC 出場チーム
Aディビジョン
女子
- オーストラリア
- ブラジル
- カナダ
- 香港
- 日本
- カザフスタン
- 韓国
- ニュージーランド
- アメリカ
男子
- オーストラリア
- ブラジル
- カナダ
- チャイニーズ・タイペイ
- 日本
- 韓国
- ニュージーランド
- アメリカ
Bディビジョン
女子
- チャイニーズ・タイペイ
- ケニア
- メキシコ
- ナイジェリア
男子
- ガイアナ
- 香港
- インド
- カザフスタン
- ケニア
- ナイジェリア
- カタール
- サウジアラビア
※世界カーリング連盟 掲載順