TEAM JAPANシンボルアスリートに選出された渡部暁斗「環境問題、男性の育児参加にも取り組みたい」

日本オリンピック委員会(JOC)は6月23日、TEAM JAPAN シンボルアスリート、TEAM JAPAN ネクストシンボルアスリートを発表。冬季スポーツからは渡部暁斗、小平奈緒、宇野昌磨、髙木美帆が選出された。イベントに登壇した渡部、小平、宇野はそれぞれの思いを口にした。

1 執筆者 オリンピックチャンネル編集部
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(写真:PHOTO KISHIMOTO/JOC)

日本オリンピック委員会(JOC)は6月23日、TEAM JAPAN シンボルアスリート、TEAM JAPAN ネクストシンボルアスリートを発表。同日に認定式が行われた。冬季スポーツからはノルディック複合の渡部暁斗、スピードスケートの小平奈緒と髙木美帆、フィギュアスケートの宇野昌磨が選ばれた。イベントに出席できなかった髙木を除いた3人は、それぞれの思いや競技の意気込み、アスリートとして解決したい課題などについてコメントしている。

渡部暁斗

シンボルアスリートに再び選んでいただいて、本当にうれしく思います。光栄に思うとともに、日本のスポーツ全体のシンボルになるべく任された立場だと思うので、身の引き締まる思いです。プライベートで5月の末に第二子が生まれまして、ますます父親としても頑張らないといけない、と思っているのが最近の変化です。
コロナ禍でいろいろなもののあり方が再考されて、スポーツに関してもさまざまなことを考えさせられました。そういう時間を経て、TEAM JAPANのエンブレムが新しくなり、またシンボルアスリートに選んでいただき、心機一転、さらにスポーツの価値を高めていけるようにと改めて思いました。
我々スキー競技は環境問題とかなり密接に関わっています。自分もヨーロッパに遠征に行くときなど、氷河に登って練習することもあります。その氷河が消えていくさまや、冬の降雪量が減っているということを肌で感じることが多いです。なので、僕らの場合は競技自体がなくなってしまう未来があるのだと、ひしひしと感じるものがあります。環境問題に対して、真剣に取り組まないといけないと、身を持って感じているので、その解決に少しでも取り組んでいけたらと思います。
日本の社会問題の一つとして、男性の育児参加が遅れているということがあると思います。私も父親となった身で、アスリートと父親を両立させて、その中で、競技力を向上させて結果も残すということが新しいチャレンジとなっています。育児への参加が難しい部分もあるのですが、可能な限りは育児の取り組みを含めて、新しいアスリート像への挑戦をしていきたいと思っています。

小平奈緒

直近の北京2022では目立った成績を残すことができず、不思議な感情もあるのですが、こうして継続して、アスリートのシンボルとしてお認めいただけることをとてもありがたく思っています。
私自身は10月の大会で競技人生を退くことを決めました。そこまでは中途半端な気持ちではなく、アスリートにとってシンボルとなるような、人としての魅力に磨きをかけ続けられるような存在でいられたらと思っています。
オリンピックは終わりましたが、人生の中でスケートに打ち込むのは最後と決めた舞台で、しっかりとやり遂げられるように。次世代にバトンを受け渡していきたいという気持ちもあります。決して燃え尽きることなく、燃えた炎を次世代につなげたり、私自身の今後の人生につなげられるようにしたいです。
ちょうど3年ほど前に長野市で災害があった時に、実際にボランティア活動をしたり、地域の皆さんと接することがありました。その時に、アスリートは地域の皆さんからかけ離れた存在になってしまっていると感じました。社会の中でスポーツが生き抜いていくために、そういうのは時代に逆行しているのではないかと感じます。社会の一員として、アスリートがスポーツが地域の皆さまの健康に役立つような取り組みをしていけるといいなと思いました。

宇野昌磨

今年もシンボルアスリートに認定していただきすごくうれしく思います。オリンピックが終わったばかりですが、僕にとってももちろん、オリンピックがとても大事な試合でした。昨年は成長したいと感じた1年でした。まだまだこれから成長し続けていきたいと思います。昨年同様、シンボルアスリートに選んでいただけてうれしいですし、皆さんのお手本となるような、目標にしたいと思ってもらえるような選手でいることを心がけていきたいと思っています。
フィギュアスケートはここ数年でどんどん技術の発展を遂げていて、若い世代が出てきて進化をしていく中で、自分も置いていかれないように成長し続けなければいけないと思っています。まだ僕にも成長できる余地は残っていると思います。4年間でどこまで自分がついていけるかわからないですが、4年後もトップで戦い続けていられたらと思います。
(ネクストシンボルアスリートへ向けて)フィギュアスケート界では、24歳という年齢はすごく上のほうで、ベテランと言われる年齢になってきました。僕は以前、ネクストシンボルアスリートに選んでいたときから「いつかは先輩たちのようになりたい」と思ってフィギュアスケートを続けてきました。長く競技を続けていると、どうしてもうまくいかないときもあります。うまくいかない時ほど、学べるものがあるのだと、この数年間を振り返って思います。昨シーズンはすごくいいシーズンとなりましたが、たくさんの試合に出て、いい試合よりも悪かった試合のほうが自分にとってプラスになることが多いと思います。失敗をしても、そこからたくさんの学びを得て、「いい失敗だったな」と思って次に進めるよう頑張ってほしいと思います。僕も頑張ります。

■TEAM JAPANシンボルアスリート

TEAM JAPANを代表する存在。「誰もが憧れるアスリート」の象徴として、JOCが認定したアスリート。オリンピック・ムーブメント推進事業及びマーケティング活動を通して、スポーツの価値を社会に伝える役割を担う。

シンボルアスリート一覧

  • サニブラウン アブデル ハキーム(陸上競技)
  • 渡部 暁斗(スキー/ノルディック複合)
  • 石川 祐希(バレーボール)
  • 橋本 大輝(体操/体操競技)
  • 小平 奈緒(スケート/スピードスケート)
  • 髙木 美帆(スケート/スピードスケート)
  • 宇野 昌磨(スケート/フィギュアスケート)
  • 金城 梨紗子(レスリング)
  • 見延 和靖(フェンシング)
  • 阿部 一二三(柔道)
  • 阿部 詩(柔道)
  • 上野 由岐子(ソフトボール)
  • 桃田 賢斗(バドミントン)

■TEAM JAPANネクストシンボルアスリート

JOCが認定した次世代の日本スポーツ界をけん引していく若手アスリート。オリンピックの理念に賛同するとともに、次期シンボルアスリートとしてオリンピック・ムーブメント推進事業及びマーケティング活動に協力する。

ネクストシンボルアスリート一覧

  • 柳田 大輝(陸上競技)
  • 本多 灯(水泳/競泳)
  • 北園 丈琉(体操/体操競技)
  • 東藤 なな子(バスケットボール)
  • 河辺 愛菜(スケート/フィギュアスケート)
  • 森重 航(スケート/スピードスケート)
  • 伊藤 麻琴(アイスホッケー)
  • 藤波 朱理(レスリング)
  • 木原 美悠(卓球)
  • 古賀 若菜(柔道)
  • 上野 優佳(フェンシング)
  • 郡司 莉子(バドミントン)
  • 平野 優芽(ラグビーフットボール)
  • 谷井 菜月(スポーツクライミング)
  • 小林 誠也(リュージュ)
  • 青木 勇貴斗(スケートボード)
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