パリ2024オリンピック自転車競技ロードレースのコースが公開
7月4日(火)、パリ2024オリンピック自転車競技(ロードレース、個人タイムトライアル)のコースが公開された。オリンピック史上初めて、個人タイムトライアルでは男女とも同じコースを走ることになる。
ツールドフランスの第4ステージが開催される中、パリ2024会長、トニー・エスタンゲは、パリ2024オリンピックの自転車競技コースが、壮大かつチャレンジング、そして全ての人に開かれた競技大会を目指すという大会方針にのっとったものとなっていることを明らかにした。
総距離男子273km、女子158kmからなるロードレースのコースは、全体として起伏が多く、パリのモンマルトルへの最後のテクニカルな登り、トロカデロ広場のフィニッシュ前の石畳とつづら折り区間があるなどチャレンジングなものとなっている。
コースはまた、イル・ド・フランス地域圏にあるパリ郊外のエリアも使われる。パリ南東部のヴァル・ド・マルヌ県はタイムトライアル、さらに南部に位置するエソンヌ県はロードレースのコースの一部になる。
「都市で開催されるロードレースは他には見られない特別なものです。ファンは沿道から自由に応援することができます」とエスタンゲ会長は述べた。
「素晴らしいスポーツイベントになるだけでなく、壮観なショーとしても楽しむことができます。オリンピック史上、最も長い距離で行われる厳しいレースになりますが、フィニッシュはとても感動的なものとなるでしょう」とエスタンゲ会長は付け加えた。
パリ2024ロードレースコース
シェブリューズ渓谷を通る周回コース
2024年8月3日(土)、4日(日)、トロカデロ広場をスタートした選手は、パリ5区のルイ・ゲイ・リュサック通りの本スタートまで、エッフェル塔、セーヌ川、アンヴァリッド、カルチエ・ラタンを通る5kmの行進区間をまず走る。その後、パリを離れることになる選手たちが、再びパリ(トロカデロ広場)に戻ってくるのはこの日の午後遅くになるだろう。
オリンピック史上初めて、男女同じ人数(男子90名、女子90名)の選手が出場するロードレース。レースは、オー・ド・セーヌ県ムードンの最初の登りコート・デ・ガルデ(距離1.9km、勾配6%)から本格化する。
選手は、優れた建造物として世界から注目されるヴェルサイユ宮殿前を通過する。ヴェルサイユ宮殿は、オリンピックとパラリンピックの馬術などの競技が行われる会場となる。
男女とも通る後半のシェブリューズ渓谷では、ポート・ロイヤル峠(距離1km、勾配5%)、サン・レミ・レ・シェブリューズ峠(距離1.3km、勾配6.3%)、世界で最初にツールドフランスで5回総合優勝したフランスのロードレース選手、ジャック・アンクティルの記念碑のあるシャトーフォール峠(距離0.9km、勾配5.7%)などの難関で知られる峠が選手を待ち受けており、非常にチャレンジングな区間となる。
過酷な登りの連続は、途中、女子コースではセルネーラヴィル峠(距離1.1km、勾配3.9%)で頂点に達し、男子コースではセンリッセ峠(距離1.3km、勾配5.3%)、ハーボウヴィラーズ峠(距離0.85km、勾配5.7%)、ビエ―ヴル峠(距離1.2km、勾配6.5%)で頂点に達する。
これらの区間は、選手が登りによって減速して通過するため、ファンや観客にとっては見ごたえのある区間となるだろう。
パリの西側一帯を通過する周回となるコース区間は、男子で225km、女子で110kmの距離に及ぶ。途中には、ゴルフ・ナショナルやヴェロドローム・ド・サン・カンタン・アン・イヴリーヌ(フランス自転車連盟の本拠地)など、他のオリンピック・パラリンピック会場も見ることができる。
モンマルトルの丘:レースは最後の登りへ
ルーヴル美術館のピラミッド、ガルニエ宮(オペラ座)前を通過して首都に戻った選手たちは、ここからさらにレース最後の48kmに臨むことになる。
パリのシャンゼリゼ通りは、毎年7月のツールドフランスでの壮観な光景でよく知られているが、パリ2024では、男女のペロトンはパリ北東に向かい、18.4kmの周回コースを2周する。この短い周回コースにはテクニカルなコーナーやモンマルトルの丘の石畳の登り(距離1km、勾配6.5%)が毎周回、待ち構えている。
