体操・パリ2024 女子日本代表メンバー5選手を一挙紹介!
東京2020女子種目別ゆかの銅メダリスト村上茉愛を含む、オリンピック女子団体メンバーの平岩優奈、杉原愛子、畠田瞳、全員が引退し、長年体操女子を牽引してきたオリンピック2大会出場の寺本明日香も競技を退いたことで、完全な世代交代が行われた体操女子。
前回大会のオリンピック団体メンバーを欠く中、2023年10月にベルギー・アントワープで開催された世界選手権の団体予選を8位で通過したことでパリ2024の出場枠を確保し、5大会連続の女子団体オリンピック出場を決めたTEAM JAPAN。2024年に開催されたパリ最終選考会の全日本選手権とNHK杯で、フレッシュな顔ぶれとなるオリンピック初出場の女子代表選手5名が選出された。
パリ2024の女子体操競技は、7月28日から8月5日の期間で6日間試合が行われ、4種目(跳馬・段違い平行棒・平均台・ゆか)の種目別に加え、個人総合と団体総合が実施される。
ここでは、新生TEAM JAPAN、女子日本代表メンバー5選手を一挙に紹介する。
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宮田笙子
- 所属:順天堂大学
- 生年月日:2004年9月21日(19歳)
- 出身地:京都府伏見区
- オリンピック歴:初出場
- ソーシャルメディア:Instagram
体操女子の時代の転換期に、新エースとして体操界を引っ張るのが、パリ代表選考を兼ねたNHK杯で3連覇を達成した宮田笙子だ。大会数日前に左内転筋を負傷したとは思えない安定した演技で、全日本体操個人総合選手権に続き個人総合で予選、決勝ともにトップに立ち、エースとしての力を示した。
優れた脚力と瞬発力を活かしたダイナミックな演技を持ち味とする宮田がその名を轟かせたのは、17歳で初優勝を果たした2022年のNHK杯だ。また、同年9月に開催された全日本シニア選手権の個人総合で2連覇を達成し、団体総合と種目別の跳馬、段違い平行棒、平均台と、合わせて5冠に輝いたことで、体操女子のニューヒロインとして一躍注目を浴びる存在となった。
田野辺満監督の指導を受けるために親元を離れて鯖江高校へ入学を決めてから、演技面だけでなく精神面でも成長を続け、この3年間で、力強さと繊細さを兼ね備えた美しい演技がさらに洗練された。2023年には練習のし過ぎで右かかとを疲労骨折するなど体操の厳しさにも直面するが、その経験も糧にして、体操女子の主力としてますます信頼できる存在となった。
自身のInstagaramでは、「ここ2年ほど、体操日本女子チームに怪我が多発し、一緒に闘ってきたメンバーの怪我の報告を聞くたび胸が痛くなりました。本人が1番辛いのに、前を向いてリハビリを頑張る姿、周りの選手を素直に応援する姿に心うたれました」と、これまでの過程を振り返り、仲間の気持ちを痛感している宮田は、NHK杯後に「(代表に)選ばれて、壇上でしゃべっているときに、今まで一緒に代表で戦ってきた選手を見ていると、自分が頑張らないとという気持ちになりました。いろいろな人の思いをつないで、オリンピックのメダルにつなげたい。いろいろな人の思いを背負ってオリンピックに臨みたいと思います」と、力を込めた。
7月28日から始まる女子体操で、共に戦ってきた体操女子の全選手を代表し、その全力を演技に込める宮田のパフォーマンスに期待したい。
岸里奈
- 所属:戸田市スポーツセンター
- 生年月日:2007年9月23日(16歳)
- 出身地:埼玉県戸田市
- オリンピック歴:初出場
宮田に続き、新時代の女子体操のレベルを引き上げているのが、高難度の技を持つ岸里奈だ。アトランタオリンピック代表の豊島リサ(旧姓菅原)コーチに指導を仰ぎ、岸が武器とする柔軟性とバネのある脚力を活かして4種目全体の技を磨き上げてきた。
2023年にシニアデビューを果たし、全日本個人総合選手権で3位。次ぐNHK杯では、得意種目のゆかで、習得したばかりの2回宙返り2回ひねりの大技、H難度の『シリバス』を成功させた。また、跳馬では高さのある跳躍から『ユルチェンコ2回ひねり』を着地までしっかりと決め、個人総合2位に入賞し、初の世界選手権出場権を獲得した。また、この世界選手権では、女子団体で8位入賞を果たし、日本が目標としていたパリ出場枠の獲得に大きく貢献。個人総合でも、高難度の技を成功させ、国際大会デビューを日本勢トップの11位で締めくくった。
