2019年年始に行われた箱根駅伝で、初の総合優勝を成し遂げた東海大学。キャプテンとして箱根初制覇に大きく貢献したのが館澤亨次(たてざわ・りょうじ)だった。長距離だけでなく、中距離でも日本有数の実力を持つ舘澤は、2018年に行われた日本陸上競技選手権大会で優勝し、同年のアジア大会でも決勝進出を果たした。2020年の東京五輪は4年生として迎える舘澤には、日本選手団が長年成し遂げていない1500メートルの出場に期待が掛かっている。
2019年箱根駅伝では東海大学で悲願の初優勝
神奈川県横浜市に生まれた舘澤は、両親と姉の4人家族で育った。高校では、駅伝の名門である埼玉栄高校へ進学。高校3年時には全国高校駅伝のエースが集まる1区で区間6位の快走を見せるなど、頭角を現した。
その後、東海大学にへ進学すると、1年次から大学三大駅伝を走り、全日本大学駅伝では区間賞に輝くなど、入学当初から駅伝でその実力をいかんなく発揮した。
駅伝の区間賞にも何度も輝く館澤選手だが、順天堂大学の塩尻和也や東洋大学の相澤晃に阻まれ2位になることも少なくない。優れたライバルがあってこそ、生まれ持ったポテンシャルの高さに定評がある館澤の走りもさらに研ぎ澄まされているのだろう。
2019年の年初に行われた箱根駅伝では東海大学悲願の初優勝を達成。舘澤自身も4区を走り、区間2位の快走で総合優勝に大きく貢献した。
駅伝だけでなく、トラックでも日本トップレベルの実力を持つ
出雲駅伝と全日本大学駅伝、箱根駅伝とすべての駅伝大会において大学1年のときから参加している舘澤が駅伝や長距離走のエキスパートであることは疑いようもないが、舘澤は2年次から1500メートルでも名をとどろかせている。関東インカレ、学生個人選手権を続けざまに制すると、日本陸上競技選手権大会でも1位に輝き、アジア大会への出場権も手にした。
館澤の1500メートル最高記録は、2018年5月20日のゴールデングランプリ陸上で出した3分40秒49。1500mの日本記録である3分37秒49でさえ、五輪出場参考記録に及ばないというのが現状であり、東京五輪出場は簡単ではない。さらに、2018年の日本陸上競技選手権を制している舘澤だが、中央大学の船津彰馬が同年4月に3分38秒65を記録するなど、国内での争いも簡単ではない。ここから舘澤がどのような成長を見せてくれるかに注目していきたい。