バドミントン・奈良岡功大、世界ランク10位、有望選手賞…飛躍の2022年

2022年12月4日付の日本ランキングの男子シングルスで自身初の1位に上り詰めた奈良岡功大。今季数々の好成績を残し、日本男子のエースへと成長しつつある21歳の奈良岡が次に目指すのは全日本総合バドミントン選手権での初優勝。日本一を決めるこの戦いの開幕を前に、Olympics.comでは奈良岡のこれまでの歩みを辿った。

1 執筆者 Chiaki Nishimura
Naraoka Kodai
(2022 Getty Images)

日本バドミントン界の1年を締めくくる大会が、12月25日〜30日の日程で東京を舞台に開催される。中でも最も注目される選手のひとりが、男子シングルスで日本ランキング1位、世界ランキングで10位に浮上した奈良岡功大だ。

今シーズン、目覚ましい勢いで進化を遂げた奈良岡は、12月のワールドツアーファイナルズの準決勝でオリンピック・世界王者のビクトル・アクセルセン(デンマーク)と82分におよぶ大接戦を展開。

セットカウント1-2で敗北を喫したものの、28歳のアクセルセンを苦しめたことは間違いない。ツアー王者のアクセルセンは、「この試合は、今年一番と言えるほどタフな試合だった」と戦いを振り返り、「功大をとても尊敬している。彼の未来は明るく、将来有望だ」と奈良岡を称えた。

ユースオリンピック銅メダル

青森県出身の奈良岡功大は2001年6月生まれの現在21歳。

バドミントン指導者の父親のもと、5歳でバドミントンの世界に飛び込んだ。小学校4年生から中学校3年生までの6年間は、敵を寄せ付けない強さで全国大会優勝。13歳で初出場を果たした全日本総合選手権予選の初戦では6歳年上の保木卓朗を相手に1勝し、史上最年少(15歳5ヶ月)勝利記録を更新した。高校1年のときの同大会では本戦に出場して1勝をあげ、ここでも16歳4ヶ月で最年少記録となった。

奈良岡はジュニアの国際舞台でも輝きを見せ、2018年にブエノスアイレスで行われたユースオリンピックでは男子シングルスで銅メダル、同年の世界ジュニア選手権では銀メダルを獲得し、実力を積み重ねていった。

日本A代表入りからの急上昇

高校卒業後は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響で思うように活動できない日々が続いたが、今季に入り、奈良岡は大きく飛躍する。

5月末に行われた日本ランキングサーキットで初優勝を飾った奈良岡は、6月に日本A代表入り。9月末から10月にかけて行われたのベトナムオープン(スーパー100)で優勝したほか、今季のワールドツアーでは準優勝3回、準決勝進出4回と成績を残し、ランキングを一気に駆け上がっていった。

11月末の時点でワールドツアーランキングで5位となっていた奈良岡は、上位8選手で行われるワールドツアーファイナルズへの出場権を獲得。グループリーグを2位で通過し、準決勝でアクセルセンとの接戦を繰り広げたのである。

奈良岡の今季の活躍は、世界バドミントン連盟(BWF)も認めるところとなり、今後の活躍が最も期待される選手におくられる「有望選手賞(Most Promising Player)」を獲得。

2022年1月の世界ランキングでは47位だった奈良岡だが、12月18日付のランキングでは10位に浮上。これを見るだけでも、今季の成長ぶりを知ることができるだろう。世界ランク10位は桃田賢斗(13位)を抜いて日本勢トップに上り詰める形となった。

充実の2022年を経て、奈良岡は日本一の座をかけた戦いとなる全日本総合バドミントン選手権に挑む。2022年12月4日付の日本ランキングで1位に輝いた奈良岡だが、全日本総合選手権では昨年の準優勝が最高で、まだその頂点に届いていない。

パリ2024オリンピックに向けて重要な1年となる2023年を前に、奈良岡はどのような形で飛躍の1年を締めくくるのだろうか。

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