自転車競技の主要競技・種目が初めて一堂に会するUCI自転車世界選手権2023が、スコットランド・グラスゴーで開催される。
ロードレースやBMX、マウンテンバイクなど各競技が8月3日〜13日の日程で行われる中、ハイライトのひとつとなるトラックレースのエリートレースが8月3〜9日に実施される。会場となるのは、オリンピックで金メダル6個を獲得したスコットランド出身のクリス・ホイにちなんで名づけられたサー・クリス・ホイ・ヴェロドローム。
個人スプリント、チームスプリント、ケイリン、チームパシュート、マディソン、オムニアムといったパリ2024オリンピックで実施される種目を含む合計22種目(男女それぞれ11)で世界の頂点が決まる。
またこの世界選手権は、UCIトラックオリンピック・ランキングのポイントが他の大会に比べて高く、選手たちは好成績をおさめることでパリ2024出場に大きく近づくことになる。大会で注目される海外の選手や日本人選手を紹介しよう。
UCI自転車世界選手権2023のトラックレース注目選手、男子短距離
トラックレースは主に短距離3種目(ケイリン、スプリント、チームスプリント)と中長距離3種目(オムニアム、チームパシュート、マディソン)に分けられる。
男子短距離の絶対王者的な存在として知られるのがオランダのハリー・ラブレイセンだ。東京2020オリンピックでメダル3つを獲得したラブレイセンは、世界選手権のスプリントで5大会連続優勝を狙う。チームスプリントでは昨年オーストラリアに5連覇を阻止されたオランダ代表チームだが、今年は1kmタイムトライアル世界王者のジェフリー・ホーフランドとロイ・ファンデンベルクとともに、王座奪還に挑む。
また、オリンピックのケイリン種目で2つのメダルを獲得しているマレーシアのアジズル・ハスニ・アウァンも表彰台を狙う。現在35歳となり、ベテランの域に達している彼は、ケイリン世界ランキングでは3位につけており、2017年以来となる優勝を目指す。
このほか、昨年の世界選手権を怪我のため欠場したニコラス・ポール(トリニダード・トバゴ)や、東京2020のスプリントで銅メダルを獲得した地元期待のジャック・カーリン(英国)にも注目が集まる。
日本からは、今年のネーションズカップ2大会のスプリント、ケイリンで3度表彰台に立った太⽥海也(かいや)、ケイリンで優勝(エジプト大会)した中野慎詞のほか、⻑迫吉拓(よしたく)、⼩原佑太、寺崎浩平がグラスゴーに向かう。長迫、太田、小原はネーションズカップ・エジプト大会のチームスプリントで銅メダルを獲得しており、世界選手権での活躍も期待される。
UCI自転車世界選手権2023のトラックレース注目選手、女子短距離
昨年の世界選手権・女子スプリントで優勝したのはマチルド・グロ(フランス)だが、2月に行われたヨーロッパ選手権の決勝では、準決勝でグロを破ったパウリネゾフィー・グラボシュ(ドイツ)とレアソフィー・フリードリヒ(ドイツ)がぶつかり合い、フリードリヒが勝利を収めた。
ここにエマ・ヒンツェが加わり、強力なドイツチームが構成される。彼女たちの勢いに立ち向かう有力候補として挙げられるのは、グロのほか、東京2020チームスプリントで優勝した中華人民共和国代表チームだ。
昨年の世界選手権では、グオ・ユーファン(郭裕芳)が500mタイムトライアルで銅メダルを獲得し、チームスプリントでドイツに次ぐ銀メダル獲得に貢献した。
このほか、東京2020のスプリントで優勝したカナダのケルシー・ミッチェルや、東京2020でケイリンで銅メダルを獲得した同じくカナダのロリアヌ・ジュネ、メキシコのマルタ・バヨナなども表彰台の有力候補にあげられる。
