写真: justin setterfield
東京2020オリンピックでは、梶原悠未がオムニアム種目で銀メダルを獲得し、日本人女子自転車選手として初めてのメダル獲得となった自転車トラックレース。
パリ2024オリンピックでは東京大会と同様、12種目(男子6、女子6)が行われ、持久系3種目(オムニアム、チームパシュート、マディソン)、スプリント系3種目(ケイリン、スプリント、チームスプリント)で構成される。
自転車トラックレースは2024年8月5日に女子チームスプリント予選からスタートし、同日には同種目のメダリストが決定。翌日には男子チームスプリント、7日には女子・男子チームパシュートで決勝が行われるなど、ほぼ毎日メダル決定戦が予定されている。梶原が金メダル獲得を目指す女子オムニアムは、パリオリンピック最終日となる8月11日に、トラックレース最終種目として実施される。
ここでは、パリ郊外にあるヴェロドローム・ド・サン・カンタン・アン・イヴリーヌで行われるパリ2024の自転車トラックレース競技の注目ポイント、日本代表選手、試合日程を紹介しよう。
最大傾斜角度45度、周長250mのすり鉢状の板張りトラックで繰り広げられる、緊迫感あふれるトラックレース。東京大会では、英国が金メダル3個を含む7個のメダルを獲得し、オランダが6個のメダルを獲得、強豪ヨーロッパ勢の活躍が目立った。パリ2024で行われる個人と団体の6種目は以下の通り。
ケイリンは、シドニー2000から柔道に次ぐ日本生まれのオリンピック種目として採用された。トラック6周回のうち、スタートから3周までは先導するペーサー(ペースメーカー:電動アシスト付き自転車)が集団のスピードをあげる。このペーサーが退避してから最後の3周回のスプリントで勝負が決まる。激しいポジション取りの駆け引きが行われ、最後までわからないスリリングな戦いと選手の戦略が見どころだ。北京2008で、永井清史が男子ケイリンで日本人初の銅メダルを獲得した。
男子は、近年オランダ勢がトップを独占していたケイリンだが、2023年世界選手権でコロンビアのケビン・キンテロが素晴らしい勝利を収めた。また、初出場の2023年世界選手権で銅メダルを獲得した中野慎詞、2021年・22年の世界選手権で2大会連続銀メダルの佐藤水菜にも期待が高まる。
複数種目(スクラッチレース、テンポレース、エリミネーションレース、ポイントレース)で構成される自転車の複合種目で、ロンドン2012からオリンピック種目となった。1日で4種目が実施される「オムニアム」は、最初の3種目で各順位に応じて得点が与えられ、これらの得点を合計した状態で最終種目のポイントレースが実施される。最終的に総得点が最も高い選手が勝者となる。ポイントレースでは得点による順位変動が大きいため、最後まで目の離せない展開が注目ポイントとなる。
様々なトラック種目で7つのUCI世界チャンピオンタイトルを持つ東京2020女子オムニアム金メダリストのジェニファー・バレンテ(アメリカ合衆国)は、2024パン・アメリカ選手権トラックで5冠を達成し、勢いに乗っている。東京2020でバレンテに続き銀メダルを獲得した梶原悠未は、静岡県清水町での壮行会で「いつも通り。いつもの大会と同じようにオリンピックも戦います」と平常心を強調し、目標である「金メダルを獲得できるように全力で頑張ります」と力強く宣言した。男子の窪木一茂はリオ2016での12位以来、2大会ぶりに代表の切符を獲得している。
ライダーは予選で200mのFTT(フライングタイムトライアル)を行い、この結果でトーナメント組み分けを決める。 トーナメントでは1対1で対戦し、トラック3周を先着した選手が勝者となる。勝ち上がりが進むと3回戦方式となり、最初に2回勝利した選手が勝ちとなる。スプリントは選手の駆け引きとテクニックが凝縮された種目で、自転車に乗りながらバランスを取り、その場にピタリと停止したり、最高時速80kmにもなるスパートをかけたりと、緩急をつけた走りや戦略的な位置取りなど、お互いの動きを読み合う心理戦も見どころとなる。
