ウィンブルドン選手権2023の見どころ、ジョコビッチが歴史的24勝目を目指して挑む

男子シングルスのノバク・ジョコビッチは、セリーナ・ウィリアムズを上回り、現代テニス界でグランドスラム最多優勝記録を更新する可能性がある。世界No.1のカルロス・アルカラスがその道を阻むことになるのか?

1 執筆者 Nick McCarvel
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(Getty Images)

36歳になったセルビア出身のノバク・ジョコビッチは、7月3日(月)からオールイングランド・ローンテニス・アンド・クローケー・クラブで本戦が始まるウィンブルドン選手権で、テニスの歴史を塗り替えるチャンスを手にしている。

ジョコビッチは6月初旬、全仏オープンが行われたローラン・ギャロスでグランドスラム(四大大会)を制し、優勝数を23回とし、1968年から現在に続くオープンエラ(Open Era)以降、セリーナ・ウィリアムズに並ぶ記録に到達した。彼がこの数を24とすれば、現代テニス界で最多、1968年以前を含めると最多タイとなる。

最大の挑戦者は、先日行われたクイーンズ・クラブ選手権で初めて芝で優勝し、世界ランキング1位に返り咲いたスペインのカルロス・アルカラスだろう。

その他、ダニール・メドベージェフキャスパー・ルード、2022年準優勝のニック・キリオスなどのトップシード選手をはじめ、多くの選手がジョコビッチの前に立ちはだかる。

女子では、世界No.1のイガ・シフィオンテクが全仏オープンで2020年以来4度目、全仏では3度目の優勝を果たしたばかり。しかし、ウィンブルドンでは準々決勝から先に進んだことはない。

昨年大会の覇者であるエレナ・リバキナが昨年同様のパフォーマンスで観客を驚かせる可能性も考えられるし、全豪オープンで優勝したアリナ・サバレンカが好成績を残してWTA(女子テニス協会)の「ビッグ3」として名を挙げる可能性もある。

ラファエル・ナダルが2024年まで欠場する一方で、元王者でオリンピック金メダリストのアンディ・マリービーナス・ウィリアムズがシングルスのコートに立つ。

今年はどんなドラマが待ち構えているのか。7月3日〜16日に予定されているウィンブルドン選手権2023本戦の見どころを紹介しよう。

ウィンブルドン選手権2023、シングルスの見どころ

男子シングルス:ジョコビッチ vs 世界

アルカラスはウィンブルドン選手権の前哨戦に位置づけられるクイーンズ・クラブ選手権で優勝し、世界ランキング1位に返り咲いたが、ジョコビッチの強さは明らかだ。彼は2017年から28連勝しており、ウィンブルドンでの通算成績は86勝10敗で、ATP(男子プロテニス協会)のトップ20の中で圧倒的な勝利数を誇る。

2021年のウィンブルドンでも優勝しており、3年ぶり2度目のグランドスラム(1年で四大大会をすべて制覇すること)への道半ばにある。ローラン・ギャロスでの勝利の後、彼はナダルや引退したロジャー・フェデラーとの歴史的な比較を受け流しながら、「僕は自分の歴史を書いているんだ」と語った。

ヤニック・シナーは昨年大会でジョコビッチを5セットまで追い詰めたが、ここ数ヶ月の様子を見る限り絶好調とはいえない。また、過去の準優勝選手であるキリオス(2022年)やマッテオ・ベレッティーニ(2021年)も怪我が続いている。

アルカラスは大会が進むにつれて自信をつけていくだろうし、ステファノス・チチパスやホルガ・ルーネ、先日のハレ・オープンで優勝した予測不可能なアレクサンダー・ブブリクも目が離せない存在だ。

女子:シフィオンテク、サバレンカ、リバキナに注目

世界No.1のシフィオンテクがついにこの大会で芝を征するのだろうか。1年前、彼女は全仏オープンの覇者として、また、女子では過去25年間で最長となる35連勝の状態でウィンブルドンを迎えたが、3回戦で敗退した(連勝記録は37でストップ)。今年は大会へのアプローチを変更し、全仏オープンとウィンブルドンの間で芝コートの小規模大会に出場した。

シフィオンテクの前に立ちはだかることになるのが、強打が武器のリバキナやサバレンカだろう。リバキナは昨年の決勝で観客の人気を集めたオンス・ジャバーを破って優勝した。

アメリカ合衆国のジェシカ・ペグラやココ・ガウフはトップ8シードで、ウィンブルドンで2度優勝しているペトラ・クビトバは先日、ツアー31度目(芝では6度)の優勝を果たした。エレナ・オスタペンコと全仏オープン準優勝のカカロリーナ・ムチョバも有力選手にあげられる。

日本からは西岡良仁ら登場

日本からは男子シングルスに世界ランキング27位の西岡良仁が登場するほか、予選を勝ち抜いた島袋将、望月慎太郎、ラッキールーザー(他の選手の欠場により出場可能となった選手)のダニエル太郎、綿貫陽介が本戦に出場する。

西岡は初戦で同84位のダニエル・ガラン(コロンビア)と、綿貫は同83位のマルク・アンドレア・ヒュースラー(スイス)、島袋は同24位のグリゴール・ディミトロフ(ブルガリア)、望月は同17位のトミー・ポール(アメリカ合衆国)、ダニエルは同35位のベン シェルトン(アメリカ合衆国)と対戦する。

女子シングルスでは、日比野菜緒がラッキールーザーとして本戦出場を決めた。初戦で対戦する同74位のアリーゼ・コルネ(フランス)は、昨年大会の3回戦でシフィオンテクを破る番狂わせで注目を浴びた選手だ。

男子ダブルスには、マクラクラン勉がスウェーデンのアンドレ・ゴランソンとペアを組んで出場する。

女子ダブルスには、全豪オープンで準優勝となった青山修子&柴原瑛菜組のほか、穂積絵莉がスペインのレベッカ・マサロバとペアを組んで出場する。

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