日本からは、2021年と2022年の世界選手権ケイリン種目で2位となり、今年のネーションズカップで2度優勝している佐藤⽔菜(みな)のほか、梅川⾵⼦、酒井亜樹、太⽥りゆが代表選手に名を連ねる。
UCI自転車世界選手権2023のトラックレース注目選手、男子中長距離
グラスゴーでは、オムニアム3連覇を狙う英国代表のイーサン・ヘイターの活躍が期待されている。ヘイターは、6月に行われた大会で鎖骨を骨折したが、昨年の世界選手権では、オムニアムとチームパシュートで優勝し、マディソンではオリバー・ウッドとともに銀メダルを獲得した。
ヘイターと同じイネオス・グレナディアスに所属するイタリア人のフィリッポ・ガンナも注目の存在だ。昨年の世界選手権・個人パシュートで優勝したばかりか、同種目での優勝回数は5を数える。
また、リオ2016のオムニアムで優勝し、東京2020の銅メダリストでもあるエリア・ヴィヴィアーニ(イタリア)、バンジャマン・トマ(フランス)、ドナバン・グロンダン(フランス)、イヴォ・オリヴェイラ(ポルトガル)、ティム・トーン・トイテンベルク(ドイツ)、ディラン・ビビック(カナダ)からも目が離せない。
日本からは2022年大会のスクラッチで銀メダルを獲得した窪⽊⼀茂のほか、橋本英也、今村駿介、兒島直樹、松⽥祥位(しょうい)が出場する。
UCI自転車世界選手権2023のトラックレース注目選手、女子中長距離
地元・英国代表チームはオリンピックで金メダル5つを獲得しているローラ・ケニーを擁するが、ケニーは7月に第2子を出産し、現在は育休中。とはいえ、英国チームはケリー不在で迎えた2月のヨーロッパ選手権のチームパシュート決勝で世界王者のイタリアを破っており、地元ファンの声援を後押しに、今年の世界選手権でも力を発揮することだろう。
チームを率いるのはケイティ・アーチボルドで、ヨーロッパ選手権ではオムニアムでも優勝し、エリナー・バーカーと組んでマディソンでも金メダルを獲得した。
昨年の世界選手権と東京2020のオムニアムで金メダルを獲得したのはジェニファー・バレンテ(アメリカ合衆国)だが、4月のネーションズカップではアーチボルドが優勝し、バレンテは3位にとどまった。
日本からは、東京2020のオムニアムで銀メダルを獲得した梶原悠未(かじはら・ゆうみ)のほか、内野艶和(つやか)、垣⽥真穂、池⽥瑞紀、古⼭稀絵(きえ)が出場する。
UCI⾃転⾞世界選⼿権・トラック、⽇本代表派遣選⼿
7月28日現在(日本自転車競技連盟より)
トラックレース男子
- ⻑迫吉拓(ながさこ・よしたく)チームスプリント
- 太⽥海也(おおた・かいや)チームスプリント、スプリント、ケイリン
- ⼩原佑太(おばら・ゆうた)チームスプリント
- 中野慎詞(なかの・しんじ)チームスプリント、スプリント、ケイリン
- 寺崎浩平(てらさき・こうへい)スプリント、ケイリン
- 橋本英也(はしもと・えいや)チームパシュート、エリミネーション
- 窪⽊⼀茂(くぼき・かずしげ)チームパシュート、マディソン、個⼈パシュート、スクラッチ
- 今村駿介(いまむら・しゅんすけ)チームパシュート、マディソン、オムニアム、スクラッチ
- 兒島直樹(こじま・なおき)チームパシュート、ポイントレース
- 松⽥祥位(まつだ・しょうい)チームパシュート、個⼈パシュート
トラックレース女子
- 佐藤⽔菜(さとう・みな)チームスプリント、スプリント、ケイリン
- 梅川⾵⼦(うめかわ・ふうこ)チームスプリント、ケイリン、スプリント
- 酒井亜樹(さかい・あき)⼥ チームスプリント、500mタイムトライアル
- 太⽥りゆ(おおた・りゆ) チームスプリント、スプリント、ケイリン
- 梶原悠未(かじはら・ゆうみ)チームパシュート、マディソン、オムニアム
