卓球・大藤沙月、世界ランキング125位から8位へ飛躍の2024年

WTTが主催する国際大会シリーズに今年から本格参戦したばかりながら、シリーズ内でも格上のWTTチャンピオンズで優勝するなど、4月に125位だった世界ランキングは11月に自己最高の8位に浮上。卓球界で熱視線が注がれる20歳、大藤沙月とは。

2 執筆者 Chiaki Nishimura
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(World Table Tennis / Eng Chin An)

WTT(ワールドテーブルテニス)が主催する卓球WTTワールドシリーズの年間最終戦となるファイナルズがまもなく2024年11月20日〜24日の日程で福岡で開幕する。2024年のWTTシリーズを通じて世界ランキングを積み重ね、シングルスでは上位16人、ダブルスでは8組のみが出場して、年間王者を決定する。

日本からは女子シングルスに4人が名を連ねる中、WTT勝率90%という快進撃で国際ステージで特に注目を集めているのが、世界ランキング女子シングルスで早田ひな張本美和に次ぐ日本勢3番手の8位(2024年11月12日付)に立つ大藤沙月(おおどう・さつき)だ。

大藤沙月、2004年生まれの20歳

大藤沙月は福井県出身、2004年5月生まれの20歳。早田ひな、平野美宇(みう)、伊藤美誠(みま)ら2000年生まれの黄金世代、そして2008年生まれの張本美和のちょうど中間の年で、同い年にはパリ2024オリンピックにリザーブメンバーとして帯同した木原美悠がいる。

卓球クラブのコーチを務めていた父親の影響で3歳の頃に卓球を始めた大藤は、小学2年生のときに全国大会で2位となり、「そこからオリンピックを目指すように」(WTTウェブサイトより)。中学3年生だった2020年の全日本選手権ではジュニア女子シングルスで初優勝。翌年には連覇を達成した。

WTT本格参戦は2024年から。4月にはWTTワールドツアーの下部カテゴリーに位置するWTTフィーダーのクロアチア大会に自主参加して、予選3戦を勝ち抜いて本戦出場。決勝まで一気に駆け上がると、決勝では、後にパリ2024の女子団体で銅メダルを獲得することになるイ・ウンヘ(大韓民国)と対戦。3-1で快勝して初優勝を飾った。また同大会では横井咲桜と組んだ女子ダブルスでも優勝し、2冠を達成した。

さらに4月のWTTフィーダーデュッセルドルフ、8月のWTTコンテンダー ペルー・リマなどの女子シングルスで優勝を果たし、夏にパリで行われたオリンピックを横目にランキングポイントを重ねていった。

大藤沙月、WTT勝率90%でランキング急上昇

まさに破竹の勢いで2024年のWTTシリーズを駆け抜けてきた大藤は10月、WTTシリーズの中でも格の高い「WTTチャンピオンズ」のフランス・モンペリエ大会の出場資格を得ることになる。日本のエース早田が怪我のために出場を辞退したことからそのチャンスが巡ってきたのである。

ノーシードだった大藤は、平野美宇、伊藤美誠といったオリンピックメダリストを次々と倒し、準決勝でチェン・イーチン(Chinese Taipei)をフルセットの末に制して、決勝では張本美和を相手に逆転勝利で優勝。世界の卓球ファンを驚かせたことは言うまでもない。

その驚異的な快進撃にはWTTも注目する。WTTウェブサイトでは2024年のWTT勝率90%であること、同等の高い勝率を誇るのはWTTファイナルズ女子シングルス参加者の中では世界ランキング1位のスン・インシャ(中華人民共和国)のみであることを紹介。昨年から坂本竜介コーチに指導を受ける大藤の躍進の要因として本人のコメントを紹介し、昨年「ラケットからラバー、打ち方、考え方に至るまで、すべてを変えた」ことを伝えた。

4月に125位だった大藤の女子シングルスのランキングは、8位(11月14日時点)にまで浮上。ファイナル進出を決めた。

大藤沙月、WTTファイナル女子シングルス初戦は伊藤美誠

11月20日に開幕するWTTファイナルズの組み合わせが18日に決定し、大藤は初戦で伊藤美誠と当たることになる。伊藤を相手に勝利を収めることができれば、準々決勝でベルナデッテ・スッチ(ルーマニア)と早田ひなの勝者と対戦することになる。

女子シングルス出場16選手のうち、トーナメントの左側の山には、世界ランキング1位のスンを筆頭に、第3シードのワン・イーディ(王芸迪/中華人民共和国)、平野美宇らが入り、右側の山には第2シードのワン・マンユ(王曼昱/中華人民共和国)、そして大藤、伊藤、早田が入る。

大藤は横井咲桜(さくら)との女子ダブルスでも出場権を得ており、初戦で第1シードのチョン・ジヒ&シン・ユビンの大韓民国ペアと対戦する。

大藤はどんな戦いで2024年のWTTシリーズを締めくくるのだろうか。その活躍から目が離せない。

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WTTファイナルズ女子シングル出場選手

WTTファイナルズのシングルスには年間ランキングのトップ16選手が出場する。ランキング(#)はエントリー時のもの。最新のランキングは公式ウェブサイトにて。

  • スン・インシャ(孫穎莎/中華人民共和国)#1
  • ワン・マンユ(王曼昱/中華人民共和国)#2
  • ワン・イーディ(王芸迪/中華人民共和国)#3
  • 早田ひな(日本)#5
  • 張本美和(日本)#6
  • チェン・シントン(陳幸同/中華人民共和国)#7
  • 大藤沙月(日本)#8
  • チェン・イーチン(鄭怡静/Chinese Taipei)#9
  • 伊藤美誠(日本)#10
  • シン・ユビン(大韓民国)#11
  • チェン ティエンイ(銭天一/中華人民共和国)#12
  • 平野美宇(日本)#13
  • ソフィア・ポルカノバ(オーストリア)#14
  • アドリアナ・ディアス(プエルトリコ)#15
  • チョン・ジヒ(大韓民国)#16
  • ベルナデッテ・スッチ(ルーマニア)#17

大藤沙月の国祭大会での主な戦績 2024年

4月

  • WTTフィーダー クロアチア・ヴァラズディン
    • 女子シングルス 優勝
    • 女子ダブルス(横井咲桜) 優勝
  • WTTフィーダー ドイツ・デュッセルドルフ
    • 女子シングルス 優勝

6月

  • WTTフィーダートルコ・カッパドキア
    • 女子シングルス 優勝
  • WTTコンテンダー クロアチア・ザクレブ
    • 女子ダブルス(&横井咲桜)優勝

7月

  • WTTコンテンダー チュニジア・チュニス
    • 女子シングルス 準優勝
    • 女子ダブルス(横井咲桜) 優勝

8月

  • WTTコンテンダー ペルー・リマ
    • 女子シングルス 優勝
    • 女子ダブルス(横井咲桜) 優勝

9月

  • WTTコンテンダー カザフスタン・アルマトイ
    • 女子ダブルス(横井咲桜) 準優勝
  • WTTフィーダー ブルガリア・パナギュリシテ
    • 女子シングルス 優勝
    • 女子ダブルス(横井咲桜) 準優勝

10月

  • アジア選手権 カザフスタン・アスタナ
    • 女子ダブルス(&横井咲桜) 優勝
    • 女子団体(張本美和、伊藤美誠、平野美宇、早田ひな) 優勝
  • WTTチャンピオンズ フランス・モンペリエ
    • 女子シングルス 優勝
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