4年1度行われるバレーボール女子世界選手権が、2018年の東京大会に続き、今年はオランダ、ポーランドで開催される。
バレーボール女子日本代表「火の鳥NIPPON」の眞鍋政義監督が定めるチームの目標は4強入り。チームの得点源として活躍するのがキャプテンの古賀紗理那、そして昨年から目を見張る活躍をみせているアウトサイドヒッターの井上愛里沙である。
女子世界バレー開幕を前に、今シーズンVリーグで最高殊勲選手賞(MVP)に輝き、日本代表の得点源として期待が寄せられるアタッカー井上愛里沙に注目した。
木村沙織を超えたアタッカー井上愛里沙
1995年5月生まれの井上愛里沙は現在27歳。
中学時代から頭角を現した井上は、2013年の世界ジュニア選手権では20歳以下が対象となる中、唯一高校生として参加して銀メダルを獲得。2014年に筑波大学に進学すると、ユニバーシアードの大会では銀メダル1つ、銅メダル2つ(2015年、2107年、2019年)を獲得した。
大学に入学した2014年にシニア日本代表として初招集されたが、日本代表として目立った活躍をしてきたわけではない。1歳下の古賀紗理那がワールドカップや世界選手権、ネーションズリーグなどに出場してきた一方で、井上が世界の舞台に立つ機会は限られ、東京2020の代表メンバーに選出されることはなかった。
身長は178cm、アウトサイドヒッターの井上が大きく飛躍したのは、東京オリンピックに沸いた2021年のことである。
大学卒業後の2018年4月に久光スプリングスに入団していた井上は、2021年の全日本バレーボール選手権において攻撃面で存在感を発揮し、チーム優勝に大きく貢献。当時26歳だった井上は、新たに設けられたMVP賞を受賞すると、「この2年間なかなか結果が出ない中、もがきながらやってきた。今日はチームの皆が私にボールを繋いでくれたのが伝わってきて、それを1本でも繋ごうとやってきた」とコメントした。
さらに、東京オリンピック後の2021年10月に始まったVリーグのシーズンでも同チームは優勝を果たし、井上はロンドン2012オリンピック銅メダリストの木村沙織さんが保持していた日本人最多得点記録を12年ぶりに更新し、最高殊勲選手賞(MVP)に輝いた。
輝かしいシーズンを終え、世界バレー後の来シーズンはフランスリーグに挑戦し、サン=ラファエルで技を磨く。
キャプテン古賀紗理那に並びエースへと躍進
井上の攻撃力は、今年の日本代表としての戦いにも活かされている。
春に行われた女子ネーションズリーグでは、2戦目のドイツ戦で相手にリードされる状況の中、石川真佑に代わって途中出場して13得点を挙げ、チームの勝利に貢献。
続く3戦目のドミニカ共和国戦ではチーム最多となる26得点を挙げると、4戦目では世界ランキング1位のアメリカ合衆国と対戦し、井上は同点となった重要な場面で得点を決めるシーンが目立つなど、キャプテン古賀紗理那と並び19得点(アタック17、ブロック1、サーブ1)をマーク。東京オリンピック金メダリストを相手に日本はストレートで勝利を収めた。
続くポーランド戦でも井上のプレーは冴え、 Volleyball Worldのウェブサイトは第1セットで9得点を決めた井上の活躍をたたえた。井上は、10戦でスタメン出場を果たし、日本は決勝トーナメントに進出した。
井上はその勢いを世界バレーに持ち込み、日本をさらなる高みへと導くことができるのか。
火の鳥NIPPONの戦いは、9月25日のコロンビア戦で幕を開ける。
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