2018年の陸上日本選手権女子1500メートルで優勝を果たし、同年のアジア大会にも出場。元マラソン選手の父を持ち、身長148cmと小柄な体格ながら力強い走りを見せる高松には、東京五輪出場への期待も大きくなってきている。
ケニア人の父は元マラソン選手、姉は3000メートルの有力選手
高松智美ムセンビは2000年に大阪で生まれた。ケニア人の父マクセル・ムセンビさんは元マラソン選手で、長野マラソンで優勝したことのある実力者だ。姉の高松望ムセンビも長距離の選手で、2014年ユースオリンピックの3000メートルで優勝するほどの力を持つ。
小学校低学年時にはテニスクラブでテニスをプレーしていた高松だが、クラブ閉鎖に伴い、姉とともに陸上クラブ「万博アスリートクラブ」へ入ることに。全国大会に出場するほどの実力者だった姉の後を追い、大阪薫英女学院中に入学すると、1年次から全日本中学選手権に出場し、1500メートルでは4位に輝いた。その後、成長に伴い、中距離だけでなく長距離にも出場するようになっていった。
留学生選手との練習で刺激を受け、成長
駅伝を走りたいという思いから、高校はそのまま大阪薫英女学院高に進学。全国高校駅伝を3年連続で走り、2年次には優勝も成し遂げた。夏のトラックシーズンには主に1500メートルと3000メートルに取り組み、2年時には夏のインターハイで高校歴代3位となる8分58秒86を記録した。
中学時代には成長するライバル選手たちのなかでなかなか頭角をあらわせなかったが、高校に進学し、留学生の選手たちと走ることで世界を感じることができた。
2018年に名城大学へ進学すると、一躍日本トップレベルへ駆けあがる。5月には1500メートルで日本学生歴代7位となる4分16秒83を記録すると、6月に行われたアジアジュニア陸上選手権1500メートルでは銀メダルを獲得した。そして、6月末の日本陸上選手権で4分17秒43で優勝を果たした。さらに、7月には3000メートルで世界U-20陸上選手権に出場し、7位に入ってみせた。
ライバルの存在が高松を成長に導くか
東京五輪へ向けた選手育成を目的とした「ダイヤモンドアスリート」にも選出され、これからの成長に期待が掛かる。しかし、1歳年上で名城大学のチームメイトである和田有菜が女子1500メートルの日本学生歴代6位となる4分16秒76を記録しており、日本国内での争いも簡単ではない。しかし、競い合えるライバルが身近にいることは高松のこれからの成長にとって大きなメリットになるだろう。