2008年の北京五輪以来の開催となったTokyo 2020(東京五輪)の野球競技は、野球日本代表・侍ジャパンが見事金メダルに輝いた。5戦全勝での優勝を決めた侍ジャパンから、大会MVPに山田哲人が、ベストナインにも坂本勇人ら3人が選出された。ここでは東京五輪の野球競技を振り返る。
■日本代表・侍ジャパンの試合結果
オープニングラウンド(グループA)
7月28日(水)
ドミニカ共和国3-4日本
7月31日(土)
日本7-4メキシコ
ノックアウトステージ
8月2日(月)準々決勝
アメリカ合衆国6-7日本
8月4日(水)準決勝
韓国2-5日本
8月7日(土)決勝戦
アメリカ合衆国0-2日本
■侍ジャパン優勝への道のり
6月のメンバー発表から會澤翼、菅野智之、中川皓太と故障による辞退者が続出。さらに千賀滉大も故障のためシーズンでは登板わずか2試合と、不安要素も多かった侍ジャパン。しかし蓋を開けてみれば、5戦全勝での優勝となった。
ドミニカ共和国との開幕戦では、2点ビハインドで迎えた9回に坂本のサヨナラタイムリーで劇的勝利。続くメキシコ戦では山田、坂本の一発を含む10安打7得点で快勝、オープニングラウンド1位通過を決めた。
迎えたノックアウトステージ準々決勝では、アメリカ合衆国と対戦。中盤にリードされるも9回に追いつき、延長10回に甲斐拓也の一打でサヨナラ勝ち。準決勝の韓国戦では2-2の8回、山田が満塁の走者一掃のタイムリーを放ち、勝負を決めた。
アメリカ合衆国との再戦となった決勝戦では、先発の森下暢仁が5回3安打無失点、5奪三振の快投を披露。千賀、伊藤大海、岩崎優、栗林良吏が無失点に抑え、アメリカ合衆国打線を完封。村上宗隆の本塁打などで2点を奪い、見事優勝を果たした。
■野球競技の総括
オリンピックの野球競技で日本が金メダルを獲得するのは、公開競技だった1984年ロサンゼルス五輪以来で、正式競技としては初の快挙となった。銀メダルはアメリカ合衆国、銅メダルはドミニカ共和国が獲得。2008年北京五輪からの連覇を目指した韓国はメダルなしに終わった。
優勝した侍ジャパンは、大会を通して攻守で高いパフォーマンスを見せた。上位打線の山田、坂本、吉田正尚は打率3割超え。4番の鈴木誠也も終盤にかけて調子を上げ、浅村栄斗、柳田悠岐も存在感を発揮した。
投手陣では山本、森下が安定した投球を披露。岩崎、千賀、伊藤らが好リリーフを見せた。守護神の栗林は全5試合に登板、2勝3セーブと大車輪の活躍だった。
打率.350、1本塁打、7打点をマークした山田が大会MVP、先発で好投した山本、攻守で活躍した甲斐拓也、坂本勇人がベストナインを受賞。出場機会は少なかったものの、栗原陵矢、源田壮亮、大野雄大らもそれぞれの持ち場でチームに貢献した。
2000年のシドニー五輪以来の優勝を目指したアメリカ合衆国は、準々決勝、決勝で日本に敗れ銀メダル。日本プロ野球の横浜DeNAベイスターズでも活躍するオースティンが打率.417、2本塁打、7打点の活躍でベストナインにも輝いたが、あと一歩及ばなかった。
ドミニカ共和国は、野球競技では初のメダルを獲得。韓国との3位決定戦では、3本塁打を含む14安打10得点と打線が爆発した。連覇を狙った韓国は、投手陣が安定せず4位に終わった。打率.400、3本塁打、7打点のキム・ヒョンス、打率.440、5打点のパク・ヘミンがベストナインに選出された。
オリンピック初出場となったイスラエルは、ノックアウトステージ第1ラウンドでは格上のメキシコに12-5で勝利。全5試合で得点を挙げるなど、健闘を見せた。同じくオリンピック初出場のメキシコは、3戦全敗と結果を残せなかった。
新型コロナウイルスの影響で各国とも調整に苦労した東京五輪。稲葉篤紀監督率いる野球日本代表・侍ジャパンにとっても決して簡単な大会ではなかったが、長い年月をかけて作り上げたチームが、見事世界一という目標を達成した。
■大会MVP・ベストナイン
MVP
- 山田哲人(日本)
ベストナイン
- 右投手:山本由伸(日本)
- 左投手:アンソニー・ゴーズ(アメリカ合衆国)
- 捕手:甲斐拓也(日本)
- 一塁手:トリストン・カサス(アメリカ合衆国)
- 二塁手:エディー・アルバレス(アメリカ合衆国)
- 三塁手:エリック・メヒア(ドミニカ共和国)
- 遊撃手:坂本勇人(日本)
- 左翼手:キム・ヒョンス(韓国)
- 中堅手:パク・ヘミン(韓国)
- 右翼手:ミッチ・グラッサー(イスラエル)
- 指名打者:タイラー・オースティン(アメリカ合衆国)
最優秀守備選手
- ニック・アレン(アメリカ合衆国)