バイアスロン、2021/2022注目ポイントは?

11月26日にスウェーデンのエステルスンドで、バイアスロンワールドカップが開幕する。 ティリル・エックホフ、ヨハネス・ティングネス・ベー、ストラ・ホルム・ラグレッドなど、オリンピックシーズンに押さえておきたい選手たちをチェックしよう。

1 執筆者 Guillaume Depasse
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(Jurij Kodrun/Getty Images)

本格的なワールドカップシーズンを前に、11月13日から14日、スウェーデンのイドレとノルウェーのシューショーエンで開催されたローカル大会で、国際大会で活躍する**タリヤイ・べーセバスチャン・サムエルソンエルビラ・エーベリイングリッド・ランドマーク・タンドレヴォルド**たちが好成績を収めた。

2年連続で、スウェーデンのエステルスンドで開催されるシーズン開幕戦は、11月26日から28日、男女ともに個人戦とスプリントの2種目のみが実施される。

第2戦目は、翌週同会場で12月2日から5日まで開催。伝統的なスプリントとパシュートに加え、リレーが実施される。エステルスンドがワールドカップ初戦を開催するのは、2000年以来14回目となる。

冬季オリンピック史上最多のメダル獲得数(368個)を誇るノルウェーの選手たちは、昨年、男女それぞれ1位と2位を独占。24歳のストラ・ホルム・ラグレッドを抑えて**ヨハネス・ティングネス・ベーが自身3つ目となる大クリスタルグローブを獲得し、ティリル・エックホフは、マルテ・オルズブ・ローイズランド**を抑えて初優勝を果たした。

2021/2022バイアスロンシーズンは、ワールドカップが全10戦予定されており、2022年2月4日に開幕する北京冬季オリンピックの前に、7戦が開催される。オリンピック以外の年に毎年開催される世界選手権とは対照的に、オリンピックの結果はワールドカップの総合ランキングには考慮されない。

それでは、今シーズン知っておくべき注目ポイントを見てみよう。

女子:ティリル・エックホフの勢いはどこまで続くのか?

女子または男子の中で、タイトル防衛の可能性のあるアスリートの名前をひとり挙げるとすれば、それはエックホフだ。昨年は、シーズン後半に総合ランキングでトップに立ち、初めての大クリスタルグローブを獲得した。エックホフは、スプリント(7回)とパシュート(6回)で13回の勝利を収め、1,152ポイントを獲得。合計で17回表彰台にのぼった。一方、チームメイトのローイズランドは、963ポイント、3勝で2位となった。

ソチ2014混合リレーでの金メダルを含む、5つのオリンピックメダルを獲得しているエックホフは、ワールドカップ5戦でスプリント・パシュートともに2連覇を達成し、歴史的な記録を打ち立てた。31歳の彼女は、スプリントとパシュートで金メダル、マススタートで銅メダルを獲得した2021年2月の世界選手権の後、総合ランキングのトップに立つと、その座を譲らずに見事優勝を果たした。今シーズンの彼女の狙いは北京2022だけでなく、再びシーズンタイトル狙う。

「冬季オリンピックでの成功はもちろんですが、シーズンを通しての成功も目標にしています。前回のシーズンのように、今回も結果を出したいと思っていますし、そのために細かい部分を変えながら常にハードなトレーニングで改善を目指しています」とノルウェーの新聞VGに語っている。

2018/2019、2019/2020の両シーズンで大クリスタルグローブの総合優勝を果たしたイタリアの**ドロテア・ウィーラーは、昨シーズン初戦の個人戦で1勝をあげて5位となった。ウィーラーは、オーストリアのリサ・テレサ・ハウザー**と並んで、種目別クリスタルグローブを獲得している。

昨シーズン、スプリント種目初戦からワールドカップの第3戦まで総合ランキングでトップに立っていたスウェーデンの**ハンナ・エーベリ**も、強力なライバルとなるだろう。オリンピック女子15km個人の金メダリストである彼女は、昨年、総合成績で自身最高順位の4位に入った。エーベリが2019年の世界選手権個人戦でタイトルを獲得したエステルスンドの地で、ワールドカップ初戦を迎える今シーズン。彼女はより多くの表彰台に立つことを目指す。

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男子:ベーとラグレッドの2強

女子とは対照的に、男子王座のタイトルはシーズン最後のレースで確定した。正確に言うと、最後の1発で勝敗が決まった。

過去2シーズンの総合優勝者であるベーは、シーズン第2戦目から最終戦の始まりまで総合ランキングでトップに立っていたが、最終戦のマススタートレースで2位となる。世界選手権で金メダル4個を含む6個のメダルを獲得している24歳の同胞、ラグレッドは、最終戦パシュートでべーに勝ち、1ポイント差でリード。しかし、翌日のシーズン最後の射撃(立射)となったマススタートで、べーが5発中4発的中したのに対し、ラグレッドは2発をミスしてしまう。