男子は、東京2020で個人&チームスプリントで金メダル、ケイリンで銅メダルに輝いたハリー・ラブレイセン(オランダ)、女子は複数のUCI世界タイトルを持つレアソフィー・フリードリヒ(ドイツ)を抑え、圧倒的なパフォーマンスで2023年世界女王に輝いた21歳のエマ・フィヌケイン(英国)、東京2020金メダリストのケルシー・ミシェル(カナダ)などがメダル候補となるだろう。5月の2024ジャパントラックカップ予選200mFTTで自身の持つ日本記録を2日連続で塗り替えた(10秒479)佐藤水菜の世界への挑戦にも期待したい。また、2023年のアジア競技大会で金メダルを獲得した男子の太田海也も佐藤同様オリンピック初出場となる。
4人1組のチームで4kmを走り、3番目の選手がゴールしたタイムを競う。空気抵抗を減らすため、一糸乱れぬ陳列で一列になって先頭交代をしながら進む、そのチームワークに注目したい。予選のタイムトライアルの後は、2チームずつ先着を競う対戦形式となり、「団体追い抜き」とも呼ばれる。
男女ともに英国が強豪国で、女子はニュージーランド、オーストラリア、男子はアメリカ合衆国、イタリア、デンマークなどがメダル有力とされる。また、開催国フランスも表彰台が期待される。
3人1組で戦うタイムトライアルでは、3人が同時にスタートし、1周ごとに先頭選手が離脱して、最後の1人のタイムで順位を競う。予選のタイムトライアルで上位に入ったチームが勝ち上がり戦に進出し、対戦形式で行われる。1周ごとに先頭を引く選手が変わるため、それぞれの強みを活かしたチームプレーで役割を最大限に発揮できるかが勝利への鍵となる。第1走者はスタートダッシュの瞬発力に優れ、第2走者は最高速度に達する力を持ち、第3走者はその速度を維持する持久力が必要とされる。この種目では、アテネ2004で、長塚智広、伏見俊昭、井上昌己が自転車トラックレース日本史上初となる銀メダルを獲得した。
ワールドカップで2度金メダルを獲得しながらも東京2020の出場を逃した日本男子チームは、パリで雪辱を果たすことを目指す。BMXレーシングトップレーサーでリオ大会・東京大会出場の長迫吉拓は、今回男子チームスプリントメンバーとして出場する。
2人1組で自由に交代しながらポイントを獲得していくポイントレース。10周ごとに設けられたポイントが獲得できるスプリント周回を4位以内で通過するか、メイン集団を1周追い抜いてラップを取ることでポイントを稼ぎ、最終的な合計得点で勝敗を決める。ハイスピードな展開の中、各チームの交代テクニックやスプリント周回前の位置取り、スプリント勝負が注目ポイント。交代のタイミングは自由だが、選手が繋いだ手を支点に、弾みをつけるようにスピードを上げて交代するテクニックは見どころだ。
女子は、オリンピック3大会連続金メダル(金5個、銀1個)の偉業を成し遂げたローラ・ケニー(英国)が今年3月に引退を発表し、東京2020チャンピオン不在の中、新たなオリンピック金メダリスト誕生に注目が集まる。
パリ2024では、2000年以降過去6大会で最多となる男女13名(男7、女6)の日本代表が出場する。窪木一茂、橋本英也、梶原悠未、長迫吉拓(BMXレーシング2回、トラック初)以外の10名はオリンピック初出場となる。
リザーブ:松田祥位(男子オムニアム)、梅川風子(女子オムニアム)
以下すべて現地時間(日本はパリより7時間進んでいる)。※日程は変更になる可能性もある
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