リュージュ、2021/2022注目ポイントは?

リュージュの2021/2022シーズンが11月20日、ワールドカップ第1戦とともに開幕する。ナタリー・ガイゼンベルガーはさらなる栄光を掴むのか? あるいはユリア・タウビッツが新たな扉を開くのか? フェリックス・ロッホやロマン・レピロフの活躍は? 北京オリンピックの会場で開催されるワールドカップ初戦を前に、今季の見どころをチェックしよう!

1 執筆者 Andrés Aragón
Luge - Team Relay
(Getty Images)

スパイク付きの手袋をギュッと縛り、ソリにつかまる。氷のコースを時速80マイル(128km)以上で駆け下りるときがやってきた。冬季オリンピックの最速競技であるリュージュの2021/2022シーズンが11月20日、ワールドカップ第1戦で開幕する。見どころ満載のリュージュ・ワールドカップの先には、**北京2022**冬季オリンピックが待っている!

今季のリュージュ・ワールドカップは冬季オリンピックの予選も兼ねる。Olympics.comでライブ配信される第1戦は、2月のオリンピック会場となる延慶の国家スライディングセンターで行われる。

ナタリー・ガイゼンベルガー(ドイツ)や**フェリックス・ロッホ**(ドイツ)などのレジェンドを擁するドイツはリュージュの強豪国で、ふたり以外の選手も活躍しており、平昌2018でドイツ勢はメダル12個のうち6個を獲得。その4年前のソチ2014では金メダルを総なめした。

しかし、スポーツには予想外がつきもの。オリンピック前回大会の覇者・ダビット・グライルシャー(オーストリア)や、世界選手権を2度(2020年、2021年)制している**ロマン・レピロフ(RLF/ロシア・リュージュ連盟)、そして今世紀の世界選手権におけるドイツ人以外の女王2人のうちのひとり、エカテリーナ・カトニコワ**(RLF)がその好例だ。

北京2022を前に、オリンピックシーズンで注目される有力選手らを紹介しよう。

女子:レジェンドと後継者

女子リュージュ界をほぼ独占しているドイツ勢の強さは、彼女らの成績から一目瞭然。東ドイツなども含めると、ドイツの女子選手がオリンピックで獲得したメダル数は33個。他国が獲得したメダルをすべて合わせたとしても、そのおよそ3倍をドイツ選手が手にしている。表彰台を独占した回数も5回にのぼる。また、ワールドカップでは1998年以降の総合優勝を独占し、世界選手権では過去30大会のうち27回も頂点に上り詰めている。

さらに、1997年12月から2009年2月までの11年間において、これらの国際大会で一度も負けたことがないばかりか、オリンピックでは金メダル4個、世界選手権では優勝8回、ワールドカップでは連続88勝を果たした(ワールドカップでの連続優勝回数は105回に達した)。

そう、今季もまた大本命のルガー(リュージュ選手)は、ドイツ勢のなのである。では一体、誰が?

金メダル4つと銅メダル1つを獲得しているナタリー・ガイゼンベルガーは、史上最も成功した女子ルガー。北京2022であと1つメダルを追加すれば、ソチ2014での銅メダルを最後に引退したイタリアの**アルミン・ツェゲラー**と並ぶことになる。ガイゼンベルガーは、世界選手権を9度制しており(1人乗りで4回、スプリントで1回、チームリレーで4回)、過去9シーズンのワールドカップで総合優勝を8回成し遂げている。

彼女のライバルとなるのは、チームメイトのユリア・タウビッツ。タウビッツは2020年のワールドカップで総合優勝し、2021年の世界選手権でも優勝、北京2022ではオリンピック・デビューを果たすことになる。また、忘れてはならないのが、平昌2018の銀メダリストである**ダイアナ・アイトベルガーと、U23世界チャンピオンのアナ・ベライタ**。この4人が、2021年1月にドイツ・ケーニヒスゼーで開催された世界選手権で1位から4位を占めた。

他にも、平昌2018で2つのメダルを手にした**アレックス・ゴフ(カナダ)、2020年の世界チャンピオンであるエカテリーナ・カトニコワ、オリンピックでメダル3個を獲得したアリベルト・デムチェンコの娘・ヴィクトリア・デムチェンコ(RLF)、タチアナ・イヴァノワ(RLF)、そしてサマー・ブリッチャー**(米国)が表彰台を狙う。

男子:レピロフは再びロッホを超えられるか?

