自転車競技トラックレース・窪木一茂、メダルを懸けてパリを駆ける/パリ2024オリンピック

執筆者 Lynn Watanabe / 渡辺凜
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Japan's Kazushige Kuboki celebrates his victory in the men's omnium points race 4:4 of cycling track event during the Hangzhou 2022 Asian Games in Hangzhou, in China's eastern Zhejiang province on September 28, 2023
写真: Getty Images

Tokyo2020オリンピックでは数少ない有観客のレースとして開催され、梶原悠未の女子オムニアム銀メダル獲得などで注目を集めた自転車競技トラックレース。ヨーロッパにおいて自転車競技はトラックレースを始め、ロードレース、BMX、マウンテンバイクと種類も多様だ。人気の高いスポーツの一つとして浸透している。

今回はリオデジャネイロ2016に続く2度目のオリンピック挑戦となる、35歳のベテラン窪木一茂(くぼき・かずしげ)について紹介する。

8年かけて積み上げてきた成果

自身初のオリンピックとなったリオデジャネイロ2016では、男子オムニアム種目で14位と苦杯を喫した。しかし、今大会に至るまでの8年間で世界と戦うための準備を整えてきた。

トレーニングセンターでの専門家集団によるサポート体制、競輪においてはスピードとスタミナの両面を強化。世界で戦えるレベルまで水準を引き上げてきた。

その証拠に、2022・2023の世界選手権ではオムニアムの第1種目であるスクラッチで銀メダルを獲得。オリンピックの最終選考会となったUCIトラックネイションズカップ2024第3戦では、パリ2024で窪木が出場を予定しているオムニアム種目で銀メダルを奪取した。

また個人としての競技成績のみならず、日本チームにおいても貴重な存在となっている。

トラックレース種目の日本人最年長選手にして、海外での経験も長い。年齢を重ねながらも結果を出し続けている。非常に頼りになる「先輩」として、後輩選手たちに背中を見せ続けている選手だ。

マディソン

写真: Getty Images

パリ2024、自転車トラックレースは8月5日スタート

窪木は個人種目であるオムニアムを含め、マディソン、チームパシュートの合計3種目に出場を予定。それぞれの種目の注目ポイントを紹介する。

オムニアムでは、窪木の強みであるスプリント力が活かされる1種目目のスクラッチを始め、一発大逆転アリの最終種目・ポイントレースまでどの種目でも闘える実力がある。最後まで目が離せないレース展開が期待される。

マディソンはトラックレースの中でも特に人気の高い種目の一つ。窪木と橋本英也のペアで出場が予定されている。2人はUCIトラックネイションズカップ2024第3戦で銅メダルを獲得。息のあった交代シーンにも注目が集まる。

チームパシュートは、自転車競技の中距離種目で長年出場が熱望されていた種目だ。Tokyo2020の雪辱を果たすため、TEAM JAPAN一丸となってレース毎に修正を続け、タイムを縮めてやっとの思いでオリンピック出場にこぎつけた競技でもある。4人の選手が美しい隊列を組んで走る姿が魅力の一つだ。出場予定選手は窪木一茂橋本英也今村駿介中野慎詞の4名となっている。(リザーブ:松田祥位

自転車競技トラックレース男子は、現地パリ時間8月5日からスタート。

中距離種目、悲願のメダル獲得へ──。

窪木一茂が8年に及ぶ鍛錬の日々を経て、メダルを懸けてパリを駆ける。

チームパシュート

写真: Getty Images

窪木一茂

プロフィール

  • 生年月日:1989年6月6日(35歳)
  • 出身地:福島県石川郡古殿町
  • オリンピック歴:リオ2016 男子オムニアム 14位
  • 出場種目:男子オムニアム、男子マディソン、男子チームパシュート
  • ソーシャルメディア:InstagramX

※年齢は2024年7月26日パリ2024オリンピック開会式当日を基準とした。

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