フィギュアスケートは、一度にひとり又は、ふたりのスケーターが氷上のリンクに立つスポーツだが、**北京2022冬季オリンピック**では、フィギュアスケーターたちのコミュニティの力強さを再認識する場となった。
11日間にわたり北京の首都体育館で華麗なパフォーマンスを繰り広げたオリンピアンとそのサポートチームは、#StrongerTogether の真価を発揮するとともに、たくさんの笑顔と笑いを届けた。そして、エキシビションでスケートを披露した大人気のオリンピックマスコット、**ビンドゥンドゥン**の登場も見逃せないワンシーンとなった。
ここでは、北京2022を振り返りながら、笑顔になれる7つの瞬間を紹介しよう。
キス・アンド・クライで共に祝う
フィギュアスケート・アイスダンスで、世界選手権4連覇中の**ガブリエラ・パパダキスとギヨーム・シゼロン**が、キス・アンド・クライでスコアの発表を受け、オリンピック金メダルの獲得を確信した時ほど一体感を感じた瞬間はなかったかもしれない。
平昌2018の銀メダルの失意から4年後の北京でパパダキスとシゼロンが金メダルを獲得した瞬間、モントリオールを拠点にする練習仲間で銅メダルを獲得した**マディソン・ハベル&ザカリー・ダナヒュー組や、4位に入ったマディソン・チョック&エヴァン・ベイツ**組はグループでハグをし、その瞬間を称え合った。
フィギュアスケートを盛り上げる旗手、キーガン・メッシング
新型コロナウィルスの陽性反応により1週間以上カナダで拘束された**キーガン・メッシング**(カナダ)の、バンクーバーから北京への時間との戦いほど、心温まる話はないだろう。メッシングは男子シングルに間に合い、11位という結果を残すことができた。
団体戦の後、男子シングルが最初の種目であったため、メッシングはほとんど誰もいないアリーナ内でカナダの旗手という新たな役割を担った。カナダのスケーターがリンクに出るたびに、彼は巨大なカナダ国旗を広げ、スタンドの端から端までを走り、観客の代わりに選手に国旗を振ることで声援を送った。メッシングは少しの間、アメリカ合衆国の国旗を借りて、生まれ故郷のスケーターも応援していたという。
これは、メッシングが過去大会でも行ってきたことで、大会期間中は他の会場にも足を運び、できる限りカナダ選手をこうして応援してきた。
ビンドゥンドゥンがフィギュアスケート?
**羽生結弦が現代で最も有名で人気のあるスケーターである一方で、北京2022のマスコットのひとつであるビンドゥンドゥン**は、大会期間中最も人気を博した存在であることは間違いないだろう。ファンやボランティア、選手たちがビンドゥンドゥンと写真を撮ったり、ぬいぐるみを購入するために長蛇の列を作ったりと大人気だった。フラワーセレモニーの際には貴重なギフトとしてメダリストにこのマスコットが贈られ、選手たちはその愛らしさに笑顔を見せた。
ビンドゥンドゥンの “ビン = Bing” にはいくつか意味があるものの、北京語で最も一般的な意味は「氷」。オリンピック最終日に行われたフィギュアスケートのエキシビションにサプライズで登場し、驚くべきスケーティングを披露した。
羽生や他のスケーターたちと一緒に素晴らしい滑りをみせたビンドゥンドゥンが転倒してしまったときに、羽生などが起き上がるのを助けてくれたシーンは、インターネット上で爆発的な人気の名シーンとなった。
オリンピックと鍵山家の絆
北京2022に出場したオリンピックスケーターは、オリンピアンの子供であったり親から指導を受けているスケーターが少なくないが、その両方を兼ね備えているスケーターはとても少ない。その中でも際立っていたのが、男子シングル銀メダリストである18歳の**鍵山優真だ。彼は、父の正和**がコーチをしている。
正和はアルベールビル1992とリレハンメル1994の両オリンピックにフィギュアスケート選手として出場したが、同じくオリンピアンでローザンヌ2020冬季ユースオリンピックのチャンピオンである息子のような高みには到達しなかった。
「この舞台に(父と)一緒に来られたことをすごくうれしく思う。父に自分の素晴らしい演技を見せることができたと思う」と、表彰台を後にした優真は語った。
「成長した自分を見せることができて本当によかったと思う。その上で銀メダルという結果を残せたことは、自分にとっては親孝行できたかなと思う」
メドベージェワとブラウンの再会
パンデミックの影響が大会に大きく立ちはだかったていたが、それ以前から世界各地を拠点とする選手らのトレーニング計画にも影響を与え、スポーツ界を混乱させていた。
その中には、ブライアン・オーサーとトレイシー・ウィルソンが率いるトロントチームで、2020年に帰国してトレーニングを積んできた2度のオリンピック銀メダリスト、**エフゲニア・メドベージェワも含まれる。しかし、このトリオは、北京2022でジェイソン・ブラウン**も含めて感動的な再会を果たした。この再会で、ブラウンとメドベージェワが初めてトロントに到着し、一緒に北京に出場することを約束するビデオを撮影した、2019年の記憶がよみがえった。
アイスダンスファン、ショーン・ホワイト
北京大会では動きが制限される中、アイスダンスで予想外のファンの姿が見られた。オリンピックの伝説的スノーボーダー、**ショーン・ホワイト**の姿だ。3度のオリンピック金メダリストで、出場5回目となる今大会を自身最後のオリンピックと宣言していたホワイトは、フリーダンスの観戦を楽しんだ。
**ミラノ・コルティナ2026**にはフィギュアスケートに登場するかもしれない?
トレーニング仲間で友人、チェンとベル
南カリフォルニアを拠点とする練習仲間で、ラファエル・アルトゥニアンの指導を受けている**ネイサン・チェンとマライア・ベル**。チェンのフリー演技中にベルを見た人は、明らかに緊張した面持ちだったことがわかるだろう。
チェンは金メダル、ベルは10位に終わったが、ふたりは6年間一緒に練習してきたことで、この大会を共に経験することができた。ベルはインタビューで2人の友情について、「ふたりとも大バカなんですよ」と語った。「彼と一緒にオリンピックに行くのはとても最高ですね」