東京マラソン2023が3月5日に開催される。この大会は世界最大規模の6大会で構成されるアボット・ワールドマラソンメジャーズの一つであり、ワールドアスレティックス(WA)による認定はエリートプラチナラベルと最高。日本陸上競技連盟(JAAF)のジャパンマラソンチャンピオンシップ(JMC)シリーズでも最も高いグレード1に認定されている。国内だけでなく、世界からも注目を集めるのがこの東京マラソンだ。
ブダペスト2023世界陸上競技選手権大会、 杭州2022アジア競技大会の日本代表選手選考競技会も兼ねる今大会。さらには、マラソングランドチャンピオンシップ(MGC)の出場権も今大会を通じて得られる可能性がある。MGCはパリ2024オリンピック日本代表を争う重要なイベントだ。
ここでは東京マラソン2023の注目日本人選手や見どころを紹介する。
■男子は大迫傑が最注目
最も多くのスポーツファンが関心を寄せているのが、大迫傑(Nike)だろう。2021年に行われたTokyo2020で6位入賞。その後は現役引退し、一時は競技シーンから離れていたが、2022年2月に復帰を表明した。
復帰レースは同年6月6日に行われた日本体育大学長距離競技会の5000m。13分30秒23というタイムで再出発をスタートさせた。9月にはハーフマラソンで1時間01分05秒。そして11月には復帰後初マラソンとしてニューヨークシティマラソンに出場した。タイムは2時間11分31秒で、5位入賞の成績も残している。
2023年に入り、ニューイヤー駅伝に出場。そしてついに、東京マラソンで復帰後初となる日本開催のマラソンを迎えることになる。もちろん、Tokyo2020以来の日本でのマラソンだ。
東京マラソンは2020年に、当時の日本記録となる2時間05分29秒を記録した場所でもある。オリンピックでも世界と伍したトップランナーの、新たな日本記録更新に期待が高まる。パリに向けてという点では、大迫はMGC出場権を手にしていない。2時間8分以内でのフィニッシュ、もしくは2時間10分以内で日本人3位に入ることが最もシンプルな出場権獲得条件だ。ニューヨークシティマラソンの結果との平均による、ワイルドカードでの出場権獲得の可能性もある。
現日本記録保持者の鈴木健吾(富士通)は負傷の影響で欠場。新旧日本記録保持者の直接対決が見られないのは残念だが、日本トップの実力者が多数控えている。2時間6分台の自己ベストを持つ土方英和(旭化成)、細谷恭平(黒崎播磨)、井上大仁(三菱重工)はその筆頭だろう。元日本記録保持者で、MGC出場権を狙う設楽悠太(Honda)や、Tokyo2020日本代表の中村匠吾(富士通)も楽しみなランナーだ。
■女子は一山麻緒と松田瑞生が激突
女子は日本女子マラソン界を牽引する一山麻緒(資生堂)と松田瑞生(ダイハツ)がトップを争う形になりそうだ。
2023年1月のヒューストンマラソンで2時間19分24秒をマークした新谷仁美(積水化学)を除いて、現役選手で2時間20分台の自己ベストを持つのは一山と松田のみ。この直接対決が最大の見どころとなる。
一山の自己ベストは2時間20分29秒。2020年の名古屋ウィメンズで残した記録だ。また、Tokyo2020では8位入賞。2022年の東京マラソンでは2時間21分02秒、日本人トップの6位という成績も残している。昨年の世界選手権では代表に選ばれていたものの、新型コロナウイルス感染症の養成判定を受け、直前と欠場となっていた。
3月3日に行われた東京マラソンの記者会見で、2022年12月に肋骨を疲労骨折していたことを明かした。コンディションに不安を抱えているようだが、10月に同じく東京で行われるMGCにつながるようなレースを期待したい。
Tokyo2020出場こそ逃したが、パリに向けて順調な歩みを見せているのが松田だ。
2020年の大阪国際女子マラソンで優勝、2021年は名古屋ウィメンズマラソンで優勝。2022年は再び大阪国際女子マラソンで優勝し、2時間20分52秒の自己ベストも打ち立てた。同年は世界選手権にも出場し、入賞まで15秒届かなかったものの9位でフィニッシュした。
2023年は走り慣れた大阪国際女子マラソンを回避し、東京マラソン出場を選択。東京マラソンは初出場となる。3日の記者会見では「好調」と明かしており、野口みずきさんが2005年に打ち立てて以降、未だ塗り替えられていない日本記録更新を狙う。
■日程・スタート時間
2023年3月5日(日)
- 9:05 車いすマラソン・車いす10.7km スタート
- 9:10 マラソン スタート
- 11:00 10.7km 競技終了
- 16:10 マラソン 競技終了
【放送予定】
■東京マラソン2023 エリート招待選手
※2023年2月25日時点