FIFA(国際サッカー連盟)ワールドカップカタール2022は12月1日にグループE全試合が終了。ここでは同組の戦いを振り返る。
■回顧
優勝経験のあるドイツとスペインが同居し、「死の組」と言われたグループE。一方で、列強2チームの突破が濃厚な「2強2弱」との見方もあったが、ふたを開けてみれば大混戦となった。
そんな「死の組」を制したのは日本。幕開けは衝撃だった。
優勝候補ドイツと対戦した初戦、日本の前半は防戦一方の展開となる。だがなんとか1失点に抑えハーフタイムを迎えると、後半に大胆な布陣変更。75分、83分とわずか8分間で逆転に成功し、大金星で世界を驚かせたのだ。その数時間後には、スペインも衝撃を与えた。完全に試合を支配すると、コスタリカにシュートを1本も打たせず7‐0の大勝。その破壊力をまざまざと見せつけている。
幸先良くスタートした日本だったが、2戦目で暗雲が立ち込める。コスタリカ相手に消極的なプレーに終始し、0-1の黒星。スペインとの最終戦で勝点1以上が絶対条件となり、自ら勢いを手放してしまったかのように見えた。同日に行われたスペインとドイツの優勝候補同士の一戦は、1‐1の引き分け。これでドイツは追い込まれた。
迎えた運命の最終戦は突破の状況が目まぐるしく変わる、まさに「死の組」にふさわしい展開。日本はスペインに対し5バックで守るものの、11分にいきなり失点し苦しい状況に立たされる。それでも前半は1失点のみで我慢すると、森保一監督は後半の立ち上がりにかけていた。堂安律と三笘薫をハーフタイムに投入すると、48分に堂安が同点弾を叩き込む。51分には三笘がゴールライン際紙一重の場所から折り返すと、それを田中碧が押し込み6分間で逆転に成功。日本はその後スペインの攻撃を凌ぎきり、今大会2回目となる優勝経験国からの勝点3を獲得した。
最終節では、同時刻キックオフのドイツとコスタリカも熱戦となった。突破には勝つしかないドイツが10分先制するが、後半に入るとコスタリカが逆転。この時点ではコスタリカに突破の権利が渡ったものの、その後ドイツが再逆転し試合は4‐2で終わった。この結果勝点6の日本が首位通過。スペインとドイツは勝点4で並んだが、得失点差がものを言いスペインが2位突破、3位のドイツは2大会連続でグループステージ敗退を喫した。
前評判を覆し首位通過のSAMURAI BLUEは、決勝トーナメント1回戦ではクロアチアと対戦する。またしてもヨーロッパの強豪にして前回準優勝国との一戦となるが、もう「金星」や「大番狂わせ」とは言わせない。ここも抜群の集中力でものにし、まだ見ぬW杯ベスト8へ突き進む。
■試合結果
第1節
ドイツ 1-2 日本
- 33' イルカイ・ギュンドアン(ドイツ)
- 75' 堂安 律(日本)
- 83' 浅野 拓磨(日本)
スペイン 7-0 コスタリカ
- 11' ダニ・オルモ(スペイン)
- 21' マルコ・アセンシオ(スペイン)
- 31' フェラン・トーレス(スペイン)
- 54' フェラン・トーレス(スペイン)
- 74' ガビ(スペイン)
- 90' カルロス・ソレール(スペイン)
- 90+2' アルバロ・モラタ(スペイン)
第2節
日本 0-1 コスタリカ
- 78'ケイセル・フレール(コスタリカ)
スペイン 1-1 ドイツ
- 62' アルバロ・モラタ
- 83' ニクラス・フュルクルク
第3節
日本 2-1 スペイン
- 11' アルバロ・モラタ
- 48' 堂安 律
- 51' 田中 碧
コスタリカ 2-4 ドイツ
- 10' セルジュ・ニャブリ
- 58' イェルツィン・テヘダ
- 70' オウンゴール
- 73' カイ・ハフェルツ
- 85' カイ・ハフェルツ
- 89' ニクラス・フュルクルク
■決勝トーナメント1回戦
- 日本時間12月6日0:00 日本 vs.クロアチア
- 日本時間12月7日0:00 モロッコ vs.スペイン