【フィギュアスケート】羽生結弦、今後も4回転半に挑戦「皆さんの前で成功させることを強く考えながら」

フィギュアスケート男子シングルの羽生結弦(ANA)は7月19日、都内ホテルで記者会見を行った。「決意表明の場」として行われた記者会見では、「プロのアスリートとしてスケートを続けていくことを決意しました」と発表。今後は競技会には出場せず、アイスショーなどさまざまな活動をしていくとした。

1 執筆者 オリンピックチャンネル編集部
Yuzuru Hanyu
(2022 Getty Images)

フィギュアスケート男子シングルの羽生結弦(ANA)は7月19日に記者会見を行い、プロスケーターとして活動していくと発表した。オリンピックを2度制し、4回転アクセルに挑み続けた王者が決断の背景や今後の展望を語った。

プロのアスリートとして

会見の冒頭でファンや関係者など、多くの人々への感謝を述べた羽生。続いて「だまだ未熟な自分ですが、プロのアスリートとしてスケートを続けていくことを決意しました」と新たな挑戦を明かした。こだわってきた4回転アクセルへの思いを含め、胸の内を語っている。

競技者としてほかのスケーターと比べられることはなくなりました。ただ、これからは自分のことを認めつつ、自分の弱さ、過去の自分と戦いながらこれからも滑っていきたい。4回転半ジャンプにもより一層取り組んで、皆さんの前で成功させることを強く考えながら、これからも頑張っていきます。
戦い続ける姿をこれからも応援してくれたらうれしいです。1人の人間として、自分の心を大切にしたり、守っていくという選択もしていきたいと思います。

競技会には出ない

今後、競技会に出場することはないのかという質問には、「出るつもりはないです」ときっぱり。その理由として「結果というものに対しては、取るべきものは取れたなと思っています。そこに対する評価を求めなくなっているのかなという気持ちもあります」と王者ならではの心境も決断の一因であると明かした。

決断は北京2022のあと

平昌2018でオリンピック2連覇を達成してから、プロへの転向は何度も考えていたという。それでも「4回転半や、四大陸選手権など金メダルを取れていない試合がいくつかあった」ことが競技としてフィギュアスケート続ける原動力になっていた。「努力している方向が間違っているんじゃないかとか、頑張れていないんじゃないか」という葛藤もありながら。決断は4回転アクセルが公式記録に刻まれた北京2022のあと、痛みでスケートができない期間だったという。

4回転半にこだわり続けた結果、北京まで続けたのですが、今は「競技会で降りなくてもいいじゃん」と思っています。理想とするフィギュアスケートを追い求めるのは、競技会に出なくてもできるなと。むしろ競技会のところじゃないほうが、皆さんに見てもらえるんじゃないかと思ってこの決断をしました。

「引退という言葉があまり好きではなくて、使いたくない」という羽生。フィギュアスケートを野球と比べ、自身の感覚を高校球児に例えて説明している。

フィギュアスケートって現役でいられるのがアマチュアしかなくて、僕は不思議に思っているんですけど。例えば野球を頑張って甲子園で優勝した人が、プロに進むことを引退と言うのかというと、そんなことないじゃないですか。僕はそれと同じだと思っていて、どうやって自分を見せていけるか、頑張っていけるかが大事だと思っています。新たなスタートを切ったと思っています。

今後の展望は

羽生は今後も4回転半への挑戦を続けると宣言したが、それ以外の構想もあるようだ。「今の時代にあったスケートの見せ方だったり、今まで見たことのない人々が『これだったら見たいかも』というようなショーだったり」。実現できるかはわからないと前置きをしつつも、「ぜひ期待してほしい」と笑顔で語った。

自分の考えていることなどをちょっとだけ話し合った、くらいの段階でしかありませんが、具体的に進めようとしていることはあります。頭の中にある構想を伝えただけで、それが実現できるかもわかりません。
なので具体的に言うのは憚られますが、今の時代にあったスケートの見せ方だったり、スケートファンの方々や、今まで見たことのない人々が「これだったら見たいかも」というようなショーだったり。応援してくださる方々が納得できるような場所だったり演技だったり。ざっくりとしか言えないですけど、そういったものを続けていきたいと思っています。ぜひ期待してほしいと思っています。
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