樋口新葉、ファイナル進出なるか「アメリカ大会よりもいい演技を目指すことだけ」フィギュアスケートGPフランス大会

グランプリシリーズ第1戦で優勝した樋口新葉が、11月1日に始まるフランス大会で2戦目を迎える。高成績を得てファイナルに進出することが期待される中、樋口はまず目の前の大会に集中する。

1 執筆者 Chiaki Nishimura, Lena Smirnova
Wakaba Higuchi Skate America
(© International Skating Union (ISU))

北京2022冬季オリンピックフィギュアスケート女子シングルで4位に入賞し、翌シーズンに休養を発表した樋口新葉。復帰から2季目となる今季のグランプリシリーズ初戦となったアメリカ大会で、14大会目にしてシリーズ初勝利をあげた。

その樋口が、11月1日〜3日の日程で予定されているグランプリシリーズの第3戦のグランプリフランスで2戦目を迎える。

大会前日の10月31日に行われた公式練習後、取材陣の質問に応えた樋口は、「調子は悪くないと思うんですけど、アメリカ(大会)から1週間しか開かなかったので、疲れを抜くような1週間を過ごした。調子が下がったりはしてないなと思います」と落ち着いた様子でコメント。「アメリカではリンクのサイズがちょっと小さかったので、いつもの感覚よりも少しスピードを落としたり、方向を変えたりとかしていたんですけど、今回の試合はいつも通りにできると思うので、あまり深く考えずに伸び伸び滑れるといいなと思います」と続けた。

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樋口新葉、ファイナル進出の行方は?

全6戦とファイナルが実施されるグランプリでは、選手たちは最大2戦に出場し、その結果に応じてファイナルに出場する選手が決まる。第1戦で優勝した樋口は女子シングル6人で行われるファイナル進出に向けて好位置につけており、進出すれば自身7年ぶりのファイナルとなる。

その大舞台が近づいているものの、樋口は「全然(意識していない)」と語る。「(ファイナルに)出たいなと思うんですけど、出られたらいいなぐらいで。(今は)アメリカ(大会)よりもいい演技を目指すことだけかなと思います」。

アメリカ大会ではショートプログラムで4位につけ、フリースケーティングでトップのスコアをマークして逆転優勝。しかし、コンビネーションジャンプで失敗があるなどし、自身の中では満足いく内容ではなかった。

「あのような演技だったので、自分としても全然納得いっていないので、あんな感じで優勝しちゃってよかったのかなっていうふうに思う方が強くて。今回ちゃんと結果が残るような演技を目指して滑りたいなと思います」とフランス大会への意気込みを語った。

樋口新葉「落ち着いて強い気持ちで試合に臨めている」

樋口は2年連続でこのフランス大会に挑む。北京2022で女子シングル4位に入賞した樋口は、大会後に疲労骨折が判明。翌シーズン9月のロンバルディア杯に出場したものの、それ以降の大会を欠場し、リンクから離れる決断を下した。心身ともに疲弊し、一時は競技から完全に離れることも考えたというが、休養期間中にはマラソンに挑戦したり、髪を短く切って金髪に染めたりするなどして気分転換も図ると、昨年7月に実戦に復帰した。

昨シーズンのフランス大会は自身にとって2季ぶりのグランプリシリーズで、初戦となったこの大会で5位の成績をおさめた。昨年と今年の違いを尋ねられると、「去年は滑りきることだけ考えていた。そのとき目標はあったと思うんですけど、今のほうがより明確にこういう演技がしたいとか、このジャンプ絶対に飛びたいとか、このレベルを落とさないようにとか、細かく目標を組み立てて練習と試合とできている」と分析。「去年はすごくふわっていう感じで、『頑張りたいなあ』みたいな風に滑ってたかなって自分で振り返って思うんですけど、今年はすごく落ち着いて強い気持ちで試合に臨めているかなと思います」と自身の変化を実感する。

グランプリフランスの女子シングルは、11月1日にショート、2日にフリーが予定されている。のびのとした滑りの先に、グランプリシリーズ2勝目、さらにはファイナル進出が待っているのか? 注目したい。

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