【プロ野球】2022年セントラル・リーグ展望|ヤクルトが2年連続日本一に挑む、巨人は巻き返しなるか

1 執筆者 林龍也
高津臣吾監督_20211127
(時事通信)

3月25日にプロ野球のセントラル・リーグが開幕。今シーズンは2019年以来、3年ぶりに観客の入場制限なしでの開催となり、久々に満員のスタジアムが観られそうだ。ここでは2021年の振り返り、2022年の展望、注目選手、新戦力などを紹介する。

■2021年シーズンの振り返り

2021年のセントラル・リーグは、前年最下位の東京ヤクルトスワローズが6年ぶりにリーグ優勝を手にした。序盤からAクラスを保ち、シーズン終盤に首位に立つと、阪神タイガースとのデッドヒートを制した。序盤は首位を快走した阪神も夏場以降は失速。中盤まで三つ巴の戦いを見せた読売ジャイアンツは、終わってみれば借金1のシーズンだった。

一方、広島東洋カープ、中日ドラゴンズ、横浜DeNAベイスターズは最後まで優勝争いに絡むことができなかった。広島、中日は中盤までAクラスを争う位置につけるものの、失速。DeNAは開幕から大きく負け越し、最後までその借金が響いた。

優勝したヤクルトは、クライマックスシリーズも危なげなく制し、オリックス・バファローズとの日本シリーズも4勝2敗で勝利。20年ぶりの日本一に輝いた。

■2022年シーズンの展望

連覇を狙うヤクルトは、戦力が充実している。村上宗隆、奥川恭伸といった若手に、山田哲人、小川泰弘の中堅、ベテランの青木宣親、石川雅規ら投打でバランスが良い。2連覇へ向けては選手層の底上げ、ケガ予防などがポイントとなる。

2年連続2位と苦杯を舐めている阪神は、ルーキーながら大活躍を見せた佐藤輝明、伊藤将司、中野拓夢が同様の活躍ができるか注目だ。大山悠輔の復調、藤浪晋太郎の復活、退団したスアレスに代わるクローザーを確立できるかが勝負の鍵を握る。

リーグ連覇が2で途絶え、何としても巻き返したい巨人だが、課題は多い。打線は主力の岡本和真、坂本勇人、丸佳浩に中田翔が機能すれば破壊力充分。しかし先発陣は経験のない若手が多く、エースの菅野智之にかかる負担は増えてしまいそうだ。

リーグ3連覇のあとは3年連続Bクラスとなっている広島。投手陣は大瀬良大地、九里亜蓮、森下暢仁を始め、先発陣が充実している。若手野手は育ちつつあるが、メジャーリーグに移籍した鈴木誠也に代わる主砲を確立できるか。

中日は立浪和義新監督を迎え、11年ぶりの優勝を狙う。大野雄大、柳裕也という左右のエースが健在で、小笠原慎之介も一本立ちのときを迎えそうだ。打線は長年の長打力不足を解消すべく、石川昂弥、鵜飼航丞ら若手の積極的な起用を見せている。

昨シーズンは外国人選手の入国が遅れたことが響き、6年ぶりの最下位に沈んだDeNA。初の開幕投手を務める東克樹、2年目の牧秀悟は順調な仕上がりを見せる。一方でエースの今永昇太が開幕絶望、オースティン、ソトも開幕を目前にしてリハビリ組に合流。就任2年目の三浦大輔監督が、どう逆境を跳ね返すか注目だ。

■注目選手

奥川恭伸(東京ヤクルトスワローズ)

2019年ドラフト1位で星稜高から入団した奥川恭伸。2年目の2021年は間隔を空けての登板ながら18試合で105回を投げ、9勝4敗、防御率3.26の好成績をマーク。7試合連続無四球を記録するなど、高いパフォーマンスを披露した。先発ローテーション入りが決まっている今シーズンはどのような成績を残すのか、期待が集まる。

牧秀悟(横浜DeNAベイスターズ)

中央大から2020年ドラフト2位でプロ入りした牧秀悟は、大活躍のルーキーイヤーを過ごした。開幕スタメンを掴むと、数々の新人記録を更新。8月にはルーキーとしては史上初のサイクルヒットも記録した。オフには新人特別賞も受賞するなど最高の1年目を送った。今シーズンは2年目ながら開幕4番が決まっており、オープン戦でも好成績をマーク。名実ともにDeNAの主砲へとステップアップしたい。

■新戦力

大勢(本名:翁田大勢/読売ジャイアンツ)

投手力に課題がある巨人だが、楽しみな投手が現れた。関西国際大からドラフト1位で入団した大勢だ。力のあるストレートが武器の右腕で、今春オープン戦では自己最速を更新する158キロをマークするなど、まだまだ伸びしろ充分。勝ちパターンのリリーフとして、チームを支える存在となれるか。

末包昇大(広島東洋カープ)

長年チームの主砲として活躍した鈴木誠也の後継者として期待されているのが、ドラフト6位ルーキーの末包昇大だ。高松商高では甲子園出場はなく、東洋大でも目立った成績を残すことはできなかった。しかし社会人野球の大阪ガスでは、3年目に4番として全国大会優勝に貢献し、プロ入りを果たした。オープン戦は苦戦しているものの、開幕スタメンをつかんだ。

■今シーズン達成されそうな主な記録

今シーズンも多くの大記録が達成されることが予想されるが、その中でも主なものをピックアップ。巨人の丸佳浩は、通算1500安打まであと41としている。故障さえなければ前半戦のうちに達成するだろう。ヤクルトの山田哲人はあと2本で通算250本塁打に到達する。中日の大島洋平は通算250盗塁まであと1に迫っている。

巨人の中島宏之、中田翔は1000打点に手が届きそうだ。ポジションの重なる2人だけに簡単な数字ではないが、1年間プレーできれば充分達成できるだろう。ヤクルトの石川雅規は、あと47回で通算3000投球回に到達する。もしも達成すれば史上28人目の記録となる。

※各種記録は開幕前時点

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