3月25日にプロ野球のパシフィック・リーグ公式戦が開幕する。今シーズンは2019年以来、3年ぶりに観客の入場制限なしでの開催となり、久々に満員のスタジアムが観られそうだ。ここでは2021年の振り返り、2022年の展望、注目選手、新戦力などを紹介する。
■2021年シーズンの振り返り
2021年のパシフィック・リーグは、オリックス・バファローズが前年の最下位から優勝へと一気に駆け上がった。シーズン序盤はBクラスだったオリックスだが、夏前に首位に浮上。一時は千葉ロッテマリーンズに首位を明け渡したものの、壮絶なデッドヒートを制して見事25年ぶりの優勝を決めた。
最後の最後まで粘ったロッテだったが、惜しくも涙を飲むこととなった。シーズン序盤は首位にも立った東北楽天ゴールデンイーグルス、福岡ソフトバンクホークスは勢いに乗れず、それぞれ3位と4位でシーズンを終えた。
北海道日本ハムファイターズは早々にBクラスに転落したが、最後に5位に浮上し意地を見せた。埼玉西武ライオンズは中盤までAクラスを争ったが、夏場に失速し42年ぶりの最下位に終わった。
クライマックスシリーズを制したオリックスは、日本シリーズで東京ヤクルトスワローズと対戦。粘りを見せたが、2勝4敗で惜しくも日本一は逃した。
■2022年シーズンの展望
リーグ連覇、悲願の日本一を狙うオリックスは、投打に充実。投手ではエースの山本由伸を筆頭に、昨シーズン新人王の宮城大弥、田嶋大樹、山岡泰輔、山﨑颯一郎と駒が揃う。野手も杉本裕太郎、吉田正尚の両主砲が今シーズンもチームを牽引する。
惜しくも2年連続の2位に終わったロッテは、若手が育ちつつある。投手では令和の怪物・佐々木朗希や、昨シーズン10勝の小島和哉にかかる期待は大きい。野手では和製大砲候補の山口航輝や、開幕スタメンマスクが決定的なドラフト1位・松川虎生にも注目だ。
9年ぶりの優勝を狙う楽天は、則本昂大、田中将大、早川隆久ら先発投手が充実。野手は新加入の西川遥輝がどのような働きを見せてくれるか。石井一久GM兼監督就任2年目の今シーズンは、勝負の1年となる。
8年ぶりのBクラスに終わり、日本シリーズ連覇も途絶えたソフトバンク。藤本博史新監督を迎え、巻き返しを狙う。千賀滉大や柳田悠岐ら実績充分の主力に加え、田中正義やリチャードらが飛躍を遂げることができれば、優勝もぐっと近づくだろう。
日本ハムは今シーズンから監督に就任した新庄剛志ビッグボスの、型破りな発想が連日話題をさらっている。派手なパフォーマンスに目が行きがちだが、裏には緻密な計算がある。新庄ビッグボスの指導で万波中正ら若手が覚醒し、台風の目となれるか。
3年ぶりのリーグ優勝を目指す西武は、昨シーズン不調に終わった"山賊打線"の復調が課題。野手では主砲の山川穂高にかかる期待が大きい。先発投手は髙橋光成、松本航という柱に、隅田知一郎、佐藤隼輔という2人のルーキー左腕が加わり、より強力な布陣となった。
■注目選手
佐々木朗希(千葉ロッテマリーンズ)
昨シーズンは間隔を空けながら11試合に登板し、3勝2敗、防御率2.27という好成績を残した。63.1回で68奪三振と高い奪三振率をマークするなど、"令和の怪物"の名に違わぬ活躍を見せた。今春オープン戦では既に163キロをマークするなどエンジン全開だ。リミットを外した佐々木朗がどれだけの活躍を見せるのか、日本中のファンが注目する。
杉本裕太郎(オリックス・バファローズ)
その風貌から"ラオウ"の愛称で親しまれるスラッガー・杉本。2015年の入団以来、その長打力に期待されつつもなかなか活躍できずにいたが、昨シーズンついに開花。134試合で打率.301、32本塁打、83打点をマークし、本塁打王に輝いた。今年は主砲としての真価が問われるシーズンとなる。
■主な新戦力
隅田知一郎(埼玉西武ライオンズ)
波佐見高では甲子園に出場、西日本工業大では大学No.1左腕として注目を浴び、2021年プロ野球ドラフト会議で4球団競合の末、西武に入団した左腕。最速150キロのストレートに加え、多彩な変化球を操る総合力の高い投手だ。ルーキーながら開幕ローテーション入りを掴み取り、左腕エースへと駆け上がる。
松川虎生(千葉ロッテマリーンズ)
高卒ルーキーの捕手ながら、開幕スタメンが確実視されるのがロッテの松川虎生だ。市和歌山高では小園健太(現・横浜DeNAベイスターズ)とのバッテリーで甲子園に出場。高校通算43本塁打を放った長打力も持ち味の松川。高卒新人で開幕スタメンマスクとなれば、炭谷銀仁朗(当時・西武)以来、史上3人目の快挙となる。
■今シーズン達成されそうな主な記録
今シーズンも多くの大記録が達成されることが予想されるが、その中でも主なものをピックアップ。西武の中村剛也は、通算450本塁打まであと8としている。今シーズンもレギュラーとして出続けることができれば難しい数字ではないだろう。ロッテのレアードはあと2本でNPB通算200本塁打を達成する。
ソフトバンクのベテラン・松田宣浩は、あと16打点で通算1000打点に到達する。若手の台頭が著しいソフトバンクだが、まだまだ健在なところを見せたい。西武の栗山巧は、通算1000四球まであと29に迫る。達成すれば史上17人目の記録だ。