- 内野艶和(うちの・つやか)チームパシュート、マディソン、ポイントレース、スクラッチ
- 垣⽥真穂(かきた・まほ)チームパシュート、エリミネーション
- 池⽥瑞紀(いけだ・みずき)チームパシュート
- 古⼭稀絵(ふるやま・きえ)チームパシュート、個⼈パシュート
トラックレースの日程、2023年UCI⾃転⾞世界選⼿権
以下、エリートレースの日程。すべて現地(英国)夏時間。日本は+8時間。
8月3日(木)
午前の部
- 9:30 男子チームパシュート 予選
- 11:09 女子チームスプリント 予選
- 11:53 男子チームスプリント 予選
- 12:49 女子スプリント 予選
午後の部
- 19:03 女子チームスプリント 1回戦
- 19:50 女子個人パシュート 決勝
- 20:19 女子チームスプリント 決勝
- 20:27 男子15km スクラッチ
8月4日(金)
午前の部
- 9:30 女子チームパシュート 予選
- 11:18 女子500mタイムトライアル 予選
午後の部
- 18:45 男子チームパシュート 1回戦
- 19:26 女子500mタイムトライアル 決勝
- 19:48 男子チームスプリント 1回戦
- 20:01 女子10km スクラッチ
- 20:33 男子チームスプリント 決勝
8月5日(土)
午前の部
- 11:14 男子スプリント 予選
- 12:19 女子チームパシュート 1回戦
- 12:47 男子スプリント 1回戦(1/16決勝)
- 14:28 男子スプリント 2回戦(1/8決勝)
午後の部
- 18:21 女子ケイリン 1回戦
- 19:07 男子チームパシュート 決勝
- 19:43 女子ケイリン 1回戦敗者復活戦
- 20:28 女子チームパシュート 決勝
8月6日(日)
午前の部
- 10:24 男子個人パシュート 予選
- 11:58 女子ケイリン 準々決勝
- 13:09 男子スプリント 準々決勝
- 14:41 男子オムニアム スクラッチ
午後の部
- 18:13 女子ケイリン 準決勝
- 18:22 男子オムニアム テンポレース
- 18:34 女子 エリミネーション
- 19:01 男子個人パシュート 決勝
- 19:16 男子オムニアム エリミネーション
- 19:57 女子ケイリン 決勝
- 20:12 男子オムニアム ポイントレース
8月7日(月)
午前の部
- 11:30 女子スプリント 予選
- 12:18 男子スプリント 準決勝
- 12:26 女子スプリント 1回戦(1/16決勝)
午後の部
- 18:28 男子 エリミネーション
- 18:55 男子スプリント 決勝
- 19:34 女子マディソン
8月8日(火)
午前の部
- 12:30 女子スプリント 2回戦(1/8決勝)
- 13:48 女子スプリント 準々決勝
- 14:04 男子 1kmタイムトライアル予選
午後の部
- 17:25 男子 1kmタイムトライアル 決勝
- 18:04 男子ケイリン 1回戦
- 18:42 女子 ポイントレース
- 19:19 男子ケイリン 1回戦敗者復活戦
- 19:44 男子マディソン
8月9日(水)
午後の部
- 17:30 女子スプリント 準決勝
- 17:38 女子オムニアム スクラッチ
- 18:01 男子ケイリン 準々決勝
- 18:19 女子オムニアム テンポレース
- 18:33 女子スプリント 決勝
- 18:41 男子ケイリン 準決勝
- 18:58 女子オムニアム エリミネーション
- 19:15 男子 ポイントレース
- 20:11 男子ケイリン 決勝
- 20:21 女子オムニアム ポイントレース