陸上・田中希実、楽しめるレースを ゴールデングランプリ東京2022

国内外からトップアスリートが集結して行われるセイコーゴールデングランプリ陸上2022東京。5月8日の開催を前に、女子1000m、1500m、3000mで日本記録を持つアスリート、田中希実に注目してみたい。 

1 執筆者 Chiaki Nishimura
tanaka nozomi
(Michael Steele)

東京2020陸上競技が行われていた2021年8月4日の国立競技場。日本女子が初めて出場した1500mで、**田中希実**は日本記録を更新する走りで決勝進出を決めると、2日後の決勝で8位入賞を果たした。 

あれから9ヶ月。5月8日に開催されるセイコーゴールデングランプリ陸上2022東京で、田中が再び国立を駆ける。

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※東京2020女子1500m決勝レースは動画の2:09:00頃

東京2020オリンピックでの感動

東京2020オリンピックの女子1500m決勝で、田中が世界のトップアスリートに果敢に挑む姿がオリンピックファンの心を動かしたことは記憶に新しい。

現在22歳の田中は、中距離に分類されるこの種目に**卜部蘭**(うらべ・らん)とともに日本女子で初めて出場。8月2日の予選3組に登場し、4分02秒33で日本新記録を樹立すると、2日後には準決勝1組でスタートラインに立ち、再び日本記録を更新する3分59秒19のタイムで、5着でゴールした。

初の3分台、しかも日本人女子が中距離で決勝進出を果たしたのは、1928年の人見絹枝さん以来93年ぶりの快挙だった。

「流れにまかせる」

田中は東京オリンピック後、今年3月に大学を卒業し、社会人としての一歩を踏み出した。

豊田自動織機の入社会見では、意気込みとして「流れにまかせる」という言葉を挙げ、「一通りすべて経験してみて、自分のやりたい方向に向かっていく」という思いを口にした。この言葉に、田中の陸上との向き合い方が見えてくる。

4月から5月にかけて行われた日本グランプリシリーズの各大会で、田中が出場したレースは800m〜10000mと幅広く、4月23日に行われた神戸大会では1500mの直後に10000mをこなして周囲を驚かせた。

日本陸上競技連盟のインタビューでは、800m、1500m、5000mの違いを分析し、1500m、5000mに関して「1500メートルは誰がどこで仕掛けるのかという駆け引きがおもしろいです。5000メートルは練習ができた状態で臨めば、1500メートル以上に楽しい。他の選手からリズムをもらいながら、自分の力をためていく瞬間はわくわくします」と語るなど、自身がレースを楽しんでいる様子がうかがえる。

「4月にある各大会で800~5000メートルを走って調整していきます。それがどう転ぶか、自分でもわかりません。でも、それがはまって、今まで以上にわくわくできるレースができたらいいなと思います」(日本陸上競技連盟インタビューより)

ゴールデングランプリ東京において、田中が出場するのは1500m。田中に注目している人は少なくないだろうが、その変化や成長を一番楽しみにしているのは、おそらく田中本人だろう。

東京2020から9ヶ月。世界での活躍を目標に掲げる田中が自身の成長をどのように感じるのか、その走りに注目したい。

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