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自転車競技は、伝統的なものから現代的なものまで、時代を反映しながらさまざまな種目を創造し発展してきた。中でも、ロードレースは最も古い種目だ。19世紀後半、自転車はチェーンとギアを使った装置の発明により劇的な進化を遂げ、人々から絶大な人気を集めた。1868年には、パリ西部のサン・クルー公園で初めてのロードレースが行われた。しばらくして、フランス自転車連盟が創設(1881年)。さらにその後、1900年4月、国際自転車競技連合(UCI)が設立され、現在も世界の自転車競技を率いている。
オリンピックのロードレース競技は、公道などの屋外道路を使用して行われる。男女それぞれ、ロードレースと個人タイムトライアルの2種目。
ロードレースでは、選手はマススタートで一斉に出発し、長時間にわたり持久力を駆使しつつ、一方で戦術的な能力が要求される。レース距離は、女子で120km以上、男子で200km以上。しかしながら、勝負はフィニッシュライン手前の数100mで繰り広げられるスプリントで決まることが多い。したがって、選手は、レース前半にエネルギーを温存する戦略を実行し、最後のスプリントに備え、できるだけよいポジションを取っておく戦術が求められる。
個人タイムトライアルは、各選手が時間差でスタートする単独レース。ロードレースよりは距離が短く50kmを超えることはまれだ。タイムトライアルでは、ロードレースのようにペロトンの中での他の選手との駆け引きがない代わりに、高い集中力と、エネルギー供給を保ちながら一定のペースを維持する能力が求められる。空気抵抗を可能な限り軽減するエアロポジションが特徴的だ。
ロードレースは、1896年の第1回近代オリンピックアテネ大会から実施され、オリンピック競技の正式競技として最も古いもののひとつだ。続く3大会では実施されなかったものの(自転車競技としてはトラックレースのみ)、1912年のストックホルム大会から320kmに及ぶ「個人タイムトライアル」として復活した(トラックレースは実施されなかった) 。女子ロードレースは、1984年のロサンゼルスオリンピックで正式種目として追加となった。現在の男女タイムトライアルは、アトランタ1996から正式種目となる。
アトランタ1996までは、プロ自転車選手のオリンピック出場は認められていなかったが、現在はプロ選手も参戦し、世界最高峰のサイクリストによる壮観なレースは、オリンピックに華やかな彩りを添えている。