千葉百音、経験が成長に「前の人がどんな神演技をしようともしっかり踏ん張ってやる」フィギュアスケート

女子シングル6人のうちアメリカ合衆国のアンバー・グレンを除く5人が日本選手となった2024/2025のグランプリファイナル。初出場で日本勢トップの2位となった19歳の千葉百音は、喜びと同時に悔しさも表し、「もっともっと上を目指していかなきゃいけない」と語った。

1 執筆者 Chiaki Nishimura
Chiba Mone
(2024 ISU)

経験から学び、次へとつなげていく。確実に。同じ仙台出身の羽生結弦さんに憧れてフィギュアスケートに励んできた19歳の千葉百音(もね)は、成長の階段を一歩ずつ着実にのぼっている。

今シーズンのグランプリ(GP)シリーズNHK杯で2位、中国杯で2位に立ち、その結果によって出場資格を得た初出場のGPファイナルで、千葉は世界選手権3連覇の坂本花織を抑えて2位に上り詰めた。

12月7日に行われた女子シングル・フリースケーティング(FS)の演技後、取材陣の質問に応え、「試合の規模が大きくなっても、こうして上の順位につけることができるようになってきたというのは、去年に比べると、踏ん張るべきところで踏ん張れるようになってきた証かなと思う」と、自身の成長を素直に認めた。その一方で、こう付け加えた。

「まだまだだなって感じるところも多々あるので頑張っていくだけです」

千葉百音「どんどん場数を踏んでいきたい」

12月7日現地時間13:30に始まった女子シングルのフリースケーティング(FS)。5日に行われたショートプログラム(SP)で2位につけていた千葉は、6人中最後から2番目の5番滑走でリンクに登場した。

濱田美栄コーチに送り出された千葉は、トリプルフリップ、トリプルトゥループのコンビネーションジャンプでプログラムをスタートした。曲は「Ariana Concerto No.1」。序盤のトリプルループが回転不足となるなど、不安がよぎる場面があったものの、千葉は優しく壮大な曲に合ったしなやかで伸びのあるスケーティング、細部にまでこだわった演技そしてスピン、ステップでフランス・グルノーブルの観客を自身の世界観に引き込み、次々とジャンプを成功させていった。そして大きなミスなく滑り切ると、右手を高くあげて天を仰ぎ演技を終えた。その表情からは感情を読み取ることはできなかったが、キスアンドクライで落ち着き、映し出されたフリーの得点139.52を見た千葉は満足そうに何度も頷き笑顔を見せた。

「フリーのジャンプはちょっとミスが出たものの139点出たっていうのは、自信を持っていいのかなと思います」と千葉は言う。

今回のGPファイナルは、出場資格を得た6人のうちアンバー・グレン(アメリカ合衆国)以外の5人は日本選手という顔ぶれ。国内戦さながらの様相を呈しているといえ、GPファイナルはシーズンの中でも大きな大会のひとつで、千葉にとっては初出場の舞台。5番目という滑走順は、待ち時間が長くなる分、緊張感も高まる可能性が十分にある。

「(直前に演技した吉田)陽菜ちゃんの演技のトリプルアクセルのところで歓声を聞いたら緊張するかなって思ったんですけど、ちょっと慣れてきたというか」と千葉は明るく語る。

その慣れの理由のひとつとして、千葉はGPシリーズ最終戦の中国杯の経験を挙げる。中国杯のFSで千葉はグレンがパーソナルベストとなる144.7点を出した直後にリンクに立ち、演技を行った。

「中国杯でアンバー(・グレン)の演技の後に(自分の演技を)やったのがきいたというか。前の人がどんな神演技をしようともしっかり踏ん張ってやるというのが一番大事だというのを、今シーズン少しずつ感じ始めてます」

こうして掴んだGPファイナル初出場で日本勢トップの2位。だが、千葉が目指すところは「もっともっと上」のところにある。

「全日本選手権とか四大陸選手権とか大きい大会に出てきてはいたんですけど、国際大会の決勝は独特の雰囲気だなというのは感じていて、それを世界選手権で一度経験できたからこそ、今回2位という結果を出せたのかなと思いますし、さらにもっともっと上を目指していかなきゃいけないので、これからもどんどん場数を踏んでいきたいです」。

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