【スケートボード】X Games Chiba 2022プレビュー:日本初上陸のXゲームズ、Tokyo2020を沸かせたトップアスリートが千葉に集結

1 執筆者 宮本あさか
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(Getty Images)

アメリカ西海岸発のストリートスポーツを牽引し世界中のユースカルチャーを刺激し続けてきたXゲームズが2022年4月、日本初上陸。スケートボードとBMX、モトエックスのトップアスリートたちが千葉に集結する。

ZOZOマリンスタジアム(千葉県千葉市)で行われる「X Games Chiba 2022 Presented by Yogibo」には、昨夏の東京2020オリンピック・スケートボード競技日本人メダリスト5選手のうち4選手が参戦。再び日本の観客の前でクールなパフォーマンスと、いまだ誰も見たことのない、どでかいトリックを追い求める!

採点とメダルで評価されるXゲームズとは、もちろんハイレベルなスポーツ大会でありながら、同時に巨大なお祭りでもある。同じライフスタイルを分け合う者たちが一堂に介し、共に創り上げ、高め合う。切れのあるパフォーマンスを競った後には、同じ音楽を聴きながら、のんびりと笑い合う。

最高にかっこよくて、熱狂的で、それでいてどこかリラックスしたXゲームズ。東京2020で大きなブームを巻き起こしたスケートボードの、さらなる魅力に触れられるはずだ。

◆男女スケートボード:パーク

いわゆるお碗のようなくぼみや曲線的な斜面がいくつも組み合わさったコースで、選手たちは思い思いに技を繰り出すパーク。大切なのはスピード、パワー、スタイル、なにより自分らしい独創性やアイディアに満ちた創造性。30分間のセッションを使って、各選手が最大40秒ずつのランに幾度も挑む。

女子で最大の注目選手は、もちろん、2018年に日本人として史上初の世界選手権女王となり、さらにオリンピック初代チャンピオンの座に登り詰めた四十住さくらだろう。8月の東京では大技「540」(540度、つまり1回転半)を連続で決め、金メダルをつかみ取った。特にノーハンドの540を公式戦で成功させている女子は四十住だけだ。

2019年に10歳で史上最年少でXゲームズの表彰台に上り、2021年には12歳で日本史上最年少のオリンピック銀メダリストとなったのが開心那。大胆なコース取りと「ノーズグラインドマスター」として知られるアーチストの「13歳の春」。さらなる進化を目撃したい。

また、中村貴咲、小川希花、手塚まみも参戦。アメリカからは才能高きティーンエイジャー5選手が乗り込んでくる。ヨーロッパチャンピオンに2度輝いた32歳アメリア・ブルトカ(ポーランド)も出場する。

男子は10歳の頃からアメリカのTVショーで有名なギャビン・ボッガー(アメリカ合衆国)や、カリフォルニア生まれでサーフ文化の体現者テイト・キャロウ(同)に注目。日本からは4月上旬の第1回日本オープンを制した永原悠路、初代アジア王者の笹岡建介らが世界の強豪と渡り合う。

◆男女スケートボード:ストリート

ストリートでは、街のいたるところに待ち構えるであろう障害物...。つまり階段や手すり、縁石やベンチ、壁や斜面がコース上に再現される。各障害物ごとに必要とされるテクニックは異なる上に、ライン取りや各障害物間のつなぎが極めて重要となる。やはり30分間のセッション中に、各選手が順番に最大45秒ずつのランを行う。

男子同種目には、東京2020金メダリスト堀米雄斗の登場だ。2021年の世界選手権王者であり、Xゲームズでも2019年大会を制している。今大会では五輪でも決め技となった「ノーリー・バックサイド270」を軸に、「さらに進化した滑り」を見せたいと意気込む。

堀米は現在世界ランキングで2位につけるが、3位には日本の白井空良が続く。東京2020ではまさかの予選敗退を喫し、パリ2024でのリベンジを誓う白井だが、その前に千葉で日本のファンに真の実力を示したい。

東京2020の銀メダリストであるケルビン・ホフラー(ブラジル)や銅のジャガー・イートン(米国)、さらには池田大暉と根附海龍も大会に乗り込む。

女子の東京2020銅メダリストの中山楓奈は、得意の「フロントサイドKグラインド」を武器に今度こそ金メダルを取りにいく。東京2020では悔しさを味わった西村碧莉。直前の負傷により力を出し切ることができず、8位に終わった。本来の実力――世界選手権優勝2回・Xゲームズ優勝3回・現世界3位――を発揮しさえすれば、自ずと表彰台は見えてくるだろう。

東京2020で予選落ちの屈辱を喫した世界ランキング1位のパメラ・ロザ(ブラジル)、同準優勝のライッサ・レアウ(同)は日本の2人にとって手強いライバルとなるだろう。

さらには昨年末の日本選手権で東京2020金メダリストの西矢椛を抑え初優勝を遂げた13歳の赤間凛音が、ここで一気にトップに登り詰めるかもしれない。そして、織田夢海、前田日菜もエントリーリストに名を連ねる。

◆男子スケートボード:バート

バート、すなわち「バーティカル=垂直」。垂直の壁と水平の底を組み合わせたU字ランプを利用して、いかに高く、いかに複雑なトリックを出せるかが勝負の決め手。オリンピックでは採用されなかったが、ダイナミックで、時にあっと驚くようなクレイジーな大技が見られる同種目は人気が高い。1回最大30秒のランの内に複数のトリックを組み込むバートと、1トリックのみの完成度を競うバート・ベストトリックの両種目が争われる。

間違いなく、世界中がギー・クーリ(ブラジル)の新たな快挙を待っている。3年前にはXゲームズ史上最年少参加者となり、2年前には史上初めて「1080」(3回転)を成功させ、そして2021年7月のXゲームズのバート・ベストトリックでは、初めて公式戦でも「1080」を着地した。12歳で男子史上最年少Xゲームズ金メダリストとなったクーリは、今では13歳。142cmしかなかった身長も、おそらくは伸びているだろう。

Xゲームズ4勝のジミー・ウィルキンス(米国)は、まるで両足にピタリと吸い付いたようなボード裁きが見事。すべてを軽々とやってのける。同じくXゲームズ表彰台常連のミッチー・ブルスコ(同)、別名「リトル・トリッキー」や、33歳ベテランのエリオット・スローン(同)は、ビッグエアで鍛えられた度胸で大技を繰り出す。

日本からは芝田モトが唯一の参加。Xゲームズでは2017年大会にオリジナルトリックを決め、バート部門で日本人初優勝を飾るなど3度の表彰台を果たしてきた。日本にバート文化を根付かせるためにも、持ち前のクールでトリッキーなエアで観客を沸かせたい。

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