バドミントン・山口茜、観客の声援を味方に

2021年12月にスペインで行われた前回の世界バドミントン選手権で表彰台の頂点に立った女子シングルスの山口茜が、まもなく東京で始まる世界選手権で2連覇に挑む。

1 執筆者 Chiaki Nishimura
akane yamaguchi
(2021 Getty Images)

「2連覇に挑戦できるのは自分だけ。そこに挑戦していきたい」

バドミントン女子シングルス世界ランキング1位の**山口茜**が、世界選手権に向けたオンライン記者会見(8月6日)で語った大会の抱負は「2連覇への挑戦」。

東京都渋谷区の東京体育館では、8月22日から7日間の日程で世界バドミントン選手権2022が予定されており、世界各地のトップ選手らが白熱した戦いを繰り広げる。この大会で、日本女子のエース山口茜は前回大会の王者としてコートに立つ。

昨年12月の世界選手権で優勝して世界ランキングを3位から2位にあげ、さらに今年5月には1位に上り詰めた25歳の山口茜と、山口が対峙する世界のトップ選手らを紹介しよう。

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励みになる観客の存在

応援の力は、ときに観客自らが意識する以上の力を選手に与えることがある。山口はその力を実感している選手のひとりだ。

「試合の中で苦しい展開のときに、その場で声をかけてもらえるとすごくスイッチが入り、やる気が出ます」

コロナ禍により無観客での試合が続いた2021年。久々に有観客での試合となった10月のデンマークオープンとフレンチオープンで、山口は2大会(2週間)連続で表彰台の頂点に立った。山口は昨年12月にOlympics.comのインタビューに応え、そのときの思いをこう語っている。

「久しぶりに有観客での試合だったので、それが自分にとって楽しめる要因であったりとか、頑張れる要因になった。それがすごく大きかったなって思います」

観客からの声援を自分の力に変えていることは、ほかの質問への答えからもよくわかる。「バドミントンをやっていて一番好きな瞬間」への質問に、山口は「自分が思ったところにどんなショットでも打てているときが嬉しい」とした後、「勝った瞬間に一番近くにいるコーチだったりとか、お客さんが喜んでいるところを見るのが嬉しい」と続けた。

応援してくれる人から多くの力を得る山口は、自分自身の課題もしっかりと分析する。

「好調のときとあまり良くないときの波が激しいと思うので、そこをできるだけ小さくして、コンスタントに上位に入っていけるような選手になりたい」

1年前の東京オリンピックでは準決勝進出を逃し、リオ2016に続いて準々決勝敗退。だが、その経験や気持ちを引きずっていても仕方がない。「調子が悪いときは考えすぎているときが多いと思うので、できるだけ初心を思い出して、ただ楽しくバドミントンをやるっていうイメージを強く持って取り組むようにしてます」と語る。

まもなく始まる世界バドミントン選手権では、楽しんでプレーすることが勝利の鍵としての重要な要素になりそうだ。

世界バドミントン選手権2022、女子シングルスの有力選手

山口は現在、世界ランキングのトップに位置する。山口が東京オリンピックの準々決勝で敗れた**シンドゥ・プサルラ**(PV・シンドゥ/インド)は今回の大会を欠場するが、女子シングルスのライバルは少なくない。

山口は今年3月の全英オープン以降、国際舞台で表彰台の頂点に届いておらず、4月のアジア選手権では中華人民共和国出身で22歳のワン・ジーイー(王祉怡)に決勝で敗れ2位。5月のタイオープン、6月のインドネシアオープンでは準々決勝で敗退した。

インドネシアオープンで敗れた相手は、4月のアジア選手権と同じワンで、今回の大会で順当に行けば準決勝で対戦することになる。だがワンは、その前に第3シードの**アン・セヨン**(大韓民国)との戦いに挑むことになるだろう。

直近の大会での山口の成績を見てみると、7月に行われた2大会(マレーシアオープン、マレーシアマスターズ)では、グレゴリア・マリスカ・トゥンジュン(インドネシア)に敗れており、今回の大会では初戦の相手となることが予想される。第1シードとはいえ、初戦から油断のできない試合展開となりそうだ。

このほか、第2シードで東京2020銀メダリストの**タイ・ツーイン(戴資穎/Chinese Taipei)や、第4シードで東京2020金メダリストのチェン・ユーフェイ**(陳雨菲/中華人民共和国)らが反対側のトーナメントで決勝進出を目指す。

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世界バドミントン選手権の女子シングルス、過去2大会の結果

2021年世界選手権(スペイン・ウエルバ)女子シングルスの結果

  • 優勝:山口茜
  • 2位:タイ・ツーイン(戴資穎/Chinese Taipei)
  • 3位:ホー・ビンジャオ(何冰娇/中華人民共和国)
  • 3位:ジャン・イーマン(張芸曼/中華人民共和国)

2019年世界選手権(スイス・バーゼル)女子シングルスの結果

  • 優勝:PV・シンドゥ
  • 2位:奥原希望
  • 3位:ラチャノック・インタノン(タイ)
  • 3位:チェン・ユーフェイ(陳雨菲/中華人民共和国)
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