東京五輪の格闘技・武道の日本代表は?出場権の獲得状況を整理: 1年延期の影響は?
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大による影響から、Tokyo2020(東京五輪)は1年延期(2021年7月23日開幕)されることが決定した。ここではボクシング、フェンシング、柔道、空手、テコンドー、レスリングといった格闘技・武道の出場枠獲得状況、内定者、今後の選考について整理する。
■ボクシング
東京五輪でボクシングは男子8階級、女子5階級で実施。日本は開催国枠として阿修羅ジャパン(男子ボクシング東京五輪チーム)に「4」、ブルーローズ・ジャパン(女子同チーム)に「2」を保証された。当初は、アジア・オセアニア予選、その後の世界最終予選が終了した時点で、日本の獲得した出場枠が開催国枠未満だった場合、開催国枠で出場する選手が決定される流れだった。しかし、新型コロナウイルスの感染拡大により、選考過程が大幅に変更。アジア・オセアニア予選終了後に、開催国枠で出場する選手も決定した。内定が発表された男子「4」枠、女子「2」枠については、延期開催される東京五輪への出場も保証される見込みだ。
残りの階級に関しては、世界最終予選で出場枠確保を狙うはずだったが、世界最終予選は延期され、開催時期は未定。男子ヘビー級と男子スーパーヘビー級に関しては、アジア・オセアニア予選にも選手を派遣しておらず、東京五輪の同階級に日本人は出場しない。
3月25日、日本ボクシング連盟としては内定の維持を表明。東京五輪ボクシング競技の運営を担当するIOCタスクフォースの判断を待つとしている。
- 男子フライ(52キロ)級: 田中亮明
- 男子フェザー(57キロ)級:「1」まで
- 男子ライト(63キロ)級: 成松大介
- 男子ウェルター(69キロ)級: 岡澤セオン
- 男子ミドル(75キロ)級: 森脇唯人
- 男子ライトヘビー(81キロ)級:「1」まで
- 男子ヘビー(91キロ)級: -(予選に選手を派遣せず)
- 男子スーパーヘビー(91キロ超)級: -(予選に選手を派遣せず)
- 女子フライ(51キロ)級: 並木月海
- 女子フェザー(57キロ)級: 入江聖奈
- 女子ライト(60キロ)級:「1」まで
- 女子ウェルター(69キロ)級:「1」まで
- 女子ミドル(75キロ)級:「1」まで
■フェンシング
フェンシングは2020年4月4日までに開催された国際フェンシング連盟(FIE)主催大会の成績から、団体種目に出場する各種目8チームおよび、各チームの3選手が個人種目への出場権を得る仕組みとなっている。そこから、団体戦に出場できない国・地域所属のFIE世界ランキング上位選手や、各大陸最終予選の上位選手、開催国枠(最大「8」)で出場権を得た選手が、個人種目にエントリーできる。なお、開催国枠により、日本から出場する選手が1種目3名に達した場合、日本は団体戦に9チーム目として出場する。
そうした中、4月4日までに開催を予定していたフルーレ、エペ、サーブルの男女合計6種目の大会が、新型コロナウイルスの影響で延期となり、東京五輪の出場を決めるランキングの更新も止まったまま。こうした事情から、日本フェンシング協会(FJE)から正式な内定を出された選手はいない。
ただし計算上は、女子フルーレ団体と男子エペ個人の山田優が、東京五輪出場を確実にしている。団体はFIE世界ランキング上位2選手とFJE選考の1名で構成されるため、女子フルーレ個人で世界ランキングの日本人上位2名、上野優佳と東晟良の出場も確実視されている。4月15日には世界ランキング凍結が発表された。参加資格は維持され、選考の続きはランキング対象大会開催を待つことになった。
東京五輪の1年程度延期が発表される前の時点で、出場が確実視されていた選手は以下の通り。
- 男子フルーレ個人:「3」まで
- 男子エペ個人:山田 優 ※「3」まで
- 男子サーブル個人:「3」まで
- 男子サーブル団体:「1」まで(1チーム3名)
- 男子フルーレ団体:「1」まで(1チーム3名)
- 男子エペ団体:「1」まで(1チーム3名)
- 女子フルーレ個人:上野優佳・東 晟良・「1」(FJE選考)
- 女子エペ個人:「3」まで
- 女子サーブル個人:「3」まで
- 女子サーブル団体:「1」まで(1チーム3名)
- 女子フルーレ団体:上野優佳・東 晟良・「1」(FJE選考)
- 女子エペ団体:「1」まで(1チーム3名)
■柔道
国・地域ごとに各階級に出場できる上限は「1」。日本は全階級で開催国枠「1」を得ているため、全日本柔道連盟(全柔連・AJJF)によって代表選考が行われる。結果、男子66キロ級を除く13階級で内定が出されている。国際オリンピック委員会(IOC)は原則、代表決定者の出場権維持という方針を示しているものの、柔道日本代表は全柔連の選考基準で選ばれているため、「再選考」の可能性もある。
