体操競技の世界選手権の最終日となった11月6日、種目別・平均台決勝が行われ、日本代表の渡部葉月(わたなべ・はづき)が優勝した。
平均台決勝には、この大会の個人総合で優勝したブラジルの**レベッカ・アンドラーデや東京2020オリンピックの平均台で4位に入賞した、エルサベス・ブラック**、そして日本の宮田笙子らが出場。
5番目に演技を行った渡部は、Dスコア(difficulty/価値点)では8人中2番目に低い5.500点だったものの、Eスコア(execution/実施・出来栄え点)を8人中最高の8.100点とし、金メダルを獲得した。
試合後、渡部は「(得意な種目は)4種目の中だったら段違い平行棒って感じで、(平均台は)落下の確率が高かったから、あんま得意じゃないかなって思っていたけど、いきなりなんか…」と、はにかみながら戸惑いを口にした。
愛知県出身の渡部は、2004年8月生まれの高校3年生。
体操を始めたのは2歳のときで、「自分は兄と姉がいるんですけど、姉がやってるのを見て『自分もやりたい』みたいな感じで、体操以外にもいろいろやってました」と、渡部。好奇心旺盛で元気な子どもだった様子がうかがえるが、そんな子を持つ母は娘に体操をさせたという。
「自分が家で元気すぎて、お母さんが(私を)疲れさせるために(体操クラブに)入れたっていうのは聞きました」と渡部は笑う。
尊敬するのは、ロンドン2012、リオ2016オリンピックに日本代表として出場した寺本明日香さん。同じ愛知県出身で、一緒に練習することもあったという渡部は、「調子が悪いときは誰にでもあると思うんですけど、その中でも(寺本さんは)すごい調子が落ちるっていうのは自分が見た感じではなかったと思う。長い間、代表で居続けたすごいなと思って、尊敬しています」と話す。
自身初の世界選手権で日本女子として最年少18歳での金メダル獲得となったが、そういったことも含めて「実感がない」と話す渡部は、これまでも、そしてこれからも目標は変わらない。
「今回は平均台でしか種目別決勝に残れなかったのと、補欠からの正メンバーというので、平均台も他の種目も強化して、次は補欠じゃなくて最初から正メンバーに入れるように(頑張りたい)」と目標を語り、「来年(世界選手権2023)こそは、団体でパリの権利を取れるように、また個人総合でも世界で戦えるような選手になれるように頑張りたい」と成長を誓った。
パリ2024オリンピックの出場権は、今回の世界選手権の団体総合の結果により、上位3チームに与えられ、2023年10月1日〜8日にベルギーのアントワープで開催される2023年の世界選手権で残りの9チームが決まる。