バイアスロンの王者であり、オリンピック個人総合優勝者でもあるべーは、1,052ポイント(4勝、14回の表彰台)を獲得し、3つ目の大クリスタルグローブを手にし、ラグレッドは1,039ポイント(7勝、10回の表彰台)で2位となった。

この決闘は、2021/2022シーズン、そして北京2022まで続くことは間違いない。

そして、昨年3勝を挙げた**カンタン・フィヨン・マイエ(フランス)が3年連続で3位に入った。29歳のマイエは、過去2回の世界選手権パシュートで優勝している同胞のエミリアン・ジャクリン**とともに、ノルウェーの独壇場を崩すべく新シーズンに挑む。

べーの兄であるタリヤイ・べーも間違いなくこの戦いに参加するだろう。2011年の総合優勝者である33歳のタリヤイは、昨年マススタートのクリスタルグローブを獲得した実績を持つ。

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活躍が期待される若きスター:セムエルソンとエーベリ

若手選手に目を向けると、ラグレッドとヨハネス・デールのノルウェー勢が再びランキングを独占しているが、スウェーデンのサムエルソンが3位に入っている。24歳のサムエルソンは、すでに平昌2018に出場しており、20歳のときに男子リレーで金メダルを獲得し、パシュートでは銀メダルを獲得している。前回の世界選手権では、パシュートでも銀メダルを獲得しており、今シーズンは2度目となるワールドカップの舞台で優勝することを目指している。

女子は、ハンナ・オーベリの妹、22歳のエルビラ・エーベリが再び表彰台に立つ姿を見られるかもしれない。スウェーデンの期待の星は、昨年1レースで2回の初表彰台を獲得した。2019/2020シーズンの24位から成長をみせ、2020/2021シーズンを12位で終えたエルビラ。今シーズンさらにステップアップした成績が期待される。

また、チェコのマルケータ・ダビドヴァーも見逃せない。24歳の彼女は、前回の世界選手権の個人戦で金メダルを獲得している。昨シーズンのランキングは5位だったが、2018/2019シーズンの個人ランキングではすでに3位の実績を持っており、今シーズンの最終ランキングで上位に入るため、安定した成績を残すことを目指す。

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2021/22バイアスロン日程

  • 2021年11月23-28日 IBUカップ@イドレ(スウェーデン)
  • 2021年11月26-28日 BMW IBUワールドカップ開幕戦@エステルスンド(スウェーデン)
  • 2021年11月29日‐12月4日 IBUカップ@シューショーエン(ノルウェー)
  • 2021年11月29日‐12月5日 BMW IBUワールドカップ@エステルスンド(スウェーデン)
  • 2021年12月6-12日 BMW IBUワールドカップ@ホッホフィルツェン(オーストリア)
  • 2021年12月8-12日 IBUジュニアカップ@ヴァル・マルテッロ(イタリア)
  • 2021年12月11-21日 冬季ユニバーシアード@ルツェルン(スイス)
  • 2021年12月13-18日 IBUジュニアカップ@ヴァル・マルテッロ(イタリア)
  • 2021年12月13-19日 BMW IBUワールドカップ@ル・グラン・ボルナン(フランス)
  • 2021年12月14-19日 IBUカップ@オーバーティリアッハ(オーストリア)
  • 2022年1月3-9日 BMW IBUワールドカップ@オーバーホーフ(ドイツ)
  • 2022年1月5-9日 IBUカップ@ブレズノ・オスロブリー(スロバキア)
  • 2022年1月10-15日 IBUジュニアカップ@ホッホフィルツェン(オーストリア)
  • 2022年1月10-16日 BMW IBUワールドカップ@ルーポルディング(ドイツ)
  • 2022年1月11-16日 IBUカップ@ブレズノ・オスロブリー(スロバキア)
  • 2022年1月17-23日 IBUジュニアオープン欧州選手権@ポクリューカ(スロベニア)
  • 2022年1月17-23日 BMW IBUワールドカップ@アントルツ・アンテルセルヴァ(イタリア)
  • 2022年1月24-30日 IBUジュニアオープン欧州選手権@アーバー(ドイツ)
  • 2022年2月1-5日 IBUカップ@ノヴェー・ムニェスト・ナ・モラヴィエ(チェコ)
  • 2022年2月4-20日 北京2022冬季オリンピック@北京(中国)
  • 2022年2月20日-3月2日 IBUユース/ジュニア世界選手権@ソルジャーハロウ、ユタ州(米国)
  • 2022年2月28日‐3月6日 BMW IBUワールドカップ@コンティオラティ(フィンランド)
  • 2022年3月7-13日 BMW IBUワールドカップ@オテパー(エストニア)
  • 2022年3月8-13日 IBUカップ@リドナウン・ヴァルリダンナ(イタリア)
  • 2022年3月14-20日 BMW IBUワールドカップ@オスロ・ホルメンコーレン(ノルウェー)
  • 2022年3月20-25日 ヨーロッパユースオリンピックフェスティバル@ヴォカッティ(フィンランド)
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