女子サッカー世界最高峰の舞台、国際サッカー連盟(FIFA)女子ワールドカップ2023が7月20日(木)にキックオフする。
日本女子代表チーム「なでしこジャパン」の属するグループ Cには、世界ランキング6位(6月9日付)のスペイン、同36位のコスタリカ、同77位のザンビアが含まれ、各代表チームがそれぞれ相まみえることになる。
1991年に始まった女子ワールドカップ全9大会に連続出場となる日本女子代表チームは、2011年ドイツ大会で優勝を飾り、2015年カナダ大会では準優勝しているが、前回2019年フランス大会ではベスト16に終わり、現在(6月9日付)世界ランキング11位にいる。
日本女子代表チームでは、4度目のワールドカップとなるベテランディフェンダー(DF)、キャプテンの熊谷紗希(さき)が、ワールドカップでの優勝を経験している唯一の選手として、新世代なでしこジャパンを引っ張る。ピッチ上の司令塔として活躍が期待されるミッドフィールダー(MF)、長谷川唯(ゆい)は、チームの舵取りとなり自身2度目のワールドカップとなる今大会での優勝を目指す。背番号「10」を背負い、初めてのワールドカップに挑戦するMF長野風花の活躍にも期待がかかる。今大会に出場するなでしこジャパンは、その半数が海外で活躍する選手から召集されており、強豪の多い国々での経験が生かされるのは間違いないだろう。
「(ワールドカップに)参加する以上は頂点を目指す。1試合1試合しっかり戦い、前回大会を超えるのが目標」と、自身初めてのワールドカップとなる日本女子代表チーム監督の池田太は語っている。
ワールドカップに向けて、日本代表は準備を重ねてきた。日本を含め、アメリカ合衆国、カナダ、ブラジルの4か国の対抗戦として開催された今年2月のシービリーブスカップ2023では、米国とブラジルに敗戦しながらも、東京2020チャンピオンのカナダに快勝して2位となった。その後も、4月にポルトガルやデンマークとの国際親善試合を行い、ワールドカップ直前の7月14日(金)には、宮城県・仙台市で行われたパナマ代表との国際親善試合に臨み、実戦での最終調整を行った。
ワールドカップ2023では、初対戦となるザンビア(7月22日)、6年ぶりの対戦(この時は日本が勝利)となるコスタリカ(7月26日)、昨年11月の国際親善試合で敗戦を喫したスペイン(7月31日)とはどのような戦いになるのだろうか。
グループステージを1位で通過して決勝トーナメント進出を目指す日本。ではここで、各対戦国チームを見ていきたい。
女子ワールドカップ2023グループCの各国代表チーム
スペイン
・世界ランキング6位(6月9日付)
3大会連続3回目の出場となるスペイン代表チーム。前回フランス大会では日本代表と同じくベスト16だったが、世界ランキングは現在6位(6月9日付)。同11位のなでしこジャパンにとっては、同グループ最大のライバルと言えるだろう。
スペイン代表チームは、2022年の欧州サッカー連盟(UEFA)欧州女子選手権でベスト8入りして以来、快進撃を続けている。昨年10月には、前回大会の覇者アメリカ合衆国との国際親善試合を2-0で快勝した。続く11月のなでしこジャパンとの1戦でも1-0で勝利している。今年に入ってからは、2月のカップオブネーションズでオーストラリア代表に敗れてはいるものの、6月にパナマ代表に勝ち、7月には日本が4月に敗れたデンマークに快勝している。
しかしながら、2022年9月、スペイン代表チームの15名の選手が、「重大な心の健康問題」を理由に代表入りを辞退すると表明した。選手、連盟、指導者間でいまだ続く問題が、どのようにワールドカップに影響するか不透明なところが多い。
一方で、代表として最多出場記録を持ち、2年連続バロンドール(女子年間最優秀選手賞)を獲得している同国のスーパースター、MFのアレクシア・プテラスが膝の手術による長期離脱を経て今回代表チーム入りをしている。2022年欧州女子選手権はけがのため出場できなかったが、2022-2023シーズンの女子チャンピオンズリーグでは、ヴォルフスブルク(ドイツ)を破り所属チームのバルセロナを優勝に導いている。