オリンピックイヤーのNHK杯では、跳馬で宮田と同得点の14.300でトップに立つと、段違い平行棒とゆかでも高得点を出して安定した演技を披露し、総合2位で初のオリンピック出場を決めた。パリの大舞台でも高難度の技を成功させ、それを得点に繋げることができるか。1964年の東京オリンピック銅メダル以来となる、女子団体のメダル獲得が実現できるかにも注目したい。
岡村真
- 所属:相好体操クラブ/四日市大学
- 生年月日:2005年5月28日(19歳)
- 出身地:三重県津市
- オリンピック歴:初出場
高い表現力と芸術性が光る演技で平均台を得意とする岡村真(まな)。高校2年生の時に出場した2022年のアジア競技大会団体総合と個人総合でそれぞれ銀メダルを獲得。種目別・平均台では日本人史上初の金メダル獲得という快挙を達成し、戦力を欠いていた体操女子に新星が誕生したことで、話題を呼んだ。2023年はドイツで開催された種目別ワールドカップに初出場し、平均台で14.133点をマークして初優勝。今年2月にエジプトで開催された同ワールドカップでは、ゆかで優勝、平均台で3位という記録で成長した姿を世界に印象付け、高校生活を締めくくった。
4月に大学入学後は、パリ代表選考も兼ねた全日本選手権の平均台決勝で最高得点をマークし、総合4位に入ると、翌月のNHK杯では同種目で唯一14点台を叩き出し、総合3位でオリンピック代表内定を勝ち取った。
パリに向けては、技の見せ方を磨き、着地を美しく止めることで高得点をあげ、種目別だけでなく、個人総合でも上位入賞を狙う。練習に励んでいる平均台の3連続技がパリの舞台で見られるかにも注目したい。
中村遥香
- 所属:なんば体操クラブ
- 生年月日:2008年5月18日(16歳)
- 出身地:大阪府大阪市
- オリンピック歴:初出場
- ソーシャルメディア:Instagram
平均年齢17.6歳の女子代表5選手の中で最年少の中村遥香は、最終選考会となったNHK杯で誕生日を迎え、16歳1日目でオリンピック日本代表入りを決めた。2023年に国際大会に初出場し、世界ジュニア選手権で個人総合と団体総合で金メダル、ゆかで銅メダル、段違い平行棒で4位入賞を果たし、同年のアジアジュニア選手権でも、団体と個人総合の2冠に加え、種目別でも段違い平行棒とゆかで金メダルを獲得し、期待の新鋭として注目を集める。この世界ジュニアの段違い平行棒で、D難度(前振り半ひねり前方屈身宙返り高棒懸垂)の技を世界で初めて成功させ『ナカムラ』と命名、15歳にして既に自分の名前がつく技を持つ。体操競技選手の中でも小柄な143cmという身長から魅せる、軽やかでシャープな美しい演技が持ち味だ。
パリ代表の座を射止めた代表選考会では、全日本個人総合選手権で3位、NHK杯で4位と安定した演技を見せたが、「嬉しい反面、2日目も緊張を味方にすることが出来ず(NHK杯で)3位までに入る!という目標を達成することが出来ませんでした」と、悔しさを表し「今回も課題は山積み。悔いなくやり切った!と言い切れる試合&応援してくださる皆様にすごかった!と言ってもらえるような選手になれるように頑張ります」と、自身のInstagramでパリへ向けてさらなる成長を誓った。複数種目で高得点を狙い、初出場オリンピックの個人総合でどこまで順位を上げられるかを見届けたい。
牛奥小羽
- 所属:日本体育大学
- 生年月日:2004年8月17日(19歳)
- 出身地:愛知県小牧市
- オリンピック歴:初出場
- ソーシャルメディア:Instagram
寺本明日香と同郷で、同じく名古屋市の体操教室・レジックスポーツ出身である牛奥小羽(うしおく・こはね)は、日本体育大学入学後、東京2020メダリストでコーチの村上茉愛から指導を受けて技に磨きをかけてきた。脚力の強さを武器に跳馬を得意種目とし、高さのある跳躍で高得点をマークする。昨年のアジア競技大会では、岡村真などと共に3大会ぶりの団体女子銀メダルを獲得。メダルをかけた最終種目・跳馬の重要な局面で『伸身ツカハラ1回半ひねり』を着地まで綺麗に決め、日本チームに貢献した。
パリ代表選考の全日本選手権とNHK杯では予選、決勝ともに跳馬で14点台を記録し、最後の決勝では『ユルチェンコ2回ひねり』を決めてアピールしたことで、団体戦での貢献度を見込まれ、最後の5人目の出場枠を手にした。
「(選考大会で)4日間ミスなく跳馬を跳び続けることが出来たのは良かったですが、もっと良い跳躍をすることが出来たのではないかと悔しい思いもあります。残り2ヶ月と短い期間ですが、細かい所までしっかりと修正し、更にいい演技が出来るよう頑張ります」と、パリへ向けての意気込みを自身のInstagramで綴っている。本番までに技の細部を調整して極めることで、牛奥の自己最高の演技で団体女子の貢献に期待したい。