国際スキー・スノーボード連盟(FIS)が主催する2023/2024シーズンにおけるスノーボード・ビッグエアのワールドカップ最後の争いとなる第4戦が、アメリカ合衆国コロラド州コッパーマウンテンにおいて現地時間12月13日に開幕し、男女それぞれ予選(13日)と決勝(15日)を行った。
■村瀬、女子では初の大技を成功させて今季2勝目!
17名がエントリーした女子の予選では、出場した日本代表4名全員が上位8名だけの決勝進出を決めた。
15日に行われた決勝ではそれぞれ3回のランを行い、ベストスコア2つの合計得点で競い合う競技フォーマットで実施された。なかでも、北京2022において日本代表として史上最年少記録となる冬季オリンピックメダリストに輝いた村瀬心椛(写真上/2022年同大会出場時)が、予選をトップで通過。決勝でも、村瀬は1回目のランから攻めのパフォーマンスを披露し、ハイスコアとなる97.25をマークする。つづく、2回目のランで、村瀬はFISオフィシャル大会において女子では初となる大技、バックサイドトリプルコーク1440を成功させ、6名のジャッジのうち4名が100点、残る2名も99点をつける高評価を獲得し、99.75を記録する。村瀬が叩き出したスコア合計197.00を最終ランを経ても上回る選手が現れなかったことから、開幕戦に続いて村瀬の今季2勝目となるワールドカップ優勝が決まった。
2位には、スコア合計174.00をマークした深田茉莉が入っている。
スノーボード・ビッグエアW杯コッパーマウンテン(アメリカ)2023女子決勝の表彰台成績ならびに日本人成績は、以下の通り(外国人選手はFISの表記に準ずる)。
■國武、悲願のW杯初制覇!
日本代表7名含む57名がエントリーした男子の予選は、2組のヒート(グループ)に分かれて実施され、各ヒートより上位5名、合計10名が決勝に進出するというフォーマットで行われた。予選から90点台を記録しないと決勝に進出できないというハイレベルな争いが繰り広げられた結果、3名のTEAM JAPANメンバーがファイナルステージへと駒を進めた。
その決勝では、平昌2018と北京2022で日本代表を務めている國武大晃が、ラン1回目で86.50、2回目には全体のベストスコアとなる94.75をマークして、スコア合計181.25で暫定トップに躍り出る。リバースオーダー(成績下位の選手からの出場順)に変わる最終の3回目のランでは、他の選手が國武のスコアを上回ることができなかったことから、國武の出番を待たずして悲願のワールドカップ優勝を決めた。國武にとっては、これがワールドカップ初制覇となる。
スノーボード・ビッグエアW杯コッパーマウンテン(アメリカ)2023男子決勝の表彰台成績ならびに日本人成績は、以下の通り(外国人選手はFISの表記に準ずる)。
スノーボード・ビッグエアの今季ワールドカップは全て終了し、今大会期間中には種目別の年間表彰も行われた。
男子では、合計ポイント196をマークした木村葵来が初優勝を飾っており、昨シーズンの世界選手権王者である長谷川帝勝が合計168で3位に入った。
また、女子では、合計215をマークした深田が2位、206を記録した岩渕が3位に入っている。総合優勝は、昨シーズンの世界女王に輝くミア・ブルックス(イギリス)で、ポイント合計は250だった。
■スノーボード・ビッグエアとは?
スノーボードのオリンピック種目は5つある。その中でも、ビッグエアはオリンピックヒストリーの中で最も新しい種目で、平昌2018で初めて実施された。
ビッグエアは、スノーボーダーが巨大なジャンプ台から勢いよく飛び出して、空中(エア)で最高のトリックを披露するシンプルな種目だ。
コース上でジャンプや技(トリック)を複数回繰り出していくスロープスタイルとは異なり、ビッグエアはワントリックを確実に決めることが重要となる。大会のフォーマットにもよるが、選手は通常、2回もしくは3回のランを行う。同じトリックを3度繰り返す選手も珍しくはない。
審査員は、高さ・難易度・発展性・完成度・着地の5つの基準で演技を採点する。