世界ボート選手権2023の見どころ、日本代表選手

パリ 2024

男女合わせて114枠のパリ2024オリンピック出場枠をかけた戦いが、9月3日からセルビアの首都ベオグラードで開催される世界ボート選手権で繰り広げられようとしている。

1 執筆者 Olympics.com
world championship 2023

ボート競技の今シーズンの最大の見どころとなる世界ボート選手権が、9月3日(日)~10日(日)、セルビア・ベオグラードで開催される。

今大会は、国内オリンピック委員会(NOC)がパリ2024の出場枠(*)を獲得できる最初の機会であり、オリンピック14種目全体で男女それぞれ57枠ずつ、合計114枠を確保することができる。

また、今大会では国際軽量級6種目とパラローイング8種目(うち5種目はパラリンピック種目)の世界タイトルもかかっている。

レガッタ(競技)は、ベオグラードの中心にあるサヴァ湖のアダ・ツィガンリヤ・コースで行われる。湖は3000mの長さと250mの幅があり、2014年に欧州ボート選手権、2017年、2018年、2022年にはワールドカップが開催されている。

昨年9月の前回チェコ大会では、イギリスがメダル獲得数で最多となった。今大会では、男子はフォアとエイト、女子はフォアと軽量級ダブルスカルで連覇を狙う。

ルーマニアは、前回チェコ大会において、男子ペア、女子エイト、女子ダブルスカルのオリンピック種目で優勝を果たしており、同じく連覇を目指す。

この2か国は今年5月のスロベニア・ブレッドで開催された欧州ボート選手権でもしのぎを削った。この時、男子エイトでイギリスはわずか0.05秒差でルーマニアより先着し優勝を果たした。今大会でも激しい戦いが予想される。

一方、アイルランドの期待、軽量級ダブルスカルの東京2020チャンピオン、ポール・オドノバンフィンタン・マッカーシー組が世界選手権で3連覇に挑む。

東京2020女子シングルスカル王者のエマ・トゥイッグ(ニュージーランド)は、2014年に獲得した世界タイトルを再び目指す。昨年の前回チェコ大会では、東京2020の同種目で銀メダルのカロライン・フロライン(オランダ)が制しており、今大会の2人の戦いが注目される。

男子シングルスカルでは、2連覇中のオリバー・ツァイドラー(ドイツ)が3連覇を狙う一方、東京2020チャンピオンのステファノス・ヌトウスコス(ギリシャ)がタイトル奪取に挑む。

クロアチアのマルティンヴァレント・シンコビッチ兄弟は、ダブルスカルで2015年以来となる表彰台が期待される。シンコビッチ兄弟は2019年オーストリア大会で男子ペアにおいて連覇を果たしている。また、リオ2016で男子ダブルスカル、東京2020では男子ペアで金メダルに輝いた。昨年のチェコ大会では東京2020男子ダブルスカル金メダリストのフランスのヒューゴ・ブシュロンマチュー・アンドロディアスに敗れて4位に終わっている。

*オリンピック各国代表の編成に関しては国内オリンピック委員会(NOC)が責任を持っており、パリ2024への選手の参加は、選手が属するNOCがパリ2024代表選手団を選出することにより確定する。

各競技の出場資格に関する公式資料はこちら(英語)

世界ボート選手権2023の実施種目

世界ボート選手権2023ベオグラード大会では次の種目において、パリ2024出場枠、世界タイトルが競い合われる。

オリンピック種目:

男子

  • シングルスカル(M1x パリ2024出場枠9枠)
  • ダブルスカル(M2x 同11枠)
  • ペア(M2- 同11枠)
  • クオドルプルスカル(M4x 同7枠)
  • フォア(M4- 同7枠)
  • エイト(M8+ 同5枠)
  • 軽量級ダブルスカル(LM2x 同7枠)

女子

  • シングルスカル(W1x パリ2024出場枠9枠)
  • ダブルスカル(W2x 同11枠)
  • ペア(W2- 同11枠)
  • クオドルプルスカル(W4x 同7枠)
  • フォア(W4- 同7枠)
  • エイト(W8+ 同5枠)
  • 軽量級ダブルスカル(LW2x 同7枠)

国際軽量級種目:

