パリ2024男子サッカーで、中心的な世代となるU-22日本代表の2023年の試合スケジュールとともに、パリオリンピックに出場するための年齢条件などを紹介する。
日本列島を熱狂の渦に巻き込んだ2022年末のFIFA(国際サッカー連盟)ワールドカップカタール2022。2大会連続で決勝トーナメント進出を果たしたSAMURAI BLUE(サムライブルー)ことサッカー男子日本代表は、目標だったベスト8という「新しい景色」には到達できなかった。
さまざまな思いを胸に、2026年にアメリカ合衆国・メキシコ・カナダの北米3カ国で開催される次回W杯に向け、26名の青き勇者たちは新たな冒険路を走り始めた。そして、その路の途中には、開幕まで1年半と迫ったパリ2024夏季オリンピックも待っている。とくに、Tokyo2020でメダルを逃すという苦い経験も味わっている選手たちにとっては、次回のオリンピック出場も大きな関心事のようだ。
たとえば、最年少でカタールW杯のSAMURAI BLUEに選出された2001年生まれの久保建英は、ちょうどパリ2024の出場年齢カテゴリー(2023年時点でU-22)に当てはまる。また、久保とともに東京オリンピックに出場し、その悔しさを力に変え、カタールW杯のグループステージで顔を合わせたドイツ代表とスペイン代表の2試合で、それぞれゴールを決め、日本の勝利に大きく貢献した堂安律は、パリ2024のオーバーエイジ枠での出場に興味を示している。
■U-22にとって、2023はどんな年?
次回のオリンピック男子サッカーの日本代表は、大岩剛監督が率いることが2021年12月に決定しており、発足からおよそ1年が経過したところだ(2023年1月執筆)。
2022年3月、U-21(※当時)日本代表は大岩監督の指揮の下、初の海外遠征となったドバイカップで、決勝進出を果たした。その決勝の相手は、カタールW杯で優勝したアルゼンチン代表から白星を奪うジャイアントキリングを起こしたサウジアラビアのU-23代表だったが、年齢カテゴリーでは上に立つ相手を前に、1−0で勝利を収めて優勝し、好スタートを切った。
つづく6月のアジアカップでは、グループステージを勝ち上がり、ノックアウトステージ(決勝トーナメント)へ進出したものの、準決勝でホスト国のウズベキスタン代表に0−2で敗れ、日本は3位決定戦に回った。その3位決定戦では、オーストラリア代表を3−0で下して、銅メダルを獲得している。
そして、秋にはサッカー強豪チームがひしめくヨーロッパへと2回の遠征を行い、その間に実施された国際親善試合では1勝1分け2敗という成績に終わっている。
カタールW杯のSAMURAI BLUEの活躍に刺激を受けた若きアスリートたちは、2023年、年齢カテゴリーを1つ上げてU-22となり、さっそく春の海外遠征に向けて準備に忙しくなるところだ。そして、9月には2024年に開かれるアジアカップの予選と、1年延期となった中華人民共和国でのアジア競技大会・杭州2023といった、アジア地域における国際大会がいくつも控えている。
すなわち、2023年はU-22代表にとって、アジア地域の中で日本の強さをいかに示せるかという点が重要で、パリ2024に向けた飛躍の年とできるかが、大きなカギとなりそうだ。
Olympics.comでは、U-22日本代表が出場する試合の放送予定などが明らかになり次第、随時お知らせする予定だ。
■オリンピックは「U23」?
オリンピック男子サッカーに出場する選手には、年齢の制限がある。
パリ2024の場合、2001年1月1日以降に生まれた選手(=パリ2024開催時点で23歳以下)だけが、オリンピック予選および本戦に出場できる。このため、オリンピックの男子サッカー代表は、しばしば「U23」と呼ばれている。
お気づきの通り、年月を重ねるごとに、年齢も変わっていくことから、サッカーでは年齢カテゴリーの区分がとりわけ重要になる。このため、本記事内でもパリ2024世代が、2022年は「U21」、2023年は「U22」、2024年は「U23」と、その時々によって年齢カテゴリーの表記が変わっているのだ。
さらに、オリンピックでは、U23という年齢制限を超えた選手を3名に限り、代表メンバーとして指名できる。これが、「オーバーエイジ(OA)」と呼ばれる特別枠で、Tokyo2020では、SAMURAI BLUE主将の吉田麻也をはじめ、酒井宏樹と遠藤航といった、カタールW杯でも活躍した3名がOA枠から出場している。
そして、カタールW杯を経験したSAMURAI BLUEの中には、次回W杯はさることながら、開幕まで1年半と迫ったパリ2024に関心を寄せている選手がいる。
体調不良によりカタールW杯決勝トーナメント1回戦のクロアチア代表戦を欠場した久保建英は、敗戦直後のインタビューで、「東京オリンピックの時と違って、ちょっと不完全燃焼感があります。(パリ2024)オリンピックもありますし、チャンスをもらえるのであれば、検討したいと思います。幸い自分はチャンスはありますし、実現するのであれば」と2度目のオリンピック出場に前向きな姿勢を示している。とくに、2001年6月生まれの久保は、パリ2024の開催時、ちょうど23歳なので、年齢の出場条件をクリアしているのだ。
また、カタールW杯で2ゴールを挙げた堂安律は、NHKのインタビュー(2022年12月19日付)の中で、パリ2024について「オーバーエイジ枠で出たい」と、2大会連続のオリンピック出場の意向を明らかにしている。