**ドノバン・カリージョ**は、彼の北京2022での活躍は、ほんの始まりに過ぎないと語る。
中華人民共和国からメキシコシティに帰ってきた22歳のフィギュアスケーター、カリージョは、すでに次の冬季オリンピック、ミラノ・コルティナ2026に照準を合わせている。
「北京では重要なことを達成しました」と、彼は空港の到着口で記者団に語った。「ミラノ(ミラノ・コルティナ2026)までの4年間の準備で、さらに大きなことを達成できると確信しています」
北京2022で世界を沸かせたフィギュアスケーターがメキシコに戻ってきたとき、英雄として歓迎された。そんな彼の新しい旅路は、まだ始まったばかりだ。
空港で彼を待っていたファンたちは、「おかえりなさい、ドノバン。あなたをとても誇りに思うわ」「メキシコに誇りを与えてくれてありがとう」と書いた写真やプラカードなどを作って出迎えた。
「夢のようです」とカリージョは語った。
「何かに全力を尽くし、目標に向かってひたむきに努力すれば、必ず到達できるということを証明しました」
2月24日、カリージョはインスタグラムで約50万人のフォロワーに次のように投稿している。
「8歳のドノバンに何か言えるとしたら、「簡単なことではないけれど、絶対にやる価値があるよ」と言いたいです」
「冬季オリンピックに参加した後、皆さんが見せてくれた愛とサポートには、今でも驚かされています。オリンピックに出場したことで、とても幸せな思い出ができました。これまで私をサポートしてくれたすべての人たちに感謝の気持ちでいっぱいです」
カリージョは、その素晴らしいスケーティングでショートプログラムを19位で終え、メキシコ人選手として初めてフリースケーティング(FS)に進出したことで、北京2022で一気に話題の人となった。
金メダリストの**ネイサン・チェンや日本のスーパースター羽生結弦**など、史上最高のスケーターがひしめく中で、カリージョはFSを終えて最終順位22位で男子シングルを終えた。
カリージョは、地元のショッピングセンターにある公共のアイスリンクで40〜50人の人たちがスケートをする中でトレーニングをしているというのだから、彼が達成した偉業がどれほどすごいことかがわかる。
北京大会では、メキシコ生まれの伝説的ミュージシャン、サンタナの「Black Magic Woman」と「Shake It」の音楽にのせて、4回転トウループ、3回転アクセル、3回転ルッツー3回転トウループのコンビネーションに成功し、見事なショートプログラムで彼のレベルを引き上げた。
大会期間中、カリージョのスケーティング動画はネット上で数百万回再生され、ショートプログラムの得点(写真下)に対するファンたちの反応は、彼の北京2022での偉業をより一層特別なものにした。
22歳のカリージョは、自国のフィギュアスケート選手として30年ぶりに冬季オリンピック出場を果たし、北京でFSに進出した史上初の選手として、すでに話題を呼んでいた。
メキシコはこれまで4人しかフィギュアスケートでオリンピックに代表を輩出したことがなく、直近ではフランスで行われたアルベールビル1992に、リカルド・オラバリエタとメイダ・ナバーロが出場し、FSに進出できなかった。
ミラノ・コルティナ2026に向けて、壁と固定観念を打ち破る
メキシコに旋風を巻き起こしたカリージョの地元の凱旋ツアーは続いた。CNNのスペイン語チャンネルは、カリージョが学校を訪れサインをする姿をとらえ、別のイベントでは、彼を一目見るために長い行列を作る人々を撮影した。
「人生のすべてがそうであるように、感情が高ぶることも落ち込むこともあったけれど、14年間の努力の末に夢を実現したという満足感を北京で得ることができました」とCNNに語った。
「そして、これを実現可能にしてくれたコーチと、いつも私を信じてくれている家族にも感謝しなければなりません」
「若い子供たちに夢を与えることができるのは光栄なことです」
「僕も昔は彼らと同じようにそこにいたんです。壁を打ち破り、固定観念を打ち破ることに成功した他のメキシコ人選手に憧れて心を動かされたひとりでした。今自分がその選手側の立場にいることは、名誉なことです」と語った。
フィギュアスケートは "ありえない夢"
「フィギュアスケートのキャリアをスタートさせた当初は、多くの人に「そんなのただの夢物語だよ」と言われました」とカリージョは北京で語った。
「みんな(その夢を)いつも笑って、メキシコ人が出場権を得るのは不可能だと言っていました」
彼の母親は、彼が氷上で練習するための時間を確保できないこともあったと言う。
「私たちにとって一番難しかったことは、経済面です」と、カリージョの母、ダイアナは説明した。
「私たちはドノバンに1か月スケートを辞めてもらう選択肢を考えなければなりませんでした。ゴヨ(カリージョのコーチ、グレゴリオ・ヌニェスのニックネーム)に言ったように、私たちにはアイススケートのレッスンを受けさせる余裕がなかったからです」
「それはとても難しいことでした。ウソではありません」と、ドノバンは続ける。
「後悔したり、自分にないものを考えたりするのではなく、今あるものでできることをしようといつも思っています。それが僕をここまで導いてきてくれました。自分が持っているものに焦点を当てて、それを最大限に活かし、夢を実現しようとするんです」
ドノバン・カリージョのインスピレーション
カリージョは、さまざまなアスリートたちから刺激を受けながら、ここまで彼の道を築いてきた。
「フィギュアスケートの前は、体操と飛び込みをやっていて、子供のころは、イバン・ガルシア、ヘルマン・サンチェス、ジャール・オカンポといったオリンピック選手に会う機会があり、一緒に練習しました」と、Olympics.comに語った。
「彼らはいつも僕にとても親切で、たくさんのことを教えてくれました」
カリージョは、メキシコのロンメル・パチェコと一緒に飛び込みに挑戦したいとOlympics.comに語っている。「ロンメルと一緒に飛び込みを始められたらすごいですよね。彼はフィギュアスケートでも活躍すると思います」
カリージョにはミラノ・コルティナ2026に向けて、すべての道が開かれている。