男子

  • 軽量級シングルスカル(LM1x)
  • 軽量級ペア(LM2-)
  • 軽量級クオドルプルスカル(LM4x)

女子

  • 軽量級シングルスカル(LW1x)
  • 軽量級ペア(LW2-)
  • 軽量級クオドルプルスカル(LW4x)

パラローイング種目:

男子

  • PR1シングルスカル(PR1 M1x/パラリンピック種目)
  • PR2シングルスカル(PR2 M1x)
  • PR3ペア(PR3 M2-)

女子

  • PR1シングルスカル(PR1 W1x/パラリンピック種目)
  • PR2シングルスカル(PR2 M1x)

混合

  • PR2混合ダブルスカル(PR2 Mix2x/パラリンピック種目)
  • PR3混合ダブルスカル(PR3 Mix2x/パラリンピック種目)
  • PR3混合コックス付きフォア(PR3 Mix4+/パラリンピック種目)

世界ボート選手権2023の日程はこちら

世界ボート選手権2023に出場する注目の日本代表選手

男子シングルスカルに出場するのは、昨年の世界選手権チェコ大会で7位に入った東京2020代表の荒川龍太。今年6月のワールドカップ第2戦イタリア大会では日本勢史上初となる3位に入った。7月の第3戦スイス大会では4位。今大会ではメダルの獲得が期待されている。

女子軽量級シングルスカルに出場する冨田千愛(ちあき)は、2019年の世界選手権オーストリア大会の同種目で銀メダルに輝いた。これは世界選手権での日本女子選手として初メダル獲得の快挙となった。東京2020では女子軽量級ダブルスカルに出場し10位。昨年のチェコ大会でも同種目に出場し18位に終わっているが、今大会では女子軽量級シングルスカルに出場。6月のワールドカップ・イタリア大会では5位に入賞している。メダルへの期待が高まる。

女子シングルスカルの米川志保は昨年のチェコ大会で15位。6月のワールドカップ・イタリア大会では9位だった。今大会でさらに上位を目指し、パリ2024の出場枠を視野に入れた戦いに注目したい。

女子フォア出場の木野田沙帆子(きのた・さほこ)、中条彩香(さやか)、高野晃帆(あきほ)、ロンドン2012代表の榊原春奈の4人組は、今年6月のワールドカップ第2戦イタリア大会では10位。7月のワールドカップ第3戦スイス大会では8位。さらなる高みを目指せば、パリ2024の出場枠も見えてくるに違いない

男子軽量級ダブルスカル出場の宮浦真之、武田匡弘(まさひろ)組は、昨年のチェコ大会では21位に終わっている。今年6月のワールドカップ第2戦イタリア大会では11位。女子軽量級ダブルスカル出場の廣内映美(ひろうち・えみ)、柿島麗(うらら)は同大会13位、7月のワールドカップ第3戦スイス大会では16位だった。男女とも7位以内を目指し、パリ2024出場枠を何とか確保したいところだろう。

世界ボート選手権2023に出場する18名の日本代表選手

男子シングルスカル(M1x)

  • 荒川龍太(あらかわ・りゅうた)

女子シングルスカル(W1x)

  • 米川志保(よねかわ・しほ)

男子フォア(M4-)

  • 林靖晴(はやし・やすはる)
  • 西知希(にし・かずき)
  • 大塚圭宏(おおつか・よしひろ)
  • 志賀巧(しが・たくみ)

女子フォア(W4-)

  • 木野田沙帆子(きのた・さほこ)
  • 中条彩香(ちゅうじょう・さやか)
  • 高野晃帆(たかの・あきほ)
  • 榊原春奈(さかきばら・はるな)

男子軽量級ダブルスカル(LM2x)

  • 宮浦真之(みやうら・まさゆき)
  • 武田匡弘(たけだ・まさひろ)

女子軽量級ダブルスカル(LW2x)

  • 廣内映美(ひろうち・えみ)
  • 柿島麗(かきしま・うらら)

男子軽量級シングルスカル(LM1x)

  • 古田直輝(ふるた・なおき)

女子軽量級シングルスカル(LW1x)

  • 冨田千愛(とみた・ちあき)

パラ男子PR1シングルスカル

  • 森卓也(もり・たくや)

パラ女子PR1シングルスカル

  • 市川友美(いちかわ・ともみ)
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