ベルギー・アントワープで行われている体操競技の世界選手権が3日目を迎えた10月2日、現地時間夜に女子予選が終了。前回の世界選手権でパリ2024オリンピックの出場枠獲得がお預けになっていた日本女子は、4種目合計を158.497点として団体総合予選8位となり、パリ2024オリンピック出場枠を獲得した。出場枠獲得が決まると、選手たちは涙と笑顔で喜びを分かち合った。
また予選8位以内に入ったことで、10月4日に予定されている女子団体決勝にも駒を進めた。
今回の大会では、前回大会トップ3でパリ2024出場枠をいち早く確保した、アメリカ合衆国、英国、カナダを除き、予選の上位9チームがパリ2024出場枠を獲得。1チームは5人で構成され、オリンピック各国代表の編成に関しては国内オリンピック委員会(NOC)が責任を持っており、パリ2024への選手の参加は、選手が属するNOCがパリ2024代表選手団を選出することにより確定する。
10月1日、2日の2日間で実施された女子予選で、日本代表は現地時間10月2日夜8時にスタートした9班で演技を行った。メンバーはエース宮田笙子(しょうこ)、岸里奈、深沢こころ、畠田千愛(ちあき)、芦川うらら。
段違い平行棒や平均台で落下があったものの、日本代表チームは互いに声を掛け合って演技をつなぐと、9班終了時点で暫定6位となり、最終10班で演技を行う2チームを残して、上位9チームが獲得できるパリ2024出場枠獲得を確かなものとした。
エース宮田は、最初の種目となった跳馬をしっかりと決めて14.100点とするなど笑顔を見せたが、平均台で落下して11.900点にとどまると、ゆかでも一部乱れて、演技終了後には顔を覆うような仕草も見せた。
予選後、Olympics.comのインタビューに答えた宮田は、「前半種目はいい演技でつなげたし、落ち着いていたんですけど、平均台でミスが出てから心に乱れが生じて、ゆかでも少し危ない部分が多かった」と振り返った。
その中でもパリ2024オリンピックの出場枠獲得に貢献したことについて、「団体のことを思って、0.1を大切にしたからこそ取れた結果だと思う。少し不安になってたけど、肩の荷が下りた」と、大会前の不安を言葉にした。
決勝に向けては、「団体決勝はメダルを狙いたいので、細かいミスは許されないと思っています」とし、「あとは楽しんで、という感じです」と話した。
[女子団体総合、決勝進出チーム]
- アメリカ合衆国
- 英国
- 中華人民共和国
- ブラジル
- イタリア
- オランダ
- フランス
- 日本
また、個人総合予選で25位の岸里奈、26位の畠田千愛が、予選上位24人(各国2選手まで)で競われる10月6日の個人総合決勝に進出。7日、8日で予定されている種目別決勝は予選上位8人で行われ、日本からは種目別跳馬で宮田、種目別平均台では2021年大会で金メダルを獲得した芦川が予選を通過した。
選手たちは日本体操協会を通じてコメントを発表。2大会連続の出場となった最年長の21歳の深沢は、「パリへの切符がとれたことは、率直にうれしいです。チームの雰囲気がすごく明るく元気で、ミスが出たとしてもしっかり励まし合って、粘り強く最後までやり切れたことが、この結果につながったと思う。団体決勝では最後まであきらめずにしっかり演技していきたい」と喜びを噛み締めた。
初めての世界選手権となった岸は、「(初の世界体操で)緊張はもちろんあったんですけど、それを仲間たちがリラックスさせてくれて、最後のゆかはすごく楽しく演技できました。今日の予選で出たミスを決勝で活かせるように、 ひとつずつ落ち着いていい演技をして、目標のメダル目指して頑張りたいと思います」と語った。
また、同じく初出場の畠田は、「自分自身、初の世界体操なので不安があったり、トップバッターとして流れを作らなきゃいけないというプレッシャーもあったが、まわりがいつもの練習の時と同じような応援をくれてリラックスして演技ができた。少し反省点はありますが、まずは五輪の権利を取れてすごく良かったです」。
芦川は、「2年ぶりの世界体操、団体出場が初めてで緊張した部分もあったが、無事にパリの権利を獲得することができて、本当にほっとしています。みんながつないだおかげで、団体決勝へも行けるので、自分たちができる最高の演技をして、目標としているメダルを獲得できるように頑張りたいと思います」と意気込みを語った。