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19世紀に誕生した自転車。初期の自転車は、現在、私たちが目にする自転車とは姿が異なっていたが、さまざまな進化を遂げ、同世紀後半には現在の自転車の原型ができ上がった。世界初の室内トラックレースは、1878年ロンドン北部で行われた6日間レース(1000マイルレース)と言われている。このとき木製のトラックが使用された。その後トラックレースは、たちまち人気になった。1892年に国際自転車連合(現UCIの前身)が組織され、1893年には初めて自転車競技世界選手権がアメリカ合衆国シカゴで開催された。
トラックレース競技は、ヴェロドロームと呼ばれる、全長250mのお椀型のトラックで行われ、男女それぞれ個人種目と団体種目を含む6種目で競い合われる。トラックレース用自転車は、ロードレース用自転車と異なりブレーキはなく、ギアは固定されている。
トラックレース競技のそれぞれの種目は、特有のルールの下で実際される。また、種目によって必要とされるテクニックやフィットネスが異なり、戦略が重視されるもの、筋力とパワーが高く要求されるものなどがある。たとえば、750mの個人スプリントと複合種目であるオムニアムの25kmポイントレースでは、トラック1周ごとに求められるパフォーマンスは大きく異なっている。
トラックレース競技は、近代オリンピックの歴史の中で最も古い正式競技のひとつ。1912年ストックホルム大会(ロードレースのみ実施)を除いて、1896年の第1回アテネ大会から全てのオリンピックで実施されている。1988年のソウル大会からは、女子種目も実施されている。
120年以上にわたるトラックレースの歴史の中で、ヨーロッパ諸国、特にイギリス、フランス、オランダ、イタリアがオリンピックにおけるメダルの多くを獲得している。