スポーツクライマー・本間大晴、今季W杯の年間優勝を目指して

スポーツイベントが盛りだくさんの週末。多くのアスリートたちがそれぞれの舞台で力を尽くして自分の成長を確かめ、また次の目標に向かっていく。先週末に行われた大会で活躍したアスリートたちの中から、スポーツクライミングの本間大晴に注目した。

1 執筆者 Chiaki Nishimura
Taisei HOMMA (c) Lena Drapella/IFSC
(Lena Drapella/IFSC)

スポーツクライミング、リードのワールドカップ第4戦がフランス・ブリアンソンで7月22日、23日の日程で行われ、今季前半戦となる4戦が終了した。この大会で2位の成績を収め、現在リードのランキング首位に立つのが、日本代表のクライマー本間大晴である。

今季2戦目のスイス・ヴィラール大会(6月30日〜7月2日)で初優勝を果たし、第3戦、第4戦でも表彰台に立った本間大晴(ほんま・たいせい)とは?

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ワールカップデビューは2018年

埼玉県出身の本間は、1999年生まれの現在22歳。小学校低学年の頃に父親に連れられてクライミングに挑戦したことがきっかけとなり、のちにクライミングの世界にのめり込んでいったという。

本間が主戦場とするのはスポーツクライミングの中でも、ロープを使ってどの高さまで登れるかを競うリード種目。17歳だった2017年6月のリードジャパンカップで初めて日本一となり、翌年7月にスイス・ヴィラール大会でワールドカップデビューを果たした。

デビュー戦の結果は準決勝敗退の16位。だが、2019年10月の中国大会で初めて表彰台に立つ(2位)活躍を見せた。

3年ぶりのワールドカップ

2019年のリードのワールドカップ・ランキングでは15位となったが、2020年以降、新型コロナウイルス感染拡大の影響などで国際大会への参加が適わず、2020年、2021年のジャパンカップでも成績が振るわないなど、試練の期間を迎える。

2021年のリードジャパンカップ後には、「ここ数年で変わったものは何か?と言われると出てこない。この結果に対して正直受け止めたくはない。苦しいがこれが今の自分であると受け止めないとまた来年も同じ失敗をすると思う」(インスタグラムより)と綴った。

しかし、自分を受け止めて努力を重ねた成果が、大学卒業を目前に控えた2022年2月のリードジャパンカップで発揮される。この大会で本間は5年ぶり2度目の優勝。日本代表としてワールドカップの出場権を自分のものにした。

3年ぶりとなったワールドカップの舞台では、初戦となった6月のオーストリア・インスブルック大会で決勝に進出し、結果は9位。自身のインスタグラムでは、「調子は悪くないと感じているので、焦らず自分のいつも通りを出していきたいです」と冷静に自身を分析した。

「いつも通りの自分」を発揮し、その存在を世界に知らしめたのが、その翌週に行われた第2戦だ。本間はワールドカップ初出場の地・ヴィラールに再び舞い戻ると、自身初めてとなる優勝を成し遂げ、ワールドカップ1勝を挙げた。

「苦しい時期があっても、この時のために絶えず準備をしてきました。それができたのは、常に自分を信じてきたから、応援してくださる方々の喜ぶ姿を見たかったからです」と綴った本間は、「ここで終わりではないですが、自分にとっては大きな一歩を踏み出せました」と続けた。

7月8日〜10日の第3戦では、この優勝が「偶然ではない」ことを証明する。フランス・シャモニー大会で行われた第3戦で、本間はチェコのアダム・オンドラに続いて2位となると、「まさか2回連続で表彰台に乗るとは思っていませんでした。しかしこれで前回の結果は偶然にならなかったと思います」とコメント。

続く、第4戦のフランス・ブリアンソン大会でも再び2位となり、3大会連続で表彰台に立ち、メダルを首からかけた。本間は結果を喜びつつも、「ちょっぴり悔しい自分がいます。やっぱりもう一度欲しいのは1番」と向上心をのぞかせた。

ワールドカップ開幕前には、「今シーズンはリードW杯の年間表彰台、年間優勝を目指したい。パリオリンピックはもちろん狙っているが、まずはリードのW杯に集中したい」(Climbers Webより)と目標を掲げた本間だが、ヴィラール大会以降の活躍ぶりにより、本間はリードの世界ランキングで現在首位に立っている。

リードのワールドカップは今後9月に3戦と、10月には岩手県でボルダリング&リードのコンバインド種目が実施される。目標に向かって着実に歩む本間の活躍を見届けたい。

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