4月15日の理事会において、内定者13人の処遇と、未定となっている男子66キロ級の代表決定方法について具体的に議論するはずだったが、全柔連事務所内においてクラスター感染が発生し延期。緊急事態宣言解除予定日の翌日5月7日以降に行われる予定となった。
- 男子60キロ級: 髙藤直寿
- 男子66キロ級: 丸山城志郎or阿部一二三
- 男子73キロ級: 大野将平
- 男子81キロ級: 永瀬貴規
- 男子90キロ級: 向 翔一郎
- 男子100キロ級: ウルフ アロン
- 男子100キロ超級: 原沢久喜
- 女子48キロ級: 渡名喜 風南
- 女子52キロ級: 阿部 詩
- 女子57キロ級: 芳田 司
- 女子63キロ級: 田代未来
- 女子70キロ級: 新井千鶴
- 女子78キロ級: 浜田尚里
- 女子78キロ超級: 素根 輝
- 混合団体戦: 男子73キロ以下・男子90キロ以下・男子90キロ超・女子57キロ以下・女子70キロ以下・女子70キロ超の選手が出場
■空手
空手は国・地域ごとに1種目「1」枠まで。出場選手は世界空手連盟(WKF)によるオリンピック・スタンディング(2020年4月6日時点)により決定される。新型コロナウイルスの感染拡大により、3月や4月に開催を予定していた対象試合が中止。一部の階級には影響が出たものの、2020年3月17日に全階級の出場内定選手を発表した。
WKFによる世界ランキングが選考基準となっており、新型コロナの影響で中止になったプレミアリーグ大会を延期開催した場合、ポイント加算対象とする意向が示されている。それによってランキング順位が変わった場合、一部の日本代表内定者に変更が出る可能性はある。
- 男子 形: 喜友名 諒
- 男子 組手67キロ級: 佐合尚人
- 男子 組手75キロ級: 西村 拳
- 男子 組手75キロ超級: 荒賀龍太郎
- 女子 形: 清水希容
- 女子 組手55キロ級: 宮原美穂
- 女子 組手61キロ級: 染谷真有美
- 女子 組手68キロ超級: 植草 歩
■テコンドー
テコンドーは男女全8階級が実施されるものの、日本の出場枠は開催国枠「4」のみ。開催国枠で出場する4階級の代表選考会を2月9日に行い、各階級の日本代表が内定した。新型コロナウイルスによる影響は受けていないため、再選考が行われる可能性はなさそうだ。4月7日、全日本テコンドー協会も内定維持を発表している。
- 男子58キロ級: 鈴木セルヒオ
- 男子68キロ級: 鈴木リカルド
- 男子80キロ級: -(日本人は出場せず)
- 男子80キロ超級: -(日本人は出場せず)
- 女子49キロ級: 山田美諭
- 女子57キロ級: 浜田真由
- 女子67キロ級:-(日本人は出場せず)
- 女子67キロ超級:-(日本人は出場せず)
■レスリング
日本の開催国枠は男女「1」ずつ。ただし開催国枠が適用されるのは、男女それぞれで1階級も出場枠を取れなかった場合のみなので、すでに返上されている。レスリングの出場権争いは、2019年の世界選手権、2020年に開催される大陸予選、そして世界最終予選の3段階で行われる。日本は2019年の世界選手権で出場枠を確保した階級について、すでに内定選手を決定している。日本レスリング協会(JWF)は、アジア予選、世界最終予選に出場する選手を決定。出場枠を獲得した選手が、東京五輪出場権を得られるという段階まで、選考が進んでいる。ただし、新型コロナウイルスの感染拡大により、大陸予選や世界最終予選の開催時期は未定となっている。
日本レスリング協会は内定者の維持を表明しており、6月の理事会で正式決定する見込み。
- 男子フリースタイル57キロ級:「1」まで
- 男子フリースタイル65キロ級: 乙黒拓斗
- 男子フリースタイル74キロ級: 乙黒圭祐
- 男子フリースタイル86キロ級:「1」まで
- 男子フリースタイル97キロ級:「1」まで
- 男子フリースタイル125キロ級:「1」まで
- 男子グレコローマン60キロ級: 文田健一郎
- 男子グレコローマン67キロ級:「1」まで
- 男子グレコローマン77キロ級:「1」まで
- 男子グレコローマン87キロ級:「1」まで
- 男子グレコローマン97キロ級:「1」まで
- 男子グレコローマン130キロ級:「1」まで
- 女子フリースタイル50キロ級:「1」まで
- 女子フリースタイル53キロ級: 向田真優
- 女子フリースタイル57キロ級: 川井梨紗子
- 女子フリースタイル62キロ級: 川井友香子
- 女子フリースタイル68キロ級: 土性沙羅
- 女子フリースタイル76キロ級: 皆川博恵