「怪我すると痛いけど…楽しい」中学1年生・吉沢恋が目指すスケボー、世界への道

東京2020オリンピックのスケートボード競技で、当時13歳だった西矢椛が女子ストリート種目で優勝し、日本史上最年少のオリンピック金メダリストが誕生した。西矢の活躍を受け、日本女子スケボー界はさらなる若手選手が台頭している。

1 執筆者 Chiaki Nishimura|公開日:11月21日
ストリート・スケートボード・ローマ2022準々決勝の吉沢恋=2022年7月1日、イタリア・ローマ
(2022 Getty Images)

そんな若手選手の1人となるのが、スケートボード女子ストリート種目で活躍する吉沢恋(よしざわ・ここ)である。

2009年生まれの吉沢は、7歳のときからスケートボードに励んできた中学1年生。昨年12月に行われた日本選手権、4月の日本オープンを通じて日本代表メンバーに選ばれ、今年の夏に行われたストリート・スケートボード・ローマ2022に出場した。

家族を離れての遠出が初めてならば、飛行機に乗ったのも初めて。初めてづくしの国際大会では、上位8選手のみが出場できる決勝の舞台に駒を進めた。

Olympics.comでは、「パリオリンピックを目指して頑張っていきたい」という吉沢に話を聞いた。

大会から得られるモチベーション

「なんでみんなこんな辛いことやってるんだろうなって不思議でした」

これは中学1年生で世界デビューを果たした吉沢恋の、スケートボードに対する第一印象である。

兄の影響で小学1年生のときにスケボーを始めたものの、転べば痛いし、怪我もすることから、「6年生まで」と考え、気軽な気持ちでスケートボードと向き合ってきた。

だが、小学6年生で出場した日本スケートボード選手権では5位、半年後の日本オープンでは8位に入賞。その結果がローマ大会への出場につながった。

「6年生になったら終わりっていうことを言ってたんですけど、6年生の終わりに日本で結果を出して、(その結果)大きい舞台に立てたので嬉しいです」

「大会に出ていなかったら、6年生で(スケボーを)やめてたかもしれない」と話す吉沢にとって、大会に出場することは、スケートボードの楽しさを実感する要素のひとつでもある。

「怪我しちゃうと滑れなくなるし、滑れなくなると自分が辛くなっちゃうので、その部分が嫌だなって思う部分でもあるけど、大きな大会でみんなと滑ってみると、やっぱりスケボーは好きです」

「人前だと少しは緊張する」と話す吉沢だが、人に見られることでモチベーションが上がることも実感。「もっと自分を見せるためにはとかって考えながら自分を追い込んでやってます」と話す。

日本スケートボード界では11月24日~27日の日程で第5回日本スケートボード選手権が行われる。この大会は、2023年のアジア競技大会派遣選手や2023年の強化指定選手の選考会を兼ねており、パリ2024オリンピックを目指す選手たちにとって重要な大会となる。

吉沢は、10月末に行われた日本発のアーバンスポーツリーグ「CHIMERA A-SIDE THE FINAL」を怪我のため欠場したが、今回の大会にはエントリー。

「(大会を通じて)自分の姿を他の人が見て、驚いてもらえるっていうところが一番好きです」とスケートボードの魅力を語る吉沢恋のパフォーマンスに注目したい。

もっと見る