ロジャー・フェデラーは9月15日に自身のツイッターを更新し、9月23日〜25日の日程でロンドンで開催されるレーバーカップを最後に、競技テニスから引退することを発表した。
「来週ロンドンで開催されるレーバーカップが、私にとって最後のATP大会となります。もちろん、今後もテニスをするつもりですが、それはグランドスラムやツアーでのことではありません」
「ツアーが私に与えてくれたものをすべてを失うことを思うと、少し心が痛む決断です。しかし、同時に喜ばしいこともたくさんあります」などど、フェデラーは自身の言葉で引退の理由や感謝への気持ちを表した。
テニス界において最も偉大な選手のひとりとして広く知られているフェデラーは、2021年のウィンブルドンの準々決勝でホベルト・ホルカシュ(ポーランド)に敗れて以来、テニスの大会には出場していない。
これまでにグランドスラムを20回制しており、その数はラファエル・ナダル(スペイン)の22回、ノバク・ジョコビッチ(セルビア)の21回に続く。
また、2008年の北京オリンピックではダブルスで、ロンドン2012ではシングルスで金メダルを獲得した。
ロジャー・フェデラー、キャリア20余年の歩み
のちに「芝の王者」と呼ばれるようになるフェデラーは、22歳だった2003年のウィンブルドンで優勝して一躍注目の存在として知られるようになると、翌年には全豪、全英(ウインブルドン)、全米と3つのグランドスラムを制覇し、大きく飛躍した。
そして迎えた2005年。全仏オープンでフェデラーにとって最大の敵を迎える。ラファエル・ナダルである。以来、互いの得意とするコートでタイトルを争うという、伝説的なライバル関係が築かれていった。
6年にわたってふたりはグランドスラム決勝でたびたび対戦し、ATPツアーのランキング1位と2位を独占。中でも多くのファンの記憶に残っているのが、2008年のウィンブルドン決勝だろう。最初の2セットを落としていたナダルが見事に反撃し、6-4、6-4、6-7、6-7、7-9というフルセットの末にフェデラーを破って優勝。戦いは4時間48分に及んだ。
しかし、その直後の北京2008オリンピックの男子ダブルスで、フェデラーはスタン・ワウリンカとペアを組み、優勝を果たした。
フェデラーは2012年、ウィンブルドン決勝で英国のアンディ・マレーと対戦し、英国全土のファンが見守る中、戦いを制して優勝。その直後、マレーはロンドン2012オリンピックでリベンジを果たすことになる。
その1年後、フェデラーは一連の怪我に悩まされ始めるようになる。2016年には膝の負傷により、リオ2016を欠場した。
しかし翌年は「ロジャー・ルネッサンス」と呼ばれるような年を迎え、彼は初期のころの輝きとフォームを再び取り戻した。
体のことを考慮し、クレイコートのシーズンを避けて挑んだウィンブルドンでは、1セットも落とさずに自身8度目の優勝。この勝利、そしてナダルとの対戦で勝ち取った全豪オープンのタイトルは、テニスファンにとってさらなる可能性を感じさせるものだった。
そして2018年、フェデラーは全豪オープンで2連覇を達成。これが20回目にして、最後の四大大会制覇となる。フェデラーは史上初めて20回という偉業に到達。この数は、後にジョコビッチとナダルに追い抜かれることになる。
フェデラーは自身のキャリアの晩年でさえ、比較的容易にグランドスラムの2週目に到達していたことに彼の凄さを知ることができる。
2021年、最年長としてウィンブルドン準々決勝進出を果たしたフェデラーは、ポーランドのホルカシュとの一戦に敗れ、これがフェデラーにとって最後のグランドスラムとなった。
数字で見るロジャー・フェデラーのテニス人生
- グランドスラム優勝回数は20回
- 全豪オープン優勝6回(2004、2005、2007、2010、2017、2018)
- 全仏オープン優勝1回(2009)
- ウィンブルドン優勝8回(2003、2004、2005、2006、2007、2009、2012、2017)
- 全米オープン優勝5回(2004、2005、2006、2007、2008)
- グランドスラム決勝進出31回
- キャリアグランドスラム、2009年
- ATPタイトル勝利103回
- ATPマスター勝利6回(2003、2004、2006、2007、2010、2011)