卓球・早田ひな、パリ2024に向けた快進撃

スポーツイベントが盛りだくさんの週末。多くのアスリートたちがそれぞれの舞台で力を尽くして自分の成長を確かめ、また次の目標に向かっていく。先週末に行われた大会で活躍したアスリートたちの中から、卓球の早田ひなに注目した。

1 執筆者 Chiaki Nishimura
HAYATA Hina
(2022 Getty Images)

6月13日〜19日の日程でクロアチアで行われた、国際卓球連盟主催の国際大会シリーズのWTTコンテンダー・ザグレブ大会。18日に混合ダブルスの決勝が行われ、**早田ひな張本智和と共に優勝を収め、伊藤美誠**とペアを組んだ翌19日の女子ダブルスでも見事優勝を飾った。

東京オリンピックでは代表入りが叶わず補欠としてチームに帯同した早田だが、パリ2024に向けて進化を続けている。

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サポート役に徹した東京2020の13日間

2000年に福岡県で生まれた早田は、4歳から卓球を始めた。中学生の頃から全国大会で数々のタイトルを獲得し、同じ年の伊藤、**平野美宇**とともに、「卓球黄金世代」として注目を集めてきた。

東京オリンピック出場を目指して励んできた早田だが、日本代表枠は男女それぞれで3。代表の座を決定づけた2020年1月の世界ランキングで、早田は日本勢の中で6番手に甘んじ、東京オリンピック代表に選ばれることはなかった。

のちに補欠として代表選手らに帯同することが決まるが、東京オリンピック落選という事実は、早田が自身と再び向き合うきっかけとなり、練習の見直しや気持ちの面で彼女を大きく成長させた。

パリ2024に向けて一足早くスタートを切った早田は、東京2020の代表落選の直後に行われた全日本選手権の女子シングルスで、準決勝で伊藤、決勝で**石川佳純**という、東京オリンピックの代表に内定していた両選手を撃破。初優勝が決まった瞬間、かがみ込んで涙を流して喜びを噛み締めると、決勝後の記者会見では、「頑張っても頑張っても結果が出ないときがすごく多くて、でも常にたくさんの人が、『ひなちゃん、頑張れ』って応援してくれたので、そこで結果として恩返しできて良かったと思います」と涙の理由を語った。

そして迎えた東京2020では、13日間サポート役に徹し、女子団体の銀メダルを陰で支えた。

女子シングルスで銅メダルを獲得した伊藤とは、たびたびダブルスでコンビを組み、早田にとっては「ライバルでもあり親友」。東京オリンピックを通じて同じ年の伊藤の姿から多くを学んだという早田は、自身のインスタグラムで「今回私は彼女に沢山の勇気と感動をもらいました。親友でもありライバルでもある、お互いに切磋琢磨しながら強くなっていける存在がいることに感謝したいです」と綴った。

早田は東京大会出場を逃した悔しさやサポート役としての経験を活かし、2021年秋に行われたアジア選手権で、女子シングルス、混合ダブルス、女子団体で3冠を達成。2022年6月現在の世界ランキングの女子シングルスでは日本勢トップの5位につけた。

6月13日〜19日のWTTコンテンダー・ザグレブ大会では「みまひな」ペアで挑んだ女子ダブルスと、張本と臨んだ混合ダブルスで優勝。その一方で、女子シングルスでは平野と対戦した2回戦で、フルセットの末に敗れており、さらなる成長は不可欠。

パリ2024までは2年と少し。夢の舞台に向け、早田の躍進は続く。

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