女子に比べると、男子のメダリスト候補はより多くなるものの、やはりドイツが筆頭となる。オリンピックで金メダルを3個獲得し、世界チャンピオンに13度(1人乗りで6度)輝き、ワールドカップで総合優勝を7回達成しているフェリックス・ロッホは、平昌2018で表彰台を逃したが、北京大会で挽回を図るつもりだろう。頂点への道がこのワールドカップからから始まる。

競争相手としては、平昌2018の銅メダリストで同胞の**ヨハネス・ルートビヒがいるが、強敵となる選手は他国にも存在する。25歳のロマン・レピロフは、世界選手権の優勝とワールドカップの総合優勝をそれぞれ2度経験している。またセミョーン・パブリチェンコ**(ROC)は2018年以降、ワールドカップの表彰台の常連で、2015年には世界選手権も制している。

さらにオーストリアの**ダビド・グレイルシャーは、ワールドカップで3位以内に入ったことがなかったものの、平昌2018年では金メダルを獲得し、観客を驚かせた。弟のニコ・グレイルシャー**はスプリントの世界チャンピオンとして君臨している。

足の故障が気になるものの、平昌2018の銀メダリストである**クリス・マズダー(米国)や、世界選手権で銅メダルを3度獲得したドミニク・フィッシュナラー(イタリア)、ユースオリンピックやジュニア世界選手権を制したクリステルス・アパリオズ**(ラトビア)からも目が離せない。

2人乗り:トビアス・コンビ対エッゲルト&ベネッケン組

2人乗りのメダル候補といえば(皆さんお察しの通り)ドイツのルガー。まず1組目が**トビアス・ウェンドルトビアス・アルトで、ふたりはオリンピックで金メダルを2個(2014年、2018年)獲得し、世界チャンピオンに3度(2013年、2015年、2016年)輝き、ワールドカップ総合優勝を4度果たしている。もう1組は平昌2018の銅メダリストで、世界選手権での優勝を4度(2017年、2019年、2020年、2021年)、ワールドカップ総合優勝を5度成し遂げたトニ・エッゲルトザシャ・ベネッケン**組。

彼らのライバルとなるのは、オリンピックで2つのメダルを獲得し、昨シーズンの好成績(世界選手権で銅メダル、ワールドカップで銀メダル)を維持したいラトビアの**アンドリス・シクスユリス・シクス兄弟、そして昨シーズンのワールドカップで総合優勝したオーストリアのトーマス・シュトイローレンツ・コラー**組が挙げられる。

(2018 Getty Images)

混合チームリレー:予測不可能な世界

では、混合チームリレーの有力チームは? この種目でもドイツが力を発揮しており、ソチ2014で初めてオリンピック種目に採用されて以来、ドイツが金メダルを獲得している。世界選手権でも過去18大会で16回優勝しているが、直近の3大会での優勝は1回にとどまっている。

2019年の世界選手権を制したのはロシア・リュージュ連盟チームで、2021年はオーストリア・チームが頂点に。そして忘れてはならないのが、輝かしい成績をおさめている2組のきょうだい(シクス兄弟とアパリオズ姉弟)を擁するラトビアと、さらには平昌2018の銀メダリストのカナダチーム。マズダーの怪我が思うように回復すれば米国も表彰台争い加わることになるだろう。

2021/22リュージュ・ワールドカップ日程

  • 第1戦: 2021年11月20〜21日 延慶(中国)
  • 第2戦: 2021年11月27〜28日 ソチ(ロシア)
  • 第3戦: 2021年12月4〜5日 ソチ(ロシア)
  • 第4戦: 2021年12月11〜12日 アルテンベルク(ドイツ)
  • 第5戦: 2021年12月18〜19日 インスブルック(オーストリア)
  • 第6戦: 2022年1月1〜2日 ヴィンターベルク(ドイツ)
  • 第7戦: 2022年1月8〜9日 スィグルダ(ラトビア)
  • 第8戦: 2022年1月15〜16日 オーバーホーフ(ドイツ)
  • 第9戦: 2022年1月22〜23日 サン・モリッツ・セレリーナ(スイス)

北京2022でのリュージュ

北京2022冬季オリンピックでのリュージュ競技は、国家スライディングセンター2022年2月5〜10日の日程で開催され、全部で4種目(男子1人乗り、女子1人乗り、男子2人乗り、混合チームリレー)が予定されている。オリンピック出場のためのワールドカップのポイント獲得は2022年1月10日で締め切られ、オリンピックへの出場は106枠が用意されている。

ワールドカップ第1戦は、2021年11月19〜21日にOlympics.comでライブ配信される予定。

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