BボーイISSIN、パリオリンピック目指す17歳

パリ2024オリンピックで正式競技として採用されるダンススポーツ「ブレイキン」。日本のブレイキンシーンで存在感を増しているダンサーがいる。10月21日、22日に行われるブレイキン世界選手権を前に、2005年生まれのBボーイISSINに注目した。

1 執筆者 Chiaki Nishimura|公開日:10月12日

9月25日に山口県下関で行われたブレイキンの大会「レッドブルBC Oneサイファージャパン2022」で、男子は菱川一心が優勝した。BボーイISSINの名で活動する菱川は、岡山県の高校に通う17歳。同大会での優勝により、11月12日に米ニューヨークで予定されている「BC Oneワールドファイナル」の世界最終予選「BC Oneラストチャンスサイファー」に日本代表として出場する。

ブレイキン界では10月21日、22日に世界選手権が予定されており、日本からも多くの選手がエントリー。世界ダンススポーツ連盟(WDSF)が主催するこの大会に、菱川も出場を予定している。

**パリ2024**オリンピックで新たに採用される競技ブレイキン。ブレイクダンスの名でも知られるこのダンススポーツでの活躍が期待されるBボーイISSINとは?

2005年生まれの菱川は、小学2年生のときに地元・岡山でブレイキンと出会った。ジャズダンスをする姉の影響でダンスに興味を持っていた当時8歳の菱川は、体験教室でブレイキンに触れたという。

岡山の情報誌「タウン情報おかやま」のインタビューで、菱川は「見たことがない技ばかりで、こんな動きが人間にできるんだって目が釘付けになりました。見た瞬間に、もうこれだって(笑)」と、ブレイキンの第一印象を語る。

ブレイキンにのめり込んだ菱川は、わずか数年後、2017年に行われた「バトルオブザイヤー(BOTY: Battle of the Year)」の15歳以下の部門に出場し、小学6年生で優勝。ISSINを取り巻く環境が世界へと大きく広がっていった。

翌年には京都を拠点とするダンスクルー「Body Carnival」のジュニアクルーに加入。平日は岡山、休日は京都で練習を積んで技を磨き、数々の大会でバトルを繰り広げると、2021年にパリで行われた国際大会「Battle Pro 2021」ではクルーの一員として表彰台の頂点に立った。

今年4月の「マイナビDance Alive Hero's 2022 Final」では、1対1形式のバトルの準決勝でユースオリンピック銅メダリストの**BボーイShigekix(半井重幸)**に敗れたものの、国内ランキングの対象大会でしっかりとした存在感を見せつけ、5月のThe JAM鳴門大会では頂点に輝いてBC Oneサイファージャパン2022の出場権を獲得した。

そして迎えたのが9月の下関での大会である。

「今日はみんな倒したかった相手だし、これまでに倒したことがない人たちに勝つことができて、ずっとビックリが続いていた日でした」

大会後のインタビューでこう語った菱川は、2回戦で日本人初のBC Oneワールドファイナル2016優勝者・**BボーイIssei(堀壱成)と対戦し、準決勝では全日本ブレイキン選手権2大会連続で決勝進出を果たしているBボーイTOA(俣野斗亜)**とのバトルを制したのだった。

パリ2024で目指す金メダル

菱川は10月21日、22日に開催される世界選手権にも出場する。この大会は、オリンピックを目指すブレイカーにとって重要な戦いとなる。

2022年の初めに岡山市長を表敬訪問した際には、「世界中の人が知っているオリンピックで優勝し、今まで協力してもらった方々に恩返ししたい。パリオリンピックまで2年しかないので、精一杯頑張って悔いのないよう過ごしていきたい」と、オリンピックに向けた思いを語っている。

「世界で自分自身が、まだまだ全然知られていないので、一回踊りを見てもらっただけでみんながファンになってくれるような、カッコよさや凄い動きなどで、人を惹き付けられるようなBBOYになっていきたいです」(BC Oneサイファージャパン後のインタビューにて)

こう語るBボーイISSINは、自らの夢を胸に世界へと羽ばたいていく。

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