2周回した後、選手は3度目最後のモンマルトルの丘に臨み、頂上にあるサクレ・クール寺院を目指す。ここを通過すれば後はフィニッシュまで下りの区間となる。
選手はセーヌ川沿いを残り9.5km走り、最後はイエナ橋を渡り切ってトロカデロ広場のフィニッシュラインまでの230mスプリント勝負となる。ここがロードレース最大の見どころだ。
イエナ橋のたもとのフィニッシュまでの女子158km、男子273kmのコースを最初に走り切った選手がチャンピオンとなる。そして、オリンピックメダルが授与された時、空に向かって高く手を挙げたその背景にエッフェル塔が浮かび上がり感動的なシーンを演出するだろう。
「観客やテレビの視聴者は、ヴェルサイユ宮殿、シェブリューズ渓谷、ヴァンセンヌの森、アンヴァリッド、エッフェル塔などの素晴らしいコースに驚くと思います。ロードレースによって、ヴァル・ド・マルヌ県やエソンヌ県のような比較的新しい地域にもオリンピックがもたらされたことを嬉しく思います」とパリ2024会長、トニー・エスタンゲは話した。
パリ2024タイムトライアルコース
個人タイムトライアルは、ロードレースの1週間前に開催される。ロードレースと同様に、オリンピック史上初めて男女同人数(男子35名、女子35名)の選手が個人タイムトライアルに出場することになる。加えて、個人タイムトライアルでは、男女が同じコースを同じ距離走る。これもオリンピック史上初めてのことである。
2024年7月27日(土)、選手は1人ずつ、エスプラネード・デ・アンヴァリッドから32.4kmの平坦コースをスタートする。
サン・ジェルマン・デ・プレ地区を後にして、選手はシュリー橋を通ってセーヌ川を渡りバスティーユ広場にたどり着く。ヴァンセンヌの森に向かう途中、ジャック・アンクティル自転車競技場を通過する。このヴェロドロームには、パリ1924の会場として、1968年から1974年までツールドフランスのフィニッシュ会場として使われたスポーツの歴史を持つ施設のひとつだ。
選手は次に、パリの自転車愛好家に大人気のスポット、ヴァンセンヌポリゴンに向かう。その後、国立スポーツ体育研究所(INSEP)の外周を周り、首都と隣接するヴァル・ド・マルヌ県に少し入ったあたりでコースの中間地点を通過する。
ヴァンセンヌ城を通り過ぎヴァンセンヌの森を後にして、選手はバスティーユ広場に向かう。途中、ナシオン広場を通過し、最後の5kmは前半と同じコースを反対方向に走りフィニッシュを目指すことになる。
オリンピック開会式の翌日となるこの日、開会式の会場のひとつとなったアレクサンドル3世橋は、再び個人タイムトライアルのフィニッシュとして注目のステージとなる。
「この個人タイムトライアルコースがとても気に入っています」とは、イタリアのビットリア・ガッツィーニ(2021年、2022年U23個人タイムトライアル世界チャンピオン)。
「最近はアップダウンのあるタイムトライアルコースが多いので、平坦なこのコースはとてもいいですね。こういったコースこそ、いかに速く走ることができるかを競い合うタイムトライアルの目的に合っていると思います。オリンピックにはとてもふさわしいコースですね。コース上に長いストレートな区間があるので追い込むことができます。また、コーナーも多少あるので、そこで少し回復を促すこともできます。つまり、このコースはテクニカルな区間と追い込んでスピードを出せるストレートの区間がバランスよく含まれていると思います!」
パリ2024ロードレース日程
7月27 日(土)
スタート:アンヴァリッド(パリ)~フィニッシュ:アレクサンドル3世橋(パリ)
- 14時30分~16時00分:女子個人タイムトライアル
- 16時30分~18時00分:男子個人タイムトライアル
8月3日(土)
- 11時00分~18時15分:男子ロードレース
8月4日(日)
- 14時00分~18時45分:女子ロードレース