また、スペイン代表の最多得点記録を持つベテランMF、ジェニファー・エルモソは3大会連続の出場となる。22歳の若手フォワード(FW)、アテネア・デル・カスティージョらも得点力の高い選手として注目されている。
スペイン代表チームは、7月21日にコスタリカ代表チームとの初戦を迎える。なでしこジャパンとは、グループステージ最終日7月31日に対戦することになる。
コスタリカ
・世界ランキング36位(6月9日付)
2大会ぶり2回目の出場となるコスタリカ代表チーム。初出場だった2015年カナダ大会では、スペイン代表、大韓民国代表と引き分けたもののブラジル代表に負けてグループリーグで敗退している。日本代表とは、2017年4月に行われた強化試合(熊本県)が過去唯一の対戦で、この時日本代表が3-0で勝利している。両チームは、今大会7月26日に6年ぶりの試合を迎える。
コスタリカ代表は、昨年のワールドカップ予選を兼ねた北中米カリブ海サッカー連盟(CONCACAF)女子チャンピオンシップで、アメリカ合衆国、カナダ、ジャマイカに次いで4位に入っており自信を高めているようだ。今大会で念願の決勝トーナメント初進出を狙う。
コスタリカ代表チームの注目の選手は、ポートランド・ソーンズ(アメリカ合衆国オレゴン州ポートランド)で活躍するMFのラケル・ロドリゲス。2015年カナダ大会にも出場し、スペイン戦ではゴールを決めている。代表歴は100キャップを超えており、コスタリカ代表最多得点記録55ゴールを誇るストライカーだ。
ザンビア
・世界ランキング77位(6月9日付)
ザンビア代表チームは、グループCで唯一ワールドカップ初出場チームとなる。東京2020ではオリンピック初出場を果たしている。日本代表の今大会初戦でもある7月22日の1戦は、両チームにとって初の顔合わせとなる。
出場チーム中で世界ランキングが最も低いザンビア代表だが、2022年アフリカネイションズカップ(AFCON)では、今大会の出場国でもあるナイジェリア代表を破って3位に入っており、近年、実力を高めている。
ザンビア代表チームの注目の選手は、23歳のキャプテン、FWのバーバラ・バンダだ。東京2020ではグループステージで敗退したものの、大会史上初の2試合でハットトリック(3得点)を成し遂げた驚異的な得点力を持つストライカーである。絶対的なスピードと攻撃力を誇り、ワールドカップ開幕直前の7月7日の世界ランキング2位の強豪国ドイツとの親善試合では、2ゴールを決めてチームを勝利に導いた。
バンダは、優勝を果たした南部アフリカサッカー協会評議会(COSAFA)女子チャンピオンシップの5試合で10ゴールを決めており、最多得点と最優秀選手となった。現在、中華人民共和国の女子スーパーリーグ、上海シャングリでプレーするバンダは、デビューした2020年に13試合で18得点を挙げ、同国女子スーパーリーグの最多得点王になっている。
また、2018年~2019年にプレーをしたスペインの1部チーム、EDFログローニョでは、28試合で16ゴールを決めている。この経験は、7月26日のスペイン戦で活かされるに違いない。
なでしこジャパンとして、ランキングが下位とは言え決して侮れないチームであることは間違いないだろう。ましてや緊張感の大きい初戦の相手ともなると、少しの油断が思わぬ結果につながる可能性もあるため気が抜けない。
女子ワールドカップ2023グループC:日程
*時間は現地ニュージーランド時間(日本は-1時間)
7月21日(金)17時30分~
スペイン vs コスタリカ:ウェリントン・リージョナル・スタジアム
7月22日(土)17時00分~
ザンビア vs 日本:ワイカト・スタジアム
7月26日(水)15時00分~
日本 vs コスタリカ:ダニーデン・スタジアム
7月26日(水)17時30分~
スペイン vs ザンビア:イーデン・パーク
7月31日(月)17時00分~
コスタリカ vs ザンビア:ワイカト・スタジアム
7月31日(月)17時00分~
日本 vs スペイン:ウェリントン・リージョナル・スタジアム
女子ワールドカップ2023日本女子代表戦放送予定
*時間は日本時間
地上波:NHK
7月22日(土)16時00分~ザンビア vs 日本
7月26日(水)14時00分~日本 vs コスタリカ
7月31日(月)16時00分~日本 vs スペイン