大坂なおみ「健康であることに感謝したい」

マイアミ・オープンで準決勝となったテニス選手の大坂なおみ。新たな活力を得た大坂がメンタルヘルスについて語り、新たな気持ちで次の大会へと進んでいく。

1 執筆者 Nick McCarvel
Naomi Osaka
(2022 Getty Images)

世界ランキング元1位、4大大会で4度の優勝というキャリアを誇る**大坂なおみ**は、すでにテニスの殿堂入りの条件を満たしているが、コート上において次へと進む準備ができているようだ。

4月3日行われたマイアミ・オープンの決勝で、世界ランキング1位の**イガ・シフィオンテク**(ポーランド)に敗れて準優勝となった彼女は、「私はまだ学生」のようなものだと語り、「学び続けなければならない」と気持ちを表現した。

大坂のこうした姿勢は、ジェットコースターのような10ヶ月を経て、彼女が大きく変わったことを物語っている。パワフルで正確なショットを武器とする大坂は、彼女のキャリアにおいて次のステージへ向かう準備ができていることをマイアミで示した。

彼女はそれを「おまけ(bonus)」の期間と呼ぶ。

マイアミで記者団に対し、「これから先のキャリアで、私がやることはボーナスみたいなものと思っています」とコメント。「出場するすべての大会で勝ちたいし、もっとグランドスラムで勝ちたい。でも、今の私としては、ただ健康であることに感謝したい」と続け、「今は、自分がすることすべてがボーナスだと思っています。多くのことを達成することができたし、できればもっと成し遂げたい。でも、地に足をつけていることが大事だと思っています」と語った。

心の変化: 大坂なおみ、セラピストと共に

大坂は昨年、全仏オープンの試合後の記者会見をきっかけに、最終的に全仏オープンを棄権。続くウィンブルドンも欠場したことでテニス界に衝撃を与えた。その後、2021年夏に行われた東京2020オリンピック、全米オープンに出場し、大坂は自身のメンタルヘルスに関してもオープンに語った。

彼女の率直さは、東京2020の最中に**シモーネ・バイルズ**がメンタルヘルスに関して打ち明けたことと重なり、スポーツにおけるメンタルヘルスの重要性について光を当てた。

今年3月に米カリフォルニア州インディアンウェルズで開催されたBNPパリバ・オープン(WTA 1000)で、観客から罵声を浴びせられたことに加え、姉・まりさんから勧められたことで、大坂はセラピストと話をするようになったという。

「インディアンウェルズの後、ようやくセラピストと話し始めました」と彼女は言う。「全仏オープンから1年ぐらいかかりました」。「進むべき道を示してくれる人が周りにいることを、すごく嬉しく思います」と大坂は続け、セラピーを通して話し合ったことを、戦術としてすでに使っていると説明。「とても役に立っていると思います。自分の人生の一部、あるいは頭の中のスペースを改善したいというような感情を理解しながら、これからも前進していくつもり」と語った。

大坂が一歩を踏み出した背景には、コーチのウィム・フィセッテの働きかけもある。フィセッテは、テニスに関してコート内外でトレーニングに費やしている労力を引き合いに出し、精神面でも同様の注意が必要だと大坂に話したという。

「彼からは、『心というのは、とても重要なもの。プロの力を借りて0.5%でも助けになるなら、それだけで価値がある』と言われました」

クレー、芝への挑戦

大坂が制した4大大会は、2018年と2020年の全米オープン、2019年と2021年の全豪オープンと、いずれもハードコート。全仏オープン(クレー)、ウィンブルドン(芝)では、3回戦を突破したことはない。

普段はロサンゼルスを拠点に活動している大坂は、「このクレーコートのシーズンには真剣に取り組むつもりです。クレーコートで練習するために1週間前にヨーロッパに入る予定」とし、「クレーコートが得意というわけではないけれど、動き方を調整すれば、いい感じになるんじゃないかと思っています」。

次の大会は、4月28日から始まるのマドリッド・オープン(レッドクレー)だと話す大坂。

「私はまだ学生で、学び続けなければならないと思っています」と、マイアミでの数週間で得た教訓を話し、「今年はクレーと芝をどうにかしたいと思っています」 と前向きな気持